台風一過の雲は
主をなくして散り散りになる
心には
まだら模様がながれ
晴れては翳り
翳っては晴れ
そのような中でこそ
想いはいっそう深く
*
スズラン通りのお堀端には
静かに水がながれ
紙飛行機の残骸が浮いている
空はどこまでも空で
木々や建物が
のんびりと歪んでいる
わたしの姿はどんなふうに映るのだろう
往きすぎる人たちの
会話ははずんでいる
*
フランソワーズ
大好きなフランソワーズ
君はフランソワーズだよね
そうだよね
交叉する脛
ゆれる肩
からむ髪
きっとフランソワーズだ
声をかけるよ
驚かないで
フランソワーズ