伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む元市議会議員。1960年生まれ。最近は遠野和紙に関わる話題が多し。気ままに更新中。

生き物の死にざま

2019年12月24日 | 読書
 「生き物の死にざま」に関心を持ったきっかけは、ネット配信された記事だった。まあ、記事というかエッセーその物が配信されており、あわせて本が紹介されていたのだ。

 その記事にはハサミムシの母親が紹介されていた。脳裏にお尻のハサミを振り上げる虫の姿がを思い描きながら読み始めた。

 あの勇ましい虫の母親は、石の下に産みつけた卵がかえるまでその場を動かず、卵を守ると同時にかいがいしく世話をし、孵化して誕生した子ども達にその身を捧げ、最初の餌になってしまうというエピソードが記されていた。

 自分の生を子ども達につなぐためにだけ生き、死んでいくハサミムシの母。その生きざまは「生」への「献身」そのものだ。その生きざまには、生物の縮図のすべてが表されているように感じるとともに、命への尊厳や自らの「生きざま」への視点が磨かれるようで、少し複雑な思いに絡めとられるようだった。

 その感動的な出会いで興味を深め、他の生物の「生きざま」にも触れてみたいと思っていたら、偶然にも書店に平積みで置かれていた本を見つけた。さっそく購入し、読んでみたわけだ。

 本書にはセミ、サケ、カ、カマキリ、タコ、マンボウなどなど、人間の生活の周辺で見かけたり、良く名前を聞く生物29種に関する「生きざま」のエッセーが綴られている。それぞれの生物ごとに感動的な姿が浮き彫りにされており、私にしては比較的短時間に一気に読み上げることができた。

 驚いたのは、ユキムシ(雪虫)がアブラムシの仲間だということだ。ワタアブラムシというらしい。


今年11月24日に撮ったユキムシ


 何種類かあるようだが、このうちの一種は、通常はメスが自らのクローンのメスを産み落とす単為生殖という方法で繁殖していくが、秋になると羽のあるメスが生まれ、飛んで移動した先で産み落としたオスとメスが交尾して越冬する卵を産み落とし、新しい環境に広がっていくのだという。

 あの妖精のようなユキムシがアブラムシだったなんて・・新たな発見には息をのむ思いだ。

 著書はどんな人なのだろう。エッセーを読みながら疑問に思い、奥付で著者の紹介を見ると、なんとなんと農学博士。生物の専門家ということではないらしい。その方がどうして、このようなエッセーを書くことになったのか、興味深いことでもある。

 何はともあれ、この1冊に接することができたことには感謝したい。


 さて、議会棟控室の窓の外の風景を今日も紹介しよう。

 微かに見えたハロ。写真は肉眼よりしっかり現象をとらえていた。



 一部の雲が虹色に染まった。彩雲。





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