Cyber Night Syndrome

あまねく夜光生命に捧ぐ

シリーズ「正確な1秒を求めて」 第7回 共鳴とは何か(後編)

2005年07月04日 | 正確な1秒を求めて
学校の理科で,以下のような実験をした人がいるかもしれません。
「同じ音叉(おんさ)を二つ用意する。片方を叩いて音を鳴らす。
鳴っている音叉をもう一方の音叉に近づけると,その音叉も一緒に鳴り出す。」
これは「音の共鳴」の実験です。この実験を,前回説明した振り子の共鳴と比較しながら
説明します。

まず,最初に鳴らす音叉を音叉A,後から一緒に鳴り出す音叉を音叉Bとしましょう。
これらを前回の要素に当てはめると,
音叉Bは,振り子に相当します。そして音叉Aは,外からの揺さぶりに相当します。

音叉Aを叩いて音を鳴らすことで,まず周囲の空気に音叉Aの周波数の音を伝えます。
その空気の振動によって,音叉Bが揺さぶられて,鳴り出すのです。

このとき,「同じ音叉」であることは,音叉Aからの音の周波数と,
音叉Bの固有周波数が等しい,という点で本質的に重要です。
もし,音叉Aの周波数が音叉Bの周波数と全然違っていたら,
音叉Bは鳴り出すことはないでしょう。

逆に,音叉Bを共鳴させるために,必ずしも同じ音叉は必要ありません。
音叉Bの固有周波数と等しい周波数の音さえあればよいのです。
たとえば,人間の声とか,楽器の音でもかまいません。

音の共鳴を起こすのは音叉に限りません。
物体には音に対する固有周波数があるからです。
楽器の管や弦は,共鳴のよい応用例です。

ピアノを例にとってみましょう。ピアノにはびっしりと多くの弦が並んでいます。
いま,それらに向かって,「あーー」と声をぶつけてみます。
そして声を止めて弦の音を聞くと,
さっきの声と同じ周波数を出す弦だけが震えていて,
音を出していることがわかります。

また,オーケストラや吹奏楽の合奏で,自分は楽器を鳴らしていないのに,
フォルテになると自分の楽器がビリビリと震え出す,ということがあります。
これは周囲の音に対して自分の楽器が共鳴しているからです。

音に関してはいろいろとおもしろい話題も多いのですが,
このシリーズの主題からは離れてしまうので別途取り上げる予定です。

次回は電磁波について説明します。