引き続き、弱まる陣痛。
「あ~あ。こりゃ、また家に帰されそうだなぁ・・・
」
と思っていたけれど、おばちゃんナースが来て
「先生に連絡したら、このまま病院で陣痛を待って産みましょう。って
言ってたからね。頑張ってね~
」とテンションの上がることを言って
去っていった。
この弱さはヤバイと思っていたのでラッキ~だ
頑張ろう。
ところが、しばらくしたら今までとは比べ物にならない陣痛がやってきた。
私は第五腰椎分離症プラス側湾症の持ち主で、きっと骨盤の具合が悪いのだろう。
一回目の出産の時も回旋異常を起こし、三日かかった。
なので今回はなるべく骨盤をまっすぐに保とうとベットの上であぐらをかき、
目の前にあるテレビの赤いランプを睨みつける。
「ヒ~ヒ~、フ~~~~~
(私は痛みに対して怒りで向かう性質らしい。)」
「ヒ~ヒ~、、、、このやろ~~~。負けるもんか~~~~
(ある意味逆ギレ)」
トイレに向かうためにナースを呼び、来てもらったが
立ち上がったら最後、痛みの波で動けない
ここで立ち上がって動いたのが陣痛促進になったらしく、ここから
恐ろしく痛み出した
(また怒っている。)
内診でやはり赤ちゃんが通常の向きで降りてきていないといわれ、
あぐらではなく横を向いて寝るように言われる。
「何だよ。早く言ってくれ
」
一年に一度キレたらいいほうの私も、痛みには怒りで立ち向かい続ける。
ここで午前3時。
もう、誰がマッサージしてくれているのか分からないようになってきた。
腰がビキビキ総崩れだ
前回の陣痛はお腹が痛くて、ヒ~ヒ~フ~も最初の吸う時に痛かったのだが、
今回は正反対。腰が痛くて、ヒ~ヒ~フ~も吐く時が痛い
だから、自然と
「
ヒッ。ヒッ。ヒッ。ヒッ。ヒッ。。。。。。。。。。フ
」だ。
(なるべく多く息を吸って、痛くなる吐く行動は極端に短い
)
あまりに多い「ヒッ」と、あまりに弱々しい「フ」に旦那と母から笑いが漏れる。
「このやろ~~~~
」と思うが、痛みで口が開かない
アメリカでは無痛分娩をする人が多く、ナースも逐一すすめてくる。
私の場合、SEAN出産の時に麻酔が効いている部分が発熱し、SEANにまで
移ってしまったので今回はそれをどうしても避けたかった。
でも前回の回旋異常は麻酔をしてリラックスしたら、すぐにクルッと回転して
でてきたのだ。今回も回旋異常だし。でも長く麻酔して発熱したら困るし・・・。
とにかく、耐えられるだけ耐えて、最後になるべく短く麻酔を使うのが
今回の私の目標だった。
でも。もう限界が近づいてきている・・・
「もう麻酔してもらおうかな。」旦那に聞く。
「うん
」即答。・・・何だか納得いかない。
「やっぱり、もう麻酔してもらおうかな。」母に聞く。
「そうしてもらい
」即答。・・・やっぱり納得いかない
一晩付き添いとマッサージで二人も相当疲れてきているのが分かる。
ひょっとして、麻酔をうって楽になろうと考えての即答か
あまりの返事の早さに痛みと同時に怪しむ私。
やっぱり我慢できる限界ギリギリまで頑張ろう。もう聞くまい。そう思った。
ベットの手すりをギリギリと握り締め、ひたすら息を吸い続けていたが
陣痛の合間がなくなってきたので、弱気になってくる
ここで硬膜外麻酔ではなく、点滴から入れてもらう薬をお願いする。
これは二回まで使うことができるもので、痛みはとれないが
体の緊張をとって、余計な痛みを軽減させるものらしい。
あっというまに効いてくる。体の緊張もとれるけれど、とにかく頭がボ~ッと
するのもこの薬の特徴で、この世とあの世の間にいる感じになる
目も開けられないほど、力が抜けるのだけれど、
「よく寝てますね~
(旦那)」
「ほんま。薬がよく効いてるんやわ~
(母)」なんて
周りの会話はとてもよく聞こえてくる。
この時点で午前5時。子宮口7センチ大。
「7時になったら先生が来るからね~
」と、ナース。
・・・ううう。あと二時間もあるのか~~~
終わりはいつだ
心の底からそう思う。
麻酔が弱まり始めると、さらに激しい陣痛の大嵐。
もう、いっそのこと、意識を失わせてくれたら楽なのに・・・
怒りと泣きが混ざる。
午前6時。
先生が来るという時間まであと一時間。もう限界だ
麻酔をお願いしよう。
そう言ったら旦那がナースセンターまで言いに走った。(彼も限界だったのだろう)
だけれど、ナースからの返答は
「今、先生の入れ替え時間だから次の先生が来るまで少し待ってて。
さっきの点滴から入れるお薬、もう一つ使えるから
」
ってことで、想定外のフラフラ薬二本目突入。
また一気に、あの世とこの世を彷徨い始める。
彷徨っているところへ、ナースがなにやら箱を持って入ってきた。
内診か??と思ったら。
「いたっ
」・・・導尿だった
痛みで気付かず、もちろんトイレにもいけなかったので驚くほど溜まっていたらしい。
もうどうにでもしてくれ・・・
30分ほどで薬が切れてもがいているところに麻酔科の先生到着。
旦那、母は部屋の外へ。(SEANは夢の中。)
前回の経緯と麻酔はなるべく少なく、第五腰椎が分離しているので避けて打って
もらうように先生にお願いして欲しいとナースに言っておいたが、
痛みの最中、必死にナースに確認すると「あっ。言ってない。」・・・
先生は先生で、「お~、日本人にしては背が高いねぇ。」だとか
「妊婦なのに痩せてるね~。」だとか。んなこた~、どうでもいい
そんな話をしている場合ではない
先生に第五腰椎の話をする・・・「SAME
」・・・はっ
麻酔で熱が出た話をしたら・・・「SAME
」・・・はぁ~
「このやろぅぅぅぅぅ
」何がSameなんだか訳も分からず、
これで何か起きたら訴えてやるぅぅぅぅぅ
と思いながら痛みに耐える。
前回は全く痛くなかったのに、今回は感覚がある。
まるで脚気のように、何かを刺されるたびにビョンッ
と飛び跳ねてしまう。
「おっと。さ~、もう一回飛び跳ねるよ~。」気楽な先生の口調に
「飛び跳ねてやるもんか~~~~
」と力むが。
ビョンッ
(言われた通り、飛び跳ねてる。)
・・・・くっそ~~~~
いったん弱まった私の痛みを打ち消す怒りが、先生のお陰で復活だ。
怒りは戻ったが、麻酔がすぐに効いてくるので痛みもなくなっていく
「ふい~~~~~
」と元気になってきたところで主治医登場
「はいはい。ど~う
」いつもの通り、気楽な先生だ。
私の返事は
「お”は”よう”う”こ”さ”い”ま”す”ぅぅぅぅ
」声が・・・。
あまりにヒ~ヒ~息を吸い続けていたので、乾燥から枯れきっていた
「おお。どうした
その声は
」先生もビックリだ。
「ん~と。9センチ大だね~。回診にちょっと行って30分後に
戻ってくるから、それから産みましょう
」
麻酔の先生と格闘している間に9センチまで開いていたらしい。
パスッとなにやら棒で人口破水させ、
「赤ちゃんがちゃんと向いて降りてきてないから、左を向いて寝てるように。」
そういいながら、私の体勢を整えてくれた。
左を向いて、左足を大きく後ろへ伸ばし、右足を反対に大きく胸のほうへ抱え込む。
痛みは完全になくなっていない。腰はまだまだ痛む。
でも、もうすぐだ。ゴールが見えた
それだけでテンションが上がる
丁度いい具合にSEANもムックリ起き出した。
母の痛がる姿を見て、怖がらせずに済んだので本当によかった
ナースが入れ替わり立ち代り、ベッドを出産スタイルに変えたり
赤ちゃんの手入れグッズを揃えたり、周りが一気に慌しくなってきた。
先生も言ったとおり、30分後に戻ってきて手術着に着替える。
内診をしたら、赤ちゃんもちゃんと向きを直して降りてきていた
前回は「便秘の時にふんばるように頑張るんだよ~。」といわれ、
「それなら得意です
でも本物出たらすみません~
」と返すと、
「オッケイ、オッケイ。それでいいんだよ~
」なんて下の会話がされたのだが。
今回は「10メートル海の底に潜るようにね~
」と言われた。
残念ながら「得意です
」とは言えなかった。笑。
母にSEANを部屋の外へ連れて行ってもらい、ナース二人と旦那に足を支えられて
いざっ
出産
「いくよ~~~~
それっ
」
1・2・3・4・5・6・7・8・9・10
旦那の掛け声に合わせてイキム。
肺活量は4000あるので余裕の10カウントだ。
「はいっ
もう一回っ
」
1・2・3・4・5・6・7・8・9・10
「はい。いいよ~。力抜いて~~~
」
三回のいきみで出てきた。ものの5分程度
やはり前回同様、赤ちゃんが回ってからはとっても早かった。
こうして、午前7時30分。無事NINAちゃんの誕生です