現代日本人文芸

現代に生きる日本人の文芸です。小説、エッセイ、俳句、短歌、川柳、現代詩、日本の伝統文芸を愛し新しい日本の文芸を創作

現代日本人文芸:二宮正治小説:小池百合子をひとりで歩かせてはならない:第132回:フィクション

2017-03-12 05:18:28 | 日記

「移転というのは簡単な仕事ではないのだ。世界的な権威がやっても成功しない場合が多いのだ」

 Nは仲間にこう言った。そして、

「おれはな大学時代この事を日本の都市計画の第一人者の磯村英一教授から嫌というほど聞かされたよ」

「その教授の名前は知っている」

 仲間が言葉を返す。

「石原慎太郎氏はこれ以上小池百合子都知事の責任を口走ったら今までの栄光に泥を塗ることになる」

 Nはこう言って苦渋の表情を浮かべた。

「百条委員会もつかな」

「体調が悪そうだ」

「素直に自分の責任を認めたほうが自分自身のためだ。これ以上無苦しいところを見せると歴史に悪名を残す事になる」

 Nとその仲間は心の底で石原慎太郎氏を心配しているのだ。

「豊洲を選んだのは石原慎太郎氏の一世一代のしくじりだ」

 Nはまた苦渋の表情を浮かべた。


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