伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む元市議会議員。1960年生まれ。最近は遠野和紙に関わる話題が多し。気ままに更新中。

小説「星守る犬」。「泣ける本」、オビにひかれて読んでみた。

2019年04月07日 | 読書
 正直、このタイトルの小説も、もちろん原作の漫画も知らなかった。

 ただ、ゴッホに題を取った「たゆたえど沈ます」以来、原田マハさんにはまって、「暗幕のゲルニカ」はじめ次々に作品を手に取った。いくつかの作品を読んだ後に手に取ったのが「小説・星守る犬」(原田マハ著、原作=村上たかし、双葉文庫)だった。



 読み始めて分かった。原作は漫画。そうか、表紙にそう書いてあった。後書きを見ると、原田さんが原作を読んで感銘し、小説→漫画はあるが、漫画→小説もあっていいんじゃないかという思案から、この作品が生まれたのだという。道理で、今まで読んだ原田作品とは趣を異にしている。そんな印象を受けた。

 物語は、人と犬の白骨死体が発見去れというニュースから始まる。物語は白骨死体となった人物と犬のストーリーと、遺体を担当することになった福祉職員の最後の家族なった愛犬のストーリーが重なる。飼い主と愛犬の信頼、そして悲劇ということができるだろう。

 我が家にも二匹の犬がいる。その犬は、少なくとも、私を飼い主と認めている。しかし、この物語のような深い信頼関係があるのか。考えるとはなはだ心許ない。

 福祉職員は、遺体で発見された犬と自分の犬を重ねながら、最後の家族だった犬が自分に向けた愛情を思いだし、遺体の主たちの思いを知ろうとする。

 愛犬はいつも星を見上げていた。じっと見上げること、それが「守る」こと。人は、望んでも、望んでもかなわないから見つめ続ける。人は生きていく限り「星守る犬」。私もそうなのだろうか・・。

 たしかに望んでもかなわないことはたくさんあるだろうが、「星守る犬」で終わりたくない。そんなふうに思う。


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