
雲間が開くと
みんな着席していた
おくれて先生があらわれた
自己紹介がはじまった
ずいぶんと年月が経ち
顔と名前がズレている
変わりばえのない僕を
覚えているだろうか
背の丸い先生は
羊皮紙を配った
ぶ厚い教科書は不要らしい
とたんにさわさわした
えーと、
この前のつづきから
と冗談めいた
ふることをくだり
千年の奇跡を疑った
可笑しなものだな年月って
姿も気持ちも変えてしまう
コノハナサクヤ
秋空と枯葉がまぐわって
宝石にゆらめく枠飾り
にぎやかな森には
もう戻れないみたいだ
いつのまにか伽藍堂
さようなら
次回までは復習をやっておきます
個人詩誌「風の中へ」第1号 2020.12.10