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病気の話 27 老化①

2019-12-28 15:33:24 | インポート
5年ぶりに免許証の更新で警察署に
もうかれこれ30年以上ゴールドなので今回プラチナ免許になりました
(、、、てなことはありません。)

それにしても、5年間はあっという間です
周期といえば男性は何年周期で、女性は何年周期で体調に変化があるとかCMを思い出します
関連して、最近、スタンフォードが出した34歳、60歳、78歳に科学的な老化の節目があるという論文が話題になっています
これは科学的に血漿の多くのたんぱく質を解析したところ1379個のたんぱく質はこれらの年齢に伴って変動する、いわば老化関連たんぱく質だということが分かったという話です

普通に考えてみると、
厄年というのはこの辺の年齢
うまく言いえて妙

医学的には、
体内のホルモンレベルの変動に関連しているのは明らかです
30歳半ばは例えば、ニキビもできにくくなる、当直するのがつらい、あるいはダウン症の発生率が異なったりするとか。60歳というのはがん年齢。また、50歳代から始まる更年期などのホルモン変化の時期が終了する時期とも考えられます。78歳では肺炎など感染症が増加する

では、もう少し深く科学的に考えてみると、
細胞レベルでの老化のカギとなるのは何か
加齢、老化に関連した疾患、がんや成人病などの発生に関連して着目すべきは免疫細胞です
免疫系は生後感染症から身を守る役割が主である一方、成人ではがん予防や甲状腺や膠原病など自己免疫疾患の発生に関与しています。その主体はT細胞といわれるリンパ球なのですが、世界に無限大に存在する病原体など抗原に対応するため分化して、記憶し増殖することで次回からの接触にうまく対応する仕組みはよく知られています
この、抗原にいまだ接していない、いわば無垢のT細胞である「ナイーブT細胞」を作ったり成熟(分化)したりしている場が胸腺という組織なのですが生後1歳までがその発育のピークで、思春期くらいまで活動は盛んですが、その後退縮し、成人以降では脂肪に置き換わっていき機能はほぼ残っていない
その活躍を裏付けるように、胸腺は生後間もなくから1歳までで体重比では最大となり、一つのピークを迎えますが、思春期に臓器自体の重量は最大となります
身体の中で最も老化の早い臓器といわれる所以でもあります

これはつまり、成長するにしたがって遭遇する未知の抗原が減少するということを反映しているのか、それとも、胸腺の退縮というのが他の生物種でも共通事象である点からあらかじめ刷り込まれた既定路線なのか
胸腺の退縮はステロイドや成長ホルモン、性ホルモンによって促されるということが知られており、成人までにナイーブT細胞を作っておけばそれまでに役割の決まったT細胞、例えば、はしかやジフテリアの抗原担当とかを担う「獲得免疫T細胞」が一通りセットとしてあるだけで、必要時にいつでも引き出しを開けてそれから迅速に対抗できる細胞を増やす、、、という手段に移行できるシステムになっています
このようなシステムが一つはホルモンの影響を受けるということは、それ自体が、そしてそれに続く成熟、老化の道筋はあらかじめプログラムされた出来事のように思えます

このような既往の感染に対応する獲得免疫T細胞はいわば大人になって職に就いた社会人。多種類にわたりいろんなパターンのセットが備わって免疫系の準備が完成する。成熟した存在であるので、そのまま老化して老人になると少し適応性がうまくいかなくなったり、逆に不要に先鋭化したりする。これはそのまま40-50歳ころから増える炎症疾患、自己免疫疾患やがんという疾患に免疫異常が関与していて、いわゆる「免疫老化」に伴う疾患が増加するという結論に至る
まさに良いところと悪いところ、諸刃の剣という免疫系というものの性質を表しています

例えていうならば、
免疫系の老化現象の全体像は
先進国で多くみられるような人口問題、子供(ナイーブT細胞)は少なく知識は豊富だが老人(獲得免疫T細胞)、そうした老人がたくさんいる社会
免疫細胞と胸腺の発達という視点からみると1歳でピークを迎え、思春期以降衰え始める
言い換えれば老化は生まれた時から始まっているという事実

さて、それがわかったところで私たちはどう対処できるのか
日常で可能な対策を次回書いてみようと思います

では、皆様良いお年を

青山





高輪


Handbags and Gladrags
ROD STEWART こういう歳のとり方って、、、あこがれる。




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