プレーもスマイルも全力投球-。欽ちゃん球団「茨城ゴールデンゴールズ(茨城GG)」の紅一点、片岡安祐美さん(23)は寅(とら)年生まれの年女で、県内での生活も5年になった。いつものユニホーム姿とは違った正月らしい晴れ着姿で登場、萩本欽一監督(68)のラストイヤーでもある今年にかける思いを聞いた。(城野崇)
--ユニホームを脱ぎ、晴れ着を着てもらった
「成人式以来で3年ぶり。華やかな格好をすると、やっぱり女の子なんだなと実感できてうれしいですね。両親からも『グラウンドの外では女性らしくしなさい』といわれていて。
といっても、最近では半ばあきらめられていますけど。先日、学生時代の女友達で何時間も恋愛話をしたんですが、話す内容がなく、もっぱら聞き役で…」
--寅年の年女
「気の強い女性が多いといわれる『五黄(ごおう)の寅』の年に生まれたからか、強がりで、負けず嫌いですね。
小さいころから『周りに負けるな』と育てられましたし、自分にも負けない気持ちで野球を続けてきました。お父さんとお母さんはずっと野球を応援してくれて、私は恵まれていると思います」
《小学3年生で甲子園にあこがれ、野球の道へ。熊本商高では、野球部で男子生徒と同じ練習を積んだが、高野連の規定で公式戦には出場できなかった。平成17年、茨城GG入団。流通経済大(龍ケ崎市)にも進んだ》
--茨城GGはどんなチーム
「チームメートはみんな良いお兄ちゃん。食事や遊びに誘って、妹みたいにかわいがってくれます。
野球に関してはお互い譲れない考えもあるから、衝突もしますけど、グラウンドから一歩出たら、引きずりませんね。“欽督”(萩本欽一監督)は、一度は野球をあきらめることを考えた私たち選手にチャンスをくれた、もう一人のお父さんみたいな人。あんドーナツが好きで、練習後に『安祐美も食べなよ』と優しい言葉をかけてくれたり…」
--萩本さんは今年限りでの監督引退を表明している
「私たち選手は欽督の口から聞いていないんですよ。もちろん監督を続けてほしいけど、スポーツの世界では監督の言うことは絶対ですから。どんな形になるにせよ、選手ができることは欽督を今年も胴上げしてあげることだけ。
私も、これまでは家族や観客の皆さんのために野球をやってきましたが、今年は欽督のためだけに野球をしようと決めているんです。ここまで野球を続けられたのは欽督のおかげだから」
《茨城GG入団以来、県内での生活も5年近くになる》
--茨城県民に元気の源を
「茨城の人は温かいですよね。野球の応援に来てくれた小さい子供が『安祐美ちゃん』と手を振ってくれたり、近所のおじさんが新米や野菜をくれたり。
応援してくれる人がいることは幸せ。土地の雰囲気ものんびりしていて、熊本県のおばあちゃんの家にいるみたい。第二の故郷だと思っています。茨城に住んでいるなら、茨城GGの試合を見に来てほしい。すごく楽しめると思います。
私たち選手が勝ちにこだわって走り回る姿や、欽督のマイクパフォーマンスを見て、笑顔になってほしい」
--平成22年、どんな年に
「元気が取りえなので、モットーは『安祐美らしく』。常に笑顔でいられるよう、現在を大事に生きていけたら。私が今、こうしていられるのも運命の巡り合わせで、人生は何が起こるか分からない。
万が一、今日が最後のプレーになったとしても、振り返ったとき後悔せず、『ああ、いい野球人生だったなあ』って思えるようにしたいんです。だから、やりたいことは義務を果たした上で必ずやるようにしています。
何事にも感謝の気持ちを忘れずにスマイルでいきたい」
かたおか・あゆみ
昭和61年11月14日、熊本市生まれ。153センチ。49キロ。血液型B型。流通経済大卒。茨城GGの第1期選手で背番号1。ポジションは二塁。女子硬式野球の日本代表に選ばれ、女子野球世界大会、女子野球ワールドカップで世界一を計3回経験している。一方、「タッチ」などの野球漫画で知られる漫画家、あだち充さん監修の写真集「TOUCH UP!」も発売、ポーラ化粧品のCMにも出演した。趣味は料理。得意料理は「おそば屋さん風の黄色いカレー」。
(MSN産経ニュース、http://sankei.jp.msn.com/sports/baseball/100102/bbl1001021202001-n1.htm)