少し前の話題になるが、広島県安芸高田市で、市長が議員定数を現在の16から8に半減させる条例改正案を議会に提出し、賛成1、反対14で否決された件について、どう思うか?とのお話が数人からあった。
私の考えとしては、これは市長自らがやってはいけないことだと思う。
ネットニュースによると、居眠りをしている議員がいたり、質問をしない議員がいるなど、市長が看過できない議員がいたようだ。
そこだけ見ると、改革派市長が守旧派の議員を懲らしめようとしているような印象を持つ市民はいるのかもしれない。
しかし、そもそも市長と議会の関係は、そのようなことを前提にしていないと考える。
市民から直接選ばれた市長が、「自分が言うことは、やることは、何でも正しい!」となって暴走しないように、同じく市民から直接選ばれた議会がチェック機能を果たす。
よって、市長自らが議員定数を削減しようとすることは、自分に対するチェック機能を弱めようとしているとの解釈もできてしまう。
「そもそも機能していない議会なのだから、定数削減しても問題ない」という考えだとするならば、市長自らが提案するのではなく、考えを同じくする議員から提案してもらうべきだったと思う。
そうすれば、議員自らの手による議会改革ということになるので。
もちろん、議員の居眠り等を容認するものではない。
ただし、「自分は正しいことを言っているのだから…」というだけでは、人は動かないし、納得しないということである。
それが、感情のある人間社会の複雑さであり、それを跳ね除けようとするならば、昔の小泉改革のような膨大なパワーやエネルギー、カリスマ性などが必要になるだろう。
政治の世界に限らず、多くの人は自分の方が正しいと思って発言する。でも、それが相手に受け入れられないことも多い。
だから、世の中には揉め事や争い事が溢れるのだと思う。
その「自分は正しい!」と思っていることを、どう多くの皆さんに理解してもらう努力をし、多くの皆さんに賛同してもらうか?
それがまさに政治であり、その政治家の腕や力量なのだと思う。