15日、池袋までの電車の中で読もうと、国立の駅中の本屋さんで買った文庫。
沢木耕太郎のエッセイ。

大昔、『深夜特急』で沢木耕太郎を知った。
勿論、その本も夢中で読んだものだった。
でも、私が沢木の作品で、一番心惹かれたのは『テロルの決算』だった。
この作品について、今回、読んだエッセイで触れている文章が、とても印象深かった。
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17歳の山口二矢の死について、書かれているセンテンスを引用する。
(P.240 〜P.241)
「もし生きていたら」という仮定を許さないのは、彼らが生きた『完璧な瞬間」が人生の読点ではなく、句点に匹敵するものだったからではないだろうか。「、」ではなく「。」だった。
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この「人生の読点ではなく、句点に匹敵する」という表現、これは沢木耕太郎ならでは、だと、つくづくと思った。
まさにその通りだと、心から納得した。
山口二矢の死は、そういうものだった。
このような文章を書ける沢木耕太郎が、羨ましい。
私が、子どもの時に、テレビのニュースで見て、未だに目に焼き付いている、山口二矢が浅沼稲次郎を刺殺する瞬間を撮った長尾靖はピューリッツァー賞を受賞した。
帰路の飛行機で読み終え、私はぼーっと考えてしまった。
なんだか、沢木が、山口二矢に拘るなにかが、解るような気がした。