アニメ「エスパー魔美」を改めて通して見てみた。
119話にも及ぶ長期放送なので、各話の完成度はかなり玉石混交。F先生の原作がついていたものの方が、やはり平均的には完成度が高い傾向にあると思う。しょーもない話はかなりしょーもないが、人気を維持したのはやはり魔美ちゃんのヌードなど、ソフトなお色気要素に支えられてのことだったのかな。
児童ャ泣m禁止法案に絡んで、「エスパー魔美などF先生の作品にも規制がかかるのか?」というような声をたまに見かける。まさかと思っていたが、今回魔美を見なおしてみると、アニメ・マンガとも大らかというにはやや行き過ぎかとも思う魔美のヌードの多さにやや驚く。「絵画のモデルとしてのヌードはやらしくない」という建前を利用した、F先生の手口といえば手口。
エスパー魔美はF先生の作品の中でも比較的高い年齢層を意識した作品。そのコンセプトは…
・超能力も持つ少女を主人公として一話完結の物語。
・超能力以外の怪奇現象は物語の導入としては取り入れられるが、必ず合理的に解決・解明される。
・人間の欲・正義・愛など、正邪とりまぜた人間物語を基本とする。
・適度なお色気。
といったところが推察される。
やや高い年齢層向けということから本格的な人間ドラマが志向され、F作品にはあまり登場しない悪も登場する。無論児童向けF作品にも悪人は登場するだろうが、単なる「悪い人」として描かれ、やっつけられたり改心したりする。魔美の場合の悪とはかなり普通の人の心に潜む悪(アニメ第21話「電話魔は誰?」)や、世間一般では完全な悪ながらそれなりの葛藤を抱えた人間(同第99話「狼になりたい」)、単なる悪人というより虚無を抱えたような話し合い不能の悪(同第19話「弾丸よりも早く」)など様々な悪が登場する。悪人の描写が各話の肝とさえなっている。
かなりドス黒い人間の心を描くことも躊躇しないF先生の覚悟が原作では見られるが、アニメ版は一話を30分で描く時間があること、より低い年齢層も見ることが想定されることからか、ややソフトなまとめ方に話が改変されていたりもする。
例えば「魔女・魔美?」はマンガ版では最後魔美のクラスメイトの悪事が露呈された瞬間で話が終わっていて、かなりエグい読後感を残したが、アニメ版は高畑の提案により悪事そのものは除去されたのだから、あえて犯人探しはしないでいようという提案がなされる。「リアリズム殺人事件」マンガ版では芥川「地獄変」の絵師さながら、本当に人を焼き殺して映画を撮ろうとする監督が登場するが、アニメ版では「焼き殺されてしまうのはないか」と役者を怯えさせすことまでもが実は映画監督の作戦だった、と変更されている。
この改変がお子様向けで生ぬるい結果につながっているかというと、必ずしもそうでもなく、フィクションというものはどういうものかという掘り下げにもなっていて、個人的にはアニメ版の方がより深い作品に仕上がっていると思う。この「リアリズム殺人事件」、原作にありながらアニメ版では91話目でようやく登場していることから推察するに、あまりに激しい原作だったので当初はアニメ化が見送られたのではないか。その後のアニメ化では相当慎重な脚本化がなされ、結果的に原作も超える深い作品になったのかもしれない。

児童ャ泣m禁止法案に絡んで、「エスパー魔美などF先生の作品にも規制がかかるのか?」というような声をたまに見かける。まさかと思っていたが、今回魔美を見なおしてみると、アニメ・マンガとも大らかというにはやや行き過ぎかとも思う魔美のヌードの多さにやや驚く。「絵画のモデルとしてのヌードはやらしくない」という建前を利用した、F先生の手口といえば手口。
エスパー魔美はF先生の作品の中でも比較的高い年齢層を意識した作品。そのコンセプトは…
・超能力も持つ少女を主人公として一話完結の物語。
・超能力以外の怪奇現象は物語の導入としては取り入れられるが、必ず合理的に解決・解明される。
・人間の欲・正義・愛など、正邪とりまぜた人間物語を基本とする。
・適度なお色気。
といったところが推察される。
やや高い年齢層向けということから本格的な人間ドラマが志向され、F作品にはあまり登場しない悪も登場する。無論児童向けF作品にも悪人は登場するだろうが、単なる「悪い人」として描かれ、やっつけられたり改心したりする。魔美の場合の悪とはかなり普通の人の心に潜む悪(アニメ第21話「電話魔は誰?」)や、世間一般では完全な悪ながらそれなりの葛藤を抱えた人間(同第99話「狼になりたい」)、単なる悪人というより虚無を抱えたような話し合い不能の悪(同第19話「弾丸よりも早く」)など様々な悪が登場する。悪人の描写が各話の肝とさえなっている。
かなりドス黒い人間の心を描くことも躊躇しないF先生の覚悟が原作では見られるが、アニメ版は一話を30分で描く時間があること、より低い年齢層も見ることが想定されることからか、ややソフトなまとめ方に話が改変されていたりもする。

この改変がお子様向けで生ぬるい結果につながっているかというと、必ずしもそうでもなく、フィクションというものはどういうものかという掘り下げにもなっていて、個人的にはアニメ版の方がより深い作品に仕上がっていると思う。この「リアリズム殺人事件」、原作にありながらアニメ版では91話目でようやく登場していることから推察するに、あまりに激しい原作だったので当初はアニメ化が見送られたのではないか。その後のアニメ化では相当慎重な脚本化がなされ、結果的に原作も超える深い作品になったのかもしれない。