goo
カウンター

森の中へ


アトリエのかえり
道をまちがえて
森へ迷いこんでしまった
手さぐりで暗がりをかき
道をさがした

腐葉土を一歩踏むたびに
心音は速まった
ほんとうの闇は
まだ見たことがなかった
はやく一枚の絵を仕上げなければ

とおくに月明かりが見える
生き物の寝息が
どこからか漏れてくる
言葉すくない
あなたを疑っていた

樹木のざわめきに
フッと足もとが浮いた
真実のない不安
ほんとうの姿の怖さ
ゆえに色彩をまとった

もし千年がつづくのなら
なにも描きはしないだろう
くねった道があらわれたとき
精霊が
やさしく
語りかけてくれるだろうか
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする