伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む市議会議員。市政や市議会、日常の活動などを紹介していきます。

和紙漉き講習に参加しました

2024年10月09日 | 遠野町・地域

 和紙漉き講習は、福島県の委託で実施している事業の一環。今後の遠野和紙継承のためにも和紙漉き技術の向上が大切との考えのもと、以前からご支援をいただいている谷野裕子氏を招いて、紙漉き設備の改善や技術上のアドバイスなどをいただき、紙漉き技術の向上をはかった。

 紙漉きの方法は、溜め漉きと流し漉きの二通りの方法のうち流し漉きを課題とした。

 初心者は表彰状サイズの簀桁で紙を漉きながら、流し漉きの方法を覚えてもらう。

 経験者はほぼ新聞紙見開き大の紙を漉いて、その技術の向上をめざす。紙漉きから乾燥まで、2日間の講習は実り多いものとなったと思う。

 小さいサイズと大きいサイズの流し漉きの大きな違いは、バネで簀桁を支えるかどうかにある。

 小さいサイズの場合、簀桁に紙料(楮の繊維を含む水)を汲み上げても、せいぜい数kgにとどまる。このため、自身の腕力で簀桁を持ち上げ、揺すりを欠けることもたやすい。

 一方、大きいサイズ(ほぼ新聞紙大)になると、水を汲み上げた際の総重量が20kg程度にもなるという。たしかに、たっぷり水を汲み上げると、腕が重量に耐えられず、簀桁がずしりと沈み込む。この重量を支えるのが簀桁とひもでつないだ竹バネだ。竹バネは簀桁の重量と、揺すりでこめる腕力、加えて揺るられた水の動きに反発して動こうとする。この竹バネをうまく制御できれば紙漉きをスムーズに実施することが可能になる。このコツをつかむことが課題になる。

 また、水を汲むさい、手前の紙がめくれる事故が発生することが多いのも初心の頃だ。紙料(水に楮の繊維とネリを加えた物)を汲み上げる際の、簀桁の入水のさせ方などに問題があるからだが、私の場合、いきなり大きな簀桁で紙漉きの練習を始めたため、この克服に苦労をしたものだ。最初に小さいサイズで流し漉きをしてもらう理由は、この練習を通じて簀桁の扱いのコツを掴んでもらうことにある。

 私は両日で15枚程度の大きいサイズの紙を漉いたが、先生からいただいたアドバイスは揺すりのスピードが速いので、もっとゆっくり揺すってもいいよということ。ただ揺すりが早いときれいな紙ができるので、障子紙にむいた紙となるという。つまり、揺すりのスピードも、出来上がった紙の使途に応じて調節することが必要だということだ。

 また、全体を通してあったのは、漉き船(紙料をためる容器)の高さを漉き手に応じて変えることができるようにする必要があるということと、簀桁に比べて使用した漉き船が小さく揺すりにくいので、大きい方の漉き船を使って紙を漉くようにした方が良いということだった。船の高さはほぼ腰高になるように身長の高い人に合わせて上げ、身長が低い人のために踏み台とする簀桁を用意して高さを調節できるようにしたら良いということだった。

 さっそく設備の改善に着手したいものだ。

 その他、

煮熟(水に浸した後の白皮をソーダ灰等を加えて加熱する作業)は皮がひたひたになる程度の分量で実施、

煮熟した白皮は1晩釜の中で放置した後に取り出し、水を切って容器に入れて1昼夜から2昼夜放置した後に紙漉きに必要なだけ水晒しをすること(煮熟した皮は水晒しをしなければ熟成が進むが、水に晒すとその次点から傷み出すので早く使い切る必要がある)、

コウゾの皮から黒皮を剥ぎ取るしょしとりは1番茶を摘む頃までに終える、

畑の楮を高過ぎるほどに育てないよう、成長点を切断することも試してはみてはどうかということ、

漉いた紙を積み上げた紙床(しと)を乗せる台は簀の子状として水が切れやすくすること、

など多くのアドバイスをいただいた。

 今後の遠野和紙の製造に活かしていきたいものだ。

 アドバイスをくださった谷野先生ありがとうございました。



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