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サイエンスの話 10 コロナ関連

2021-07-29 13:47:11 | 日記
大ファンだった正和の古畑任三郎シリーズが現在再放送されていて改めて観ています。一見なんら関連のなさそうなイントロの話から始まる語りの部分風にはじめてみます。

素粒子は物質を構成する最小単位です。
えー、皆さん、
クォーク、レプトン、ヒッグス粒子、、
ニュートリノとかお聞きにになったこともあるかもしれません。
こんなちっぽけなものを見つけるのに
ヨーロッパのCERNは全周27kmの加速器、、、街がいくつも入ります、、、をジュネーブ郊外に作りましたー。


お分かりでしょうか。
科学論文に発表されるデータの発見、収集には途方もなく膨大なコストや時間、労力がかかるんです。
古畑任三郎でした。


そういうプロセスを経て論文を書いたり、指導したり、査読したり経験しないとなかなかその背後にある大変さは理解できないように思われます。
結果として地道に積み上げられたデータに対するリスペクトもなくなる。
最近は理系軽視、データ軽視の傾向が国が傾いた原因だというご意見も見かけます。

もちろん実験データにも真偽はあるので間違っていればいずれ対抗するデータが出てきて正されることもあります。
しかしながらそれにはそれ相応のデータ、つまり反証を用意する必要がありそれなくして安易に科学データを無視してそれを否定したりできないはずです。
実際には問題が起きた際には誰がこう言った、ああ言ったではなく、拠り所になるのは書面なので国の出している資料はよく読んでおく必要があるように思われます。
その上で治験に参加するという契約になっているので。


例えば、この中で
「発ガン性」に関しては検査していない p18。
「重症化抑制効果」は確認できていない p36
妊婦に対する影響は不明 p48
「ADE」に関しては不明 p15、今後要注意 p59 と二回も念押ししている。

(あと、科学データなのに黒塗りが多いのも気になる)

妊娠に関しては最近Preliminaryと断りながら論文が出ています。
Preliminary Findings of mRNA Covid-19 Vaccine Safety in Pregnant Persons


産婦人科には疎いので首を突っ込みたくはないが、それによると流産に対する影響はなさそうだということ。
もっとも、そういうことが容易に起こるようだと即中止しなくてはならない。
今後もっと症例が必要だとしているが、不妊に関するコメントではありません。

そこはちょっと考えればわかるはずなのですが、
そもそも、不妊に関するデータを取るにはどうするか。
まず、男性女性 Male、Femaleで注射をした群、しない群(+/-)を4群、M+F+、M+F-、M -F+、M-F-に分けて、数学的に検定するには「各々」数百〜千人単位以上で集める必要がある(男子の影響を考えず、ラフにF+、F-の2群で行っても準備は同様に大変)。通常新婚さんでは1年以内に妊娠率が90%、2年以内で80%、3年以内に70%と言われているので(学生時代覚えた数字で多少古いかもしれない)、そのあたりまで待って集計、数学処理して結論を出す、、、ということになる。
中身はさておき、データをとるということがどういう労力か、考えてみる。
発売されて半年しか経過していない現時点で当然そんなデータは存在しない。
したがって、答えは「わからない」しかない。

難しいかもしれないが、何事も自分で考えるクセをつける必要があるように思えます。
ちなみに科学では、常識は疑ってかかれというのが鉄則。

だいたい陰謀論というは通常権力側が仕掛けるものです。
なぜなら、元来内容はどうでもいいようなものであり、結果に困らない。
ただ、その間に物事の本質から世間の目をそらすことができるから。

余談ですが、ケネディ大統領暗殺に関して、陰謀論に基づいたケビン・コスナー主演の映画などありましたのでご存知の方も多いかと。昔大学生の時読んだ引退した関係者の告白内容によると、オズワルドの発砲に驚き、パレード車の後ろに立ち乗りしていたシークレットサービスが銃を構え、安全装置を外し身構えたその時、さらなる危険を回避すべく車が急発進した際に仰け反って致命症の弾丸を後ろから誤射したという説。
事実ならあまり公にしたくないかもしれない。その時真相を記した議会調書は計算すると私が75歳になるまで公開されないらしいので、それまで頑張って生きないと。
もっとも、認知能力が保っているかどうか問題だが。

注射の接種を子供に拡大するという話に関しての論文。


SARS-CoV-2 Spike Protein Impairs Endothelial Function via Downregulation of ACE 2

ネットのコメント欄など読んでみると一般の人には副作用の可能性に関連したデータに普通には接触すらしないし、読み解けないので苦労しているとある。つまり、世の親御さんたちは何をもとに、どういう科学的データを根拠に判断して良いのやらわからない。かといって医者の日常はレントゲンをみたり、オペしたりで日常に無縁の核酸の化学など詳しく知らないし、大抵がDNAやRNA構成メンバーそれぞれ4塩基の名前すら言えない(ジョン、ポール、ジョージ、リンゴ、、、程度)。まあそれが普通。
ただ、これが研究室だとそれぞれの化学式まで書けないとバカ扱いされる。
一般では難しいのは当然だし、無理もない。

記事に戻ると、
ソースは循環器の医局などにもおいてある一流誌のもので、多く引用されていて判断にはとても重要だと考えられます。
つまり、注射がなぜ心筋炎を起こすか、に関してはっきりとメカニズムが判明しており、それが明快なエビデンスとして述べられている。
要旨は、「スパイクタンパク質は(心血管ホルモン系である)ACEの抑制により、血管炎、心筋炎などにより血管系に機能障害を与える。」
何がポイントかというと、スパイクタンパク質は感染しても、核酸を注射で打ち込んでも体内に生じる。つまり同様の帰結をもたらす、という点に関する論証。
別の表現をすれば、スパイクタンパク質はそれなりの「毒性」があるとも言える。
そういうものだという認識が必要です。

一方、
以前から小児の突然死の背景に不整脈という問題があって、時々ニュースになるマラソンやプール中に突然倒れたりとか、いくら関係者が皆注意していても稀にそうしたケースがあるのも事実。


関連して、
VAERSのデータ(USA CDC有害事象統計)の子供欄には、
冒頭にあるTorsade de pointes/QT prolongationという教科書的な心室細動に関連する不整脈の報告がある。


背景の一つに遺伝因子の関与も想定されているが、そうしたリスク因子は心筋炎が起きれば多少なりとも影響を受けるだろうと推察することは難しくない。

一方で注射のメリットは?
半年先行しているイギリスとイスラエルあたりの推移を見ることで判断できる。

では、これからの半年を見据えて、イギリスで行われようとしている規制緩和に関して自分なりの解釈をしてみる。ガス抜き以外に2つの目的があるように思える。
一つはすでに閣僚がADEという言葉を使っているが、定義上ADEは容易に感染し、そして重症化する。ADEが高頻度であれば明らかにイタチごっこになるので注射をやめる判断をする(治療薬へ戦略を転換する、その目処がある。あるいは、注射のバージョン変更。ADE抗体を発現しないタイプの核酸、例えば、すでに判明しているNTD部位を除いた新しいバージョンを設計をするという選択肢もある。ただそうすると一から試験期間が要るのも事実)。
もう一つは、こうした変異が頻繁な +strand RNAタイプのウイルスにとっては注射は単に新たな変異のincubation periodにしかならないというのが歴史(SARS、MERSなどの失敗時代からソフト面では何も基本変わっていない)であり、そこから半年後のexitは二つ、今後でてくるのが強毒株か弱毒株か。後者なら終わりの入り口が見えるかもしれない(結局SARSはいつの間にかフェイドアウトするようにいなくなった)。
映画イミテーション・ゲームの印象で書いたように、イギリスは科学立国であり、チューリングという天才科学者もさることながら、彼を見出し、起用し、使いこなす事務方もすごい。多少の犠牲を払ってもデータを取り、科学的に理論を構築して戦略を練って最後にノルマンディー上陸を成功させる。もちろんBet好き。これもまた歴史。

総合すると、
潜在的リスクのある子は特にスパイクタンパク質で引き起こされる心筋炎によりそうした病態(不整脈)が誘発される可能性もあるということを考えておく必要がある。


カクテル ②
「君の瞳に乾杯」

映画「カサブランカ」ハンフリーボガートの有名な台詞
「君の瞳に乾杯」
Here's looking at you, kid 
と言って飲んだもの。


作り方はとても簡単。
グラスに入れた角砂糖2つにアンゴスチュラ・ビターズ を1dash(一振り)、あとはシャンパーニュを注ぐだけ。

お砂糖を使うことでより甘くなるので、ドライで味わいがスッキリしたシャンパーニュ、ランソンやポル・ロジェあたりが合うように思います。

notes: シャンパンーニュ・カクテルの中ではとても美味しくて、おしゃれ。

カクテル ③
「ミモザ」

notes:大好きな花。
3月に大きめの鉢を買ったのに枯れてしまいました。ちょっと思い出しながら。

Serge Chaloff
A Handful of Stars🎶

サイエンスの話 9 無用の用

2021-07-08 15:27:42 | 日記

地球外生命体を探すにあたり、斬新なアプローチの試み

太陽系の2034個の惑星から宇宙人が地球を探し当てる可能性について計算したところ5000年前から5000年後までの1万年間のいずれかの時期にそのチャンスが訪れる、とnatureに発表された。

新しい惑星の探索、発見に用いられている手法の一つで、太陽の前を横切るタイミングで捉えるという手法を逆に宇宙から見ると地球が見つかる確率を計算したもの。
さらに解釈を付け加えると、5000年前から見つかった地球に更新する手段があってゆっくりとそれが届いている最中なのか、はたまた5000年後までに一瞬にして送る手段を持った宇宙人が見つけて送ってくるのか。
もしそうなら今後5000年以内に宇宙人と交信できるかもしれない。

サイエンスのアプローチとしてとても面白い。
真新しいロジック、目の付け所だと思うのだが、、、

「Et alors?  だから、、、何?」

朝起きてiphoneを開き天気予報をチェックする。今日は傘や雨靴が必要か、、、
オフィスではAppleのパソコンを入れ株価を見たり、検索したり。
いずれもUSAのインフラに頼っている。もはやそれ無くしては人々の生活が成り立たないように思える。
そして、最終的にはそこにお金を落とす仕組みになっており、USAの経済に貢献するよう組み込まれている。

思えば80年代、90年代と日本の製造業、経済は一人勝ちしていた当時欧米で立ち上げられたいわゆるIT産業。
例えば、私たちが馴染んだ生物医学系では、データベースdbとしてNCBI、EMBLなど活用したがいずれも無料だったのには驚いた。中身のないチンケな国産のdbの多くが有料または関係者のサインインによる必要があった時代に可能な限りの情報にアクセスできた当時、ほんの少しだけ、現在のような大差による敗北の予感を肌で感じ取った。
そのさきに、2020年頃にはどういう展開があるのか、目先の実利ばかり追求するあまり日本の企業には見えなかったということか。
大勢の人がアクセスすること、一眼に触れることがビジネスになるという発想、GAFAMなど今や大きく成長した米国企業のように日本企業の経営者には産業の先行きを見渡せなかった。

また、阪大時代に面倒見ていた韓国の研究者がよくぼやいていた。
「頭の良い子は皆医学部に行ってそのまま臨床医、お金儲けコース。だからお国ではノーベル賞などという発想は生まれない。」

それは今この国でも似た状況のように思える。
やれ就職に有利だとか、外資に就職するには、資格は、、、手に職が、、、どっちの水が甘いか、、、
一方でサイエンスでは往々にしてどっちの水も辛い。
見方によっては日々無駄の繰り返しのような研究や実験を繰り返しながら、
誰も読まない論文を仕上げる。
(映画「ボヘミアンラプソディー」ではブライアン・メイがフレディに同じ台詞を言われていた)

こうした一見無用と思われるものの中で
どこかに重要なメッセージがあるのか、それともやはり無いのか、
それは現場で培われたものに触れていないと感覚的にわからない。

ここはささやかに反撃して
無用の用
と表現しておくのが良いかもしれない。


さて、
マスクの話題
Diagnostic and management considerations for “maskne” in the era of COVID-19 
Journal of the American Academy of Dermatology 2020年10月1日付 


マスクの下で dysbiosis 常在菌のバランス失調が生じ、ニキビや肌荒れなど肌トラブルが起きる原因の一つ(他に温度、湿度物理的刺激等々)になるという話。

皮膚の常在菌で構成される細菌環境(マイクロビオーム microbiome) は、遺伝的および外的要因(すなわち、環境、pH、および温度)の影響を受ける。

真面目にマスクをつけると鼻にニキビができやすく「パーマン・コピー」になったりするのはとても癪だが、実はその辺はわかりやすく治療しやすいという点でもあまり大きな問題じゃないかもしれない。

というのは、
肺の中でそうした「肌荒れ」現象が起きるとどうなるか、
というのが本題。

Lower Airway Dysbiosis Affects Lung Cancer Progression


CANCER DISCOVERY by AACR  2021年2月付け
February 2021 Volume 11, Issue 2

この論文では、
肺がんの病因におけるIL-17の役割についての研究成果が延々述べられている。
ポイントを簡単に要約すると、

・初期段階の疾患の患者では、ベイロネラ菌 Veillonella、プレボテラ菌 Prevotella 、連鎖球菌、およびヘモフィルス菌 Haemophilus の活性化による細菌の濃度上昇(濃縮度)がp53、PI3K / PTEN、ERK、およびIL-6 / IL-8シグナル伝達経路の活性化と関連していた。

・進行期の肺がん(ステージ3b~4)の患者は、初期の疾患(ステージ1~3a)の患者よりも肺の口腔共生生物(細菌)の濃縮度が高い。

・進行期の肺癌の患者に富むことが見出されたベイロネラ株は、IL-17、細胞接着分子、サイトカイン、および成長因子の発現、ならびにTNF、PI3K-AKTおよびJAK-STATシグナル伝達系の活性化に関連していた。

マスクを装着する・しないに関連づけての研究ではないので、一見結果がすぐに現実における有用性と結びつかないかもしれないが内包する意義は大きいように思われる。
実際これまでにも腸内常在菌叢、皮膚常在菌叢と病気の関連については随分多くのデータがあるので思考は先に進もう。

(マスク下で)肺の常在菌叢が変化しマイクロビオームが変わることで起こる変化の一つにサイトカインを介する肺がんの(発生)進展、予後との関連性についてその可能性を示唆している。

関連して、
JAADの論文中にはっきりと記載があるのは、
「現在このパンデミックの状況下で規制がなされていないマスクもあり、使用されている繊維材料には潜在的な発がん性物質が含まれている可能性、そして、それが経皮吸収されたり、アレルギー性の接触性皮膚炎の背景になったりする可能性も考慮しなくてはなりません。」
大量生産で中国製などの素材に関するリスクにも言及されているし、実際手に取って見れば確かに粗悪品も多い気がする。

こうした影響についてはすぐに変化が現れるものではないので、10年以上の単位で考慮し、個人個人が注意していかなくてはならない問題のように思われる(別の言い方をするなら、今後肺がんが増えないよう願う)。

マスクが元来人を介する感染リスクを軽減するためのものなので、例えば、よく見かける、1人で車を運転している時とか、庭で1人ガーデニングをする時とか、必要性に関してその都度考えながら、加減するのが良いのではないかと考えるのです。

カクテル 
①ドライマティーニ

ジン+ドライベルモット(5:1くらい)+オレンジビター(1滴)→ステア



Notes:王道のカクテルだがとても強いので「酔ってすぐに寝るだけ」…寝酒pour moi.

Get Ready♩
Jazmin Ghent