精神的ショックで、「心的外傷後ストレス障害(PTSD)」の賞状が出る場合があります。河北新報では、被災した方へのアドバイスとして記事がまとめられていました。
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地震や津波から避難した恐怖の記憶、家族や知人を亡くした喪失感。未曽有の災害による精神的ショックで、被災者は「心的外傷後ストレス障害(PTSD)」の症状が出る可能性がある。少しでも心の傷を癒やすために、専門家は被災者同士で励まし合い、協力しあうことの大切さを呼び掛ける。
◎不安感 時間の経過待って
震災後、被災者に共通するのは、神経が高ぶって夜眠れない、いらいらする、食欲が出ない、などの症状だ。阪神淡路大震災で被災者のケアに当たった甲南大学人間科学研究所の森茂起教授(臨床心理学・トラウマケア)は「誰にでも起こりうる自然な反応。時間の経過の中で、必ず収まる。自分だけがおかしいのではないか、病気ではないか、などと不安にならないで」と呼び掛ける。
今回の震災の場合は、テレビで津波や海の映像を見たり、発生当時、自分がしていたことをするだけで、動悸(どうき)がしたり、汗が出たりといった症状が出る場合もある。
「ほんの少しでも体を動かすことが、心理面の負担の軽減になる。手を開いたり閉じたり、深呼吸をしたり、肩を上げたり下げたりするだけでいい。避難生活でできる範囲でやってみてほしい」(森教授)と話す。
精神面を支えるには、避難生活で不足している物資の支援や、インフラの復旧も急務。新潟県中越地震の被災者支援に携わった精神科医で、新潟市こころの健康センターの福島昇所長は「生活のつらさは悲しみを助長し、不安な気持ちで過ごす時間が長いほど症状は重くなる」と指摘、早急な生活支援の重要性を訴える。
◎喪失感 苦しさ誰かと話を
家族や親しい人を亡くし、深い喪失感を抱える被災者の心のケアも重要だ。
森茂起教授は「喪失体験からの回復は、決して時間を急いではいけないというのが鉄則」とした上で、「苦しい思いを誰かに話して乗り越えていくことと同時に、生活の再建に向けての仕事をしたり、自分の力を発揮していく営みとの両輪が必要」と呼び掛ける。
悲しみを乗り越えることにだけ集中し過ぎず、避難所などで人のために動いたりすることが、自分の気持ちの立て直しにもなる。
家族を亡くした人に、周囲はどう接すればいいか。福島昇所長は「つらい体験を聞き出そうとせず、本人が発したものは受け止め、とにかく寄り添う、という姿勢を持ってほしい。精神面を支えようと構えるよりも、まずその人の生活を具体的に手伝ったり支えたりしていくことが大事だ」と話す。
地域全体が被災した中で、同じ町、同じ土地の記憶を持つ人同士が助け合うこと自体が、大きな支えになる。
◎罪悪感 「役に立つ」重要
中長期的には「サバイバーズ・ギルト」と呼ばれ、命をとりとめた被災者が「なんで自分だけが助かってしまったのか」と自責の念にさいなまれる症状のケアが課題となる。
自分の無力感が、さらに自責の念を助長させる傾向があるという。森茂起教授は「避難生活の中で役割分担を増やし、人の役に立てることを増やすことが重要。周囲の人は自責の思いを否定せずに聞いてあげて」とアドバイスする。
「助けようと思ったのに、助けられなかった」と苦しむ場合もある。
森教授は「同じような思いをしているのは一人だけではない。状況を広い目で理解できるよう、周囲の人や、場合によってはカウンセラーが支える必要がある」としている。
2011年03月19日土曜日
引用:河北新報HP
http://www.kahoku.co.jp/news/2011/03/20110319t75032.htm
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地震や津波から避難した恐怖の記憶、家族や知人を亡くした喪失感。未曽有の災害による精神的ショックで、被災者は「心的外傷後ストレス障害(PTSD)」の症状が出る可能性がある。少しでも心の傷を癒やすために、専門家は被災者同士で励まし合い、協力しあうことの大切さを呼び掛ける。
◎不安感 時間の経過待って
震災後、被災者に共通するのは、神経が高ぶって夜眠れない、いらいらする、食欲が出ない、などの症状だ。阪神淡路大震災で被災者のケアに当たった甲南大学人間科学研究所の森茂起教授(臨床心理学・トラウマケア)は「誰にでも起こりうる自然な反応。時間の経過の中で、必ず収まる。自分だけがおかしいのではないか、病気ではないか、などと不安にならないで」と呼び掛ける。
今回の震災の場合は、テレビで津波や海の映像を見たり、発生当時、自分がしていたことをするだけで、動悸(どうき)がしたり、汗が出たりといった症状が出る場合もある。
「ほんの少しでも体を動かすことが、心理面の負担の軽減になる。手を開いたり閉じたり、深呼吸をしたり、肩を上げたり下げたりするだけでいい。避難生活でできる範囲でやってみてほしい」(森教授)と話す。
精神面を支えるには、避難生活で不足している物資の支援や、インフラの復旧も急務。新潟県中越地震の被災者支援に携わった精神科医で、新潟市こころの健康センターの福島昇所長は「生活のつらさは悲しみを助長し、不安な気持ちで過ごす時間が長いほど症状は重くなる」と指摘、早急な生活支援の重要性を訴える。
◎喪失感 苦しさ誰かと話を
家族や親しい人を亡くし、深い喪失感を抱える被災者の心のケアも重要だ。
森茂起教授は「喪失体験からの回復は、決して時間を急いではいけないというのが鉄則」とした上で、「苦しい思いを誰かに話して乗り越えていくことと同時に、生活の再建に向けての仕事をしたり、自分の力を発揮していく営みとの両輪が必要」と呼び掛ける。
悲しみを乗り越えることにだけ集中し過ぎず、避難所などで人のために動いたりすることが、自分の気持ちの立て直しにもなる。
家族を亡くした人に、周囲はどう接すればいいか。福島昇所長は「つらい体験を聞き出そうとせず、本人が発したものは受け止め、とにかく寄り添う、という姿勢を持ってほしい。精神面を支えようと構えるよりも、まずその人の生活を具体的に手伝ったり支えたりしていくことが大事だ」と話す。
地域全体が被災した中で、同じ町、同じ土地の記憶を持つ人同士が助け合うこと自体が、大きな支えになる。
◎罪悪感 「役に立つ」重要
中長期的には「サバイバーズ・ギルト」と呼ばれ、命をとりとめた被災者が「なんで自分だけが助かってしまったのか」と自責の念にさいなまれる症状のケアが課題となる。
自分の無力感が、さらに自責の念を助長させる傾向があるという。森茂起教授は「避難生活の中で役割分担を増やし、人の役に立てることを増やすことが重要。周囲の人は自責の思いを否定せずに聞いてあげて」とアドバイスする。
「助けようと思ったのに、助けられなかった」と苦しむ場合もある。
森教授は「同じような思いをしているのは一人だけではない。状況を広い目で理解できるよう、周囲の人や、場合によってはカウンセラーが支える必要がある」としている。
2011年03月19日土曜日
引用:河北新報HP
http://www.kahoku.co.jp/news/2011/03/20110319t75032.htm