気力とは、、、
やる気と表される精神力。
最近結構いろんなことが面倒になって、、、いわば先送りしていることも多くて、いかん、いかん、と気合いを入れ直して、、、
この気力というやつ、例えば、受験勉強の学生さんからITの起業から、主婦の夕食の準備から、何をやるにしても必要で、ある意味記憶とか計算、創造とか数ある脳の働きの中でもかなり上位にあると考えられる。
話は飛ぶが、個人的に動物園ってあまり好きじゃない。野生と違って動物にどうも覇気がないのを見ていると可哀想に思えてアフリカに連れて行って解き放してやりたい気がする。片や囚われの身として未来がない、そういう環境因子の故に仕方ない、本人たちはやるせないと思う。
このように考えると、気力を決定する因子の一つに環境。
環境によってそれが内分泌因子ホルモン系にフィードバックされて気力がなくなる。確かに、成長ホルモンとか注射すると何もなくとも無性にやる気がみなぎったりすることが実感できる。
それから、こうして作家の真似事のように文章を書いている時など必ずと言っていいくらいカフェインに依存している。
カフェインの刺激によって、気力がアップするとともに、頭の回転も良くなる。
個人差があるということもマウスで実験的に証明されているものの、個人的にはコーヒー>紅茶>緑茶がよく効く。
効きすぎて5時以降に飲むと眠れなくなる。
最近は以前のような毎日のスターバックスをやめて紅茶党に宗旨変えしたのでやや朝の活力は少なめですが、そのぶん夜とてもよく眠れる。
そこで、もう一つ、気力は老化に伴って衰える、、、つまり、脳の老化の一つの表現系という考え方。
確かに、無気力な子供などというのは見たことがない。
これが科学的に脳の老化であればそのメカニズムなど興味深いと同時に、極力予防したいものです。
でもって、最近のサイエンスの流行のテーマの一つに老化細胞とそれを標的にした老化細胞除去senolyticsがあります。
これは異常細胞を細胞死に追いやることで健全な細胞を選択したり増やしたりという概念。 細胞のがん化を防ぐなど、私たちの体をより良い状態に保つためのシステムとも言えます。
もともと90年代あたりに発ガン抑制のメカニズムなどで流行ったプログラムされた細胞死(apoptosis)の概念と同じですが加齢性疾患を遅らせる、予防する、緩和する、または逆転させる薬剤を発見または開発すること、あるいは老化を抑制する方向に発展性が垣間見える。
そこで、
脳の老化
と言ってもその本態は何か、という辺りから探ってみる。
Microglial replacement in the aged brain restricts neuroinflammation following intracerebral hemorrhage
老齢の脳でミクログリアの置換による脳内出血後の神経炎症の抑制
Cell Death & Disease volume 13, Article number: 33 (2022)
背景
ミクログリアmicroglia細胞は中枢神経系グリア細胞の一つであり、発生学的に骨髄由来の単核細胞の前駆細胞が血液脳関門が不完全な間に脳内に移行して、そこで成熟を遂げたものであることから中枢のマクロファージ的存在として知られている。
このミクログリアは強い貪食作用を示し、障害を受けた死細胞を取り除く作用により、有害な細胞内因子の漏出を防いで脳内環境を保つ意味で重要な働きを担う。
また、最近は生きた神経細胞を貪食して組織中から取り除くといった現象としてファゴプトーシス phagoptosisが知られており、病原体や細胞からの分泌物や老廃物の除去という、健常状態においてある種抗老化作用を維持する重要な役者と言える。
だが、しかし、同時にミクログリアは病的状況においては凝集したタンパク質やその他の長期にわたる有害刺激に応答し、放出されるTNF-α、IL-1β、IL-6などの炎症性サイトカインやケモカインにより慢性的な炎症がニューロンなどの脳細胞にとって非常に有害なグリオーシスと呼ばれる慢性的な炎症促進性の反応を引き起こす主体ともなる。
結果として、多発性硬化症やアルツハイマー病などの中枢神経系疾患の悪化につながることが示唆されている。
つまり、このミクログリアの二面性、ミクログリアは急性の有害なイベントから脳を保護する機能を持つ一方で、ある環境下でミクログリアが長期にわたって活性化されると疾患の進行に寄与するようになるという側面があり、よく出てくる多発性硬化症やアルツハイマー病やに加えてアストロサイト障害のハンチントン病 (HD) など難病を誘発する原因になりうる。
簡単にいえば、程よいところでこのミクログリアは仕事したら引き上げてくれないとそのまま居座って、長期に活性化されると疾患の進行に寄与するようになる。
内容
では、そうした背景を踏まえ、すでに老化した脳からミクログリアを除いて新しくやり変えると(ミクログリアを除去して置換することにより、ミクログリア細胞を若返らせた結果)脳は若返り、ダメージに対する抵抗性が増したり、病状が早く改善したりするのか、試してみたというのが本論文。
実験
1→2→3→4
1. 老化マウスモデル
老齢のマウスC57BL/6(16~20か月)を用意。
2. ミクログリアを除去して置換する
ミクログリアは、コロニー刺激因子1受容体(CSF1R)の薬理学的阻害を介して排除することができることが知られており、CSF1R阻害剤であるPLX3397を固形飼料で3週間与え、その後、3週間阻害剤フリー食を与え飼育し、PLX3397の離脱症状を観察し、離脱を確認した。
→この作業によりミクログリアは脳内で古いものが除かれ新たにリフレッシュされた「若いミクログリア」に置き換わった=ミクログリアの置換。
3. コラゲナーゼ注射による脳内出血の誘発
→コラーゲン分解により血管を脆くすることで誘発。
4. 老化脳におけるミクログリア置換の影響を観察した。
若くなったミクログリアのによって炎症反応は抑制されるのか否か。
結果
・コントロール食を与えられた高齢の脳内出血マウスと比較し、ミクログリアの置換(若いものにリフレッシュ)したものでは、まず脳内出血後のミクログリア自体の数が減少したことを発見した。
・ミクログリア置換マウスでは脳内出血後の神経学的欠損と脳水分量の減少が見られた(症状の軽減)。
・老化脳におけるミクログリアの置換は、脳内出血後の脳浮腫の重要な原因となる血液脳関門の破壊と神経細胞死を弱めた。
・ミクログリアの置換は、脳内出血後の高齢脳における白血球浸潤(炎症のミクロでの指標の一つ)とミクログリア活性を抑制した。
・ミクログリアの置換が脳内でどのような影響を及ぼしているのか、好中球、単球、NK細胞など脳内出血マウスの脳内の免疫細胞サブセットの数を測定したところ、免疫細胞系の活性抑制から炎症の抑制を惹起しているという一つのメカニズムが判明した。
・ミクログリアの置換は、ICH後の老齢マウスの脾細胞に有意な影響を与えなかった(その他臓器(の代表としての脾臓の)免疫系に影響はなかった)。
まとめ
老化した脳のミクログリア置換が脳内出血後の神経炎症と脳損傷を軽減した。老化の予防や治療に使える可能性を示唆。
考察
老化脳からミクログリアによる免疫にいわば過剰反応の表現系である炎症を抑制することで脳のダメージ軽減、あるいは回復を助けることができる。
では、次に、
他のサイトカインや分泌元の細胞群など抑制したらどうなるのか、という疑問に対する他の論文。
Neuroblast senescence in the aged brain augments natural killer cell cytotoxicity leading to impaired neurogenesis and cognition
老化した脳における神経芽細胞の老化は、ナチュラルキラー細胞の細胞傷害性を増強し、神経新生と認知の障害を引き起こす
Nature Neuroscience
volume 24, pages 61–73 (2021)
老化した脳におけるNK細胞の蓄積が神経新生を損なうことを発見した。
NK細胞を抑制することで老化した集団の認知を改善するための治療標的として役立つ可能性がある、という報告。
脳内の「炎症」というキーワード。
実験系では炎症のモデルとして脳出血が用いられていたのですが、何も脳出血ばかりが炎症ではなく、他にもバクテリア性や日本脳炎、単純ヘルペスウイルス、インフルエンザウイルス、水痘帯状疱疹ウイルスなどウイルス性脳炎や脊髄炎、髄膜炎からの派生、外傷性の脳損傷、など多くあります。
また、血液脳関門(BBB)の健康という観点からはBBBを大切にすることが炎症予防の一歩手前にある重要な段階なのではないかと考える。
高血圧,急性虚血後再灌流,慢性低灌流糖尿病が脳室 周囲領域を中心とした脳全体のバリア障害をもたらす 。概ね高齢者脳に生じている病態と類推できるのでは。
また、最近ではこういう報告もある。
The SARS-CoV-2 spike protein alters barrier function in 2D static and 3D microfluidic in-vitro models of the human blood–brain barrier
Neurobiology of Disease
Volume 146, December 2020, 105131
肌のように目に見える部分と
メンタルや脳など見えない部分含めて、
全身の老化予防には日頃から気を配っておきたいものです。
カクテル 13 パラダイス paradise
1930年代から存在するいわばクラシックなカクテル。
ネーミングもしかり、味、香りともフルーツ系でどことなく甘々な感じで臨むとそうでもない。ジンのせいか、実はかなりauthenticな印象を受ける。
・ドライ ジン 30 ml
・アプリコット リキュール 15 ml
・オレンジ ジュース 15 ml
・レモンジュース 5ml
シェークしてグラスに注ぐ。

Notes; 表向き甘いが、芯がしっかりとある。飲んで特にパラダイス感は感じないが、こうありたいという理想を感じさせる一杯。
Hymn To Freedom 🎵
The Oscar Peterson Trio
Oscar Petersonの演奏は休止符が少なく常にずっと弾いている感じがバーでお酒を飲むムードにマッチしているように思える。