徹夜夜型の私は、午前、まぁそこそこの時刻に目が覚めてトイレへ行ったら、奥のツレアイの勉強部屋のドアに張り紙がある。
「集中講義中」だという張り紙だ。
私に意味不明な音を立てるなとういう為の張り紙だ。
「Zoomか…」
コロナがなけれなツレアイは東京へ行っていたはずだった。
しばし、ツレアイの食べ散らかした食器など洗って、洗濯機も回して、coopのブツを受け取ったりしていたら、そこへ、ツレアイが現れた。
「休憩時間なんだ。ずっと英語だよ」と言った。
「あ、そっ」と答えたのみ。
ツレアイは、コーヒーを煎れて、私の机にも置いて、「じゃあな」と言って消えた。
それで、私は、今、凝っているグザヴィエ・ドラン監督の『マミー』を見始めた。
フランス人のフランス語は、早口でまったく理解したくない気持ちになるけれど、カナダ人のフランス語は、ちょっとゆっくりで、映画を観ていても、その距離感に親近感が湧く。
夕刻、妙に疲れ痩けたツレアイが「終わった」と言って茶の間にやって来た。
「あと15分ぐらいで終わるから」と『マミー』を見ながら私。
またツレアイは勉強部屋へ消えた。
さすが、思いやり欠如をチョイ反省した私は、ツレアイに、晩ご飯の時に、訊いた。
「なんで、英語で授業してんの?」
「大学院生7人のうち5人が留学生なんだ」
「日本語、わかんなくても、留学してくるんだ」
「留学生がいる場合、英語で講義するのは、今はスタンダードだよ」
「ふ〜ん」
などどと話しているうちに、
茂木大臣が記者会見で物議を起こした話しに展開した。
海外の記者がコロナについて、質問をしたらしい。
どうも客観的にも、その記者の日本語は理解がちょっと難しかったらしく、茂木氏が英語で質問を問いただすと、その外国人記者が「日本語で質問をしているのに、日本語で答えないのは、差別だ」と気色ばったらしい。
それで茂木氏は、「あなたの質問は入国管理局にお訊ね下さい。この日本語は、分かりますか?」と言ったと言う。
私は、ツレアイの流れから茂木氏の記者会見のやり取りまで、まるでラーメンズのコントみたいだと思えて、久々にゲラゲラ大声で笑った。
そんな、やりとりに、すっごく笑った。
おおよそ、互いに微妙なニュアンスは大体伝わらないんだから、おおよその概略、言いたいことを、お得意の忖度で、ほぼほぼ伝わればそれでいいじゃんと、そしたら旅はできるよー、なーんてね。
せいぜい切符の買い方を訊くか、道を訊ねるかの旅と違って、学問の講義とか、政治でのマスコミとのやり取りでは、そんな訳にいかんのだろうね。
でもさ、なんか、すっごく笑えるた。
なんというか世間だよね。
これが。