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『健康方程式クリアファイル』

健康方程式をクリアに理解するためのwebファイルです。

◆What is The Health Equation ?

2017-07-24 | 医学書『健康方程式』

英語の方が読みやすい、という方には、こちらをご案内します。
または、外国の方へのプレゼントとして、オススメです。
実は、Wikipedia創設者、かのMr. Jimmy Walesも読者だそうです。(because...)


■■■
The Health Equation is the easiest medical book that has ever been written in the history.
H=o+s+t
This is the Health Equation.
Health consists of oxygen, simplified meals and thanks.
For international readers, English version is available.
by Takashi Inoue
The Health Equation ← ON BOOK is here to read ( click! )
ISBN4-902950-30-8


■■■
Over 5 years the author, Dr. Inoue worked as an emergency doctor at a major Osaka hospital.
During this period, he had encountered 10,000 patients and 100 of them lost their lives.
Feeling limitations of modern medicine, he strived to seek a better way to improve health and attain well-being.

He eventually came up with a simple but practical health philosophy,
which he named “Health Equation.”

His first book explains this innovative “Health Equation”, and offers advice and recommendations for designing a healthier lifestyle.

Are we really healthy?
- If you raise this question amidst the over-abundant information about health and yet do not know what to follow, you will gain much from reading this guidebook to health.
(by an American reader)


《 ON BOOK案内より 》
医学の限界に直面した著者は、人々を救うための方法を考え続け、シンプルで実用的な健康哲学を導く。それが「H=o+s+t(H:Health、o:oxygen、s:simplifiedmeals、t:thakns)」という「健康方程式(The Health Equation)」だ。誰にでも簡単に実行できる横隔膜を使った呼吸法と、1日2食の究食、そして感謝によって、健康な体と長寿を実現しよう。現在は予防医として、講演や健康指導を行う著者が、全人類に贈る健康のメッセージ。

※本書は英語で書かれています


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「美しい時間」

2008-06-23 | 医学書『健康方程式』

 人生の目的とは何でしょうか?
 
 健康は、人生の目的ではありません。健康は手段です。
人生の目的は「美しい時間」を生きることです。
「美しい時間」とは、健康と友人と資産に恵まれ、自分が好きなことをしている時間です。
健康方程式は、その美しい時間を根底から支える「健康」を、正面から見据えた生き方です。
健康は、失うまでほとんどの人が気付かない、人間の土台です。

 科学的な健康法は現時点では存在しません。
 科学とは実験に裏付けられた仮説の体系です。
残念なことに、健康についての実験は21世紀初頭までにはほとんど行なわれてこなかったのです。
私の「健康は酸素と究食と感謝からなる」という考えも、実験によって裏付けられたものではありません。100歳まで生きる方法を科学的に実験した人が、今まで一人もいないのですから。

 100歳まで元気に生産的に生きる科学的な方法は、これからそれが検証される22世紀まで現れません。
それでは21世紀のわれわれは何を頼りに生活すればいいのでしょうか?

 それは科学と哲学を混合した健康法です。

 科学には合理精神と実証精神が必要です。
 合理精神とは、その時点で正しいとされる考えから推察することです。実証精神は実験をしてみることです。
 ただ、今までのところ実験が行なわれていなかったため、実証された健康法は存在しません。
私たちに可能なのは、合理精神のみなのです。

 私は医師としての経験と医学知識とを照らし合わせて、この健康方程式を導きました。
これは科学ではありません。かといってただの思いつきでもありません。
様々な健康法についての本を読み、慎重に考え抜き、最も重要な要素を抽出し、自ら実践した結果が健康方程式なのです。

 哲学的な健康法も存在しません。
哲学の一つの定義は、「概念の創造」です。
ある一つの概念をその他の概念を用いて定義する、その体系が哲学です。

しかし、哲学の多くは思考だけにとどまり、具体的な行動に結びつきません。
哲学は「正しい生き方とは何か」という大きな問いに答えてきました。しかしその答えは思考上だけのものだったり、あるいは普通の人には真似できないものでした。

 私は健康という概念を生産という概念で規定しました。
さらに、健康に最も関係が深い三つの要素を抽出しました。
子供から老人まで全ての人が理解でき、実践できる要素です。

「健康は酸素と究食と感謝からなる」

この概念規定が哲学的手法です。

 だから、この健康方程式は半分科学的で、半分哲学的な考えなのです。
私はこの方程式に従って生きています。周りの方々にも勧めています。
 その実践者の方々が、書籍という形で世に広めることを勧めてくれました。私が個人的に話すことができる人は限られています。書籍では真意の全てが伝わりづらいのですが、細部の誤解を受けることは覚悟の上で出版することにしました。

 この方程式が美しい時間を作り出す役に立つことが無上の喜びです。最後まで読んでいただけたことに心から感謝申し上げ、皆様の健康をお祈り申し上げます。
 22世紀に、この世でお会いしましょう。

『健康方程式』p.116-118)

井上敬先生のLOHAS TALK@J-waveは、こちらからどうぞ!(注*音声再生します)



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感謝[健康方程式とは] 

2008-05-13 | 医学書『健康方程式』

健康方程式 : 健康 = 酸素 + 究食 + 感謝
の第三項は精神論です。

 私は心身一元論の立場をとり、心と体を分けて考えません。
第三項の「感謝」はもちろん心の状態です。
それを通じて心と体の両方を健康にしようというのがこの第三項の主旨です。


 それでは感謝と健康の関係を見ていきましょう。

健康は生産的な心身の状態です。
つまり、健康的な心の状態とは生産的な感情を持つことである
と言いかえることができます。

 感情には
「欲望」 と 「喜び」 と 「悲しみ」 があります。

「欲望」とは生産したいという感情です。
「喜び」は欲望を強めるもの、
「悲しみ」は欲望を弱めるものです。

したがって、生産的な感情とは、喜びと欲望ということになります。
喜びに満たされて生産欲が湧く、
そして満足いく生産物を手にして再び喜びに満たされる、
これが健康的な好循環です。
 
 逆に
悲しみに満たされ、
生産意欲が減退し、
生産物がなくなり、
さらに悲しみに満たされる
のが悲観症の根本症状です。

 では、感謝とはどのような感情でしょうか?

 感謝は、「生産物に対する喜び」と定義できます。
あるいは生産者、生産行為に対する素直な喜びの感情です。
ある生産物に対して喜ぶ、これが感謝です。
喜びですから、そこから生じる欲望は強くなります。
そして自らも生産活動を行います。これが他の人の感謝を生みます。
そして、他人からの感謝に対し、さらに喜びを感じます。
感謝という生産行為に対して感謝するのです。再び欲望は強くなります。

 このように、健康的な好循環が感謝という感情を燃料として加速していくのです。
感謝は様々ある感情の中で、最も健康に寄与する感情であると私は考えています。



 感謝という感情は、勝手に芽生えてくるものではありません。心の教育が必要です。
心に感謝を抱く思考訓練をする必要があるのです。

 感謝は、「欠乏状態」と「有用な生産物」から生まれます。
毎日強制的に欠乏状態を作り、
有用な生産物を獲得し、
感謝する習慣
をつけることです。

そして大切なのは、毎日続けることです。反復こそが成果を生みます。




①初級の感謝

 感謝の初級段階は昼食から始まります。
休食朝飲により午前中は空腹で生産活動をします。
朝、野菜ジュース一杯で仕事をするのですから、正午には空腹が極限に達します。

 ここで昼食を摂るのです。これほど有難いものはありません。
心から感謝して昼食を摂ることから、感謝訓練は始まります。



②中級の感謝

 感謝の中級段階は夕食です。豆富に感謝するのです。
豆富に感謝したことがある人は少ないと思います。
しかし豆富は、肥満を防ぎ、血管を強化し、うつ病や認知症(痴呆症)にも効果があるとされるレシチンという物質を含んでいます。
それをわずか150円程度で購入できる
という非常に恵まれた自分の環境と、豆富それ自身と、豆富を作ってくれた人に感謝するのです。
 豆富に感謝できる人は、身の回りに起こる大抵の出来事にも感謝できる人です。


③上級の感謝

 感謝の上級段階は酸素です。
空気中にある酸素に感謝することです。生命を支える必須の物質が、無料でいくらでも摂取できるという環境に感謝するのです。

 肺を悪くした人は呼吸を十分にできません。
酸素を胸いっぱい横隔膜呼吸で吸い込めることほど有難いことはないのです。

 この域に達するのは容易ではありません。
しかし、酸素に心から感謝できる人は、身の回りに起こるあらゆる出来事に感謝できる人です。
 あらゆる出来事に感謝できる人にはもう悪いことは起こりません。
物事には全て二面あり、良くも悪くも解釈できるからです。

 
 コップに半分水が入っているとします。
感謝できる人はまだ半分も残っていると喜びます。不健康な人はあと半分しか残っていないと悲しみます。
 この感謝訓練は少し異常に思えるかもしれません。ですが、これは強い陽性思考を身につけるための訓練法です。
舞台俳優は近くから見ると大げさなくらいの身振りと発声をします。
けれど遠くから舞台を見ると、それでちょうどよく見えます。
それと同様に、感謝と陽性思考も少し大げさなぐらい練習することで、日常にちょうどよいくらいに根付いてきます。


 私たちが生きている時間は
「喜びの時間」と
「悲しみの時間」と
「無為の時間」
からなっています。
感謝訓練は、
悲しみの時間を喜びの時間に変え、
無為の時間を喜びの時間に変えるための思考訓練です。
感謝訓練とは喜びの感情を生む思考訓練です。


 以上のように、健康方程式はとても単純です。
今日から誰でも実践できる健康法です。
試しに1ヶ月間、毎日健康方程式の各項を生活に取り入れてみてください。
1ヵ月後心と体に変化が訪れるはずです。
その効果を実感した後は、継続して生活の一部にしてください。
(『健康方程式』p. 109 - 114)

        


◆参考(過去記事)
⇒『感謝の定義と語源』


⇒『感覚と感謝』

⇒『感謝と感情』


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究食[健康方程式とは] 

2008-05-12 | 医学書『健康方程式』
 次に、「健康方程式 : 健康 = 酸素 + 究食 + 感謝」
の第二項について見ていきましょう。

究食」は、私が作った言葉です。
それは様々な健康食の研究を重ねて考案した食事習慣です。理解するのに少し説明が必要ですが、原理はとても単純なものですから、今日から実践可能です。

 では、究食とはなんでしょうか?

 究食 = 休食 + 求食 + 球食 とすると憶えやすいと思います。



休食

究食は一日、一飲二食です。「朝食」の代わりに、「朝」するのです。
朝には野菜ジュース一杯のみ摂取します。水は飲んでも構いません。固形物は避けてください。

 朝は水分とビタミンを摂り、胃と腸を休める時間というように認識を変えるのです。
固形物は、果物であっても胃腸に負担をかけます。朝は胃と腸を休める時間にするのです。

多くの人が朝食を無理やり摂っています。
朝、おなかが空いていないのに、体によいからという思い込みで朝食を摂っているのです。
これが肥満の原因であり、胃腸を絶えず働かせる習慣であることは既に述べました。

 前日の夕食をしっかり摂れば、寝ている間に栄養分は吸収され、朝起きたときにエネルギーは満タンです。
しかし、そこに加えてさらにご飯やパンを食べるから肥満が起こり、仕事の能率が落ちてしまうのです。
朝起きたとき、人間の頭と体は最も活動力が高い状態にあります。
朝は生産の時間です。そこで固形物を食べることはその生産力を落とすことになるのです。

 朝食を朝飲に替えることは、はじめの1カ月はつらいかもしれません。
しかし1ヵ月後にはその効果を実感することができます。頭の冴えがよくなり、体が軽くなり、仕事や勉強の能率が上がることでしょう。

 午前中は空腹の時間です。

ここで、空腹についての誤解を取り除く必要があります。
空腹は食事を摂る合図であると多くの人が思い込んでいます。でもこれは誤解です。
本来、空腹は狩に出て、食べ物を獲得するために運動する合図です。それを現代人は食事の合図と誤解するため、空腹後すぐに食べて肥満になるのです。
 「空腹を楽しむ」、
これが発想の転換です。
昼の12時には、ほとんどの人が食事にありつけるはずです。
空腹感は飢餓感とは違います。今の日本に、飢餓の人はほとんどいません。飢餓感は恐怖ですが、空腹感は楽しみです。
朝の空腹感は頭と体の生産力を上げ、昼食を何倍も美味しくする喜びです。

 究食の第一歩は朝の野菜ジュースです。
朝は胃腸を休め、
空腹感を楽しみ、
生産活動をする時間です。
自信を持って朝ごはんを抜いてください。
朝に必要なものは、
水分と、
前日に蓄えた栄養を燃やすための酸素と、
その手助けをするビタミンのみです。
それ以上のものは不要です。



求食

 朝食朝飲をはじめると昼食は至福の時間に変わります。
昼食が本当に美味しくなるのです。それでは、昼食に何を食べればいいのでしょうか?

 昼食には求食を摂るのです。

  

求食とは、体が求めている食べ物という意味です。体が求める好きなものを摂るのです。

朝食を野菜ジュースだけにして、
空腹感で午前中生産活動をしたあと、体が求めているのは炭水化物です。
炭水化物は体の燃料になるもので、ご飯、麺類、パンなどです。
昼食は炭水化物を中心に摂取するのです。

   


ただ、午後の生産性を下げるものだけは避けたほうが賢明です。
それは消化吸収に血液を多く必要とする食べ物です。具体的には脂肪です。
カツ、フライ、天ぷら、から揚げは避けてください。カツ丼を食べて2時間後には猛烈な睡魔が襲います。それはカツの衣の部分が脂肪だからです。脂肪は吸収のために血液を胃腸に誘導します。
その結果頭には血流が少なくなり、眠たくなるのです。

 昼食に求められるのは炭水化物であり、脂肪ではありません。
昼食に油ものを避ければ、午後の生産性ははるかに向上します。食後に眠たくなるのは自然な生理現象ですが、脂肪を抜くと、その度合いがはるかに改善されます。

昼食にはご飯、麺類、パンを主食とし、肉や魚、野菜をおかずにしてください。
脂肪は避けることが大切です。



球食

夕食は人生の喜びそのものです。
夕食の後は仕事や運動をしないようにしてください。食後はソファーに座って1時間ゆっくりし、2時間以上たった後に寝るのが最も体に優しい状態です。
入浴も食事の前に済ませることが望ましい順序です。
食後は胃腸だけに血液を送ってあげることが大切なのです。

 夕食は球食の時間です。
究食の最後の要素は大豆です。
球食とは、今地球上に存在する究極の球い健康食・大豆を主食化することです。

 多くの人が炭水化物を主食と思い込んでいます。
それが甘さに慣らされた舌を生み、肥満と糖尿病の原因になることは既に述べたとおりです。
まず、主食=炭水化物という固定観念を捨て、夕食は大豆製品を主食に据えるのです。

 炭水化物は摂取しなくても構いません。
肥満の人は夕食の炭水化物を積極的に抜いてください。
夕食の炭水化物が肥満の大きな原因のひとつです。

 夕食に必要なものは、体を構成し、整える物質です。
具体的にはたんぱく質と野菜です。
その中でも植物性たんぱく質の宝庫である大豆を摂る習慣をつけるのです。
ご飯があった位置に豆富を置いてください。
納豆、
枝豆、
おから
を副菜にしてください。
そこに肉や魚や野菜を加えるのです。

 豆富は究極の健康食です。
豆腐でなく「豆富」と表記するのにはわけがあります。
豆富は大豆をすりつぶしてマグネシウムと熱を加えたもので、そこに「腐る」という過程はありません。
また、大豆をさらに富ませた食品でもあります。
植物性たんぱく、
炭水化物、
脂質
の全てがその中に含まれています。必須ミネラルであるカルシウムもマグネシウムも含まれています。
値段も安価で誰でも購入できます。
柔らかいため、歯がない子供や老人でも摂取することができます。
そのため、「豆富」と表記します。
究食では、夕食の中心にこの豆富を据えるのです。



球食の大切な点は、豆富を何もかけずに食べることです。
しょうゆをかけず、
葱や生姜を添えず、
そのまま食べるのです。
その目的は、舌の再教育です。
現代人の舌は外食産業によって歪んだ教育を受けています。
豆富をそのまま食べるのはその歪んだ味覚を正常に戻すことを目的としています。

外食産業は顧客獲得の戦略として強い味付けをします。
ほとんどの外食産業の目的は顧客の健康ではなく、
顧客が再び来店することです。
そのためには砂糖、塩、油を多くした料理を出します。
これらの物質は元来生命維持に必要であるため、人間はそれを求めるようできているのです。
強めの味付けに慣れた舌は、さらに刺激を求めます。
それが肥満症を生み、
糖尿病、
高血圧症、
高脂血症
を生むのです。

 外食を避けることは不便であり、困難です。
それに対抗するために、できる限り毎日、夕食に舌の再教育を自ら行なうのです。

 豆富は繊細は味をしています。
かすかな甘みがします。
ほのかな大豆の香りがします。
崩れるような食感も快感です。
これらを意識的に感じ取る訓練をするのです。
これが舌の再教育であり、健康作りの根幹をなします。

 
 医食同源の究極の意味は、健康食を選択する味覚を持つことです。
球食を一週間も続ければ、豆富の繊細な味がわかるようになります。これが下の再教育の目的であり、「味覚の回復」ということなのです。

 豆富に含まれた大豆の味がわかる人は、素食を選ぶようになります。
粗食でなく素食です。素材そのものを楽しむ料理が素食です。
肉や魚や野菜の素材そのものをシンプルに料理した食事です。
素材そのものの味がわかる食事です。

 素食の反対が複食です。
複食は素材の味がわからない食事です。
カツとフライと天ぷらとから揚げです。
素材より周りの衣の味が勝っている料理です。

 素食の例を挙げると、
豚しゃぶ、
焼き魚、
海老の刺身、
鶏肉の照り焼きです。
素食とは素材そのものを味わえる料理です。
素食を求める舌を作ることが健康を生むのです。

   

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      ・ 究食法 ・

朝は休食 ―― 野菜ジュース
昼は求食 ―― 炭水化物
夕は球食 ―― 大豆を主食に、肉、魚、野菜

・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・

    


この「究食法」を表現したものが
「究食 = 休食 + 求食 + 球食」
です。

 油脂類はいつ食べるのでしょうか?

食べる必要がない

というのが答えです。
脂肪分は、このような食事の中に必ず紛れ込みます。積極的に摂ると、過剰摂取になるのです。

 究食はやせるための食事ではありません。
人間の生産力を高め、
食事を最大に楽しむための食事です。

 幸いなことに、肥満者はこの究食を取り入れることで結果的に減量することができます。
正確には究食を通じて最適体重に近づいていくのです。
私自身もこの食事で半年に10キロ減量し、理想体重に到達しました。

 また、私は実際多くの人にこの食事を勧め、喜ばれてきました。
味覚が変わり、
体が軽くなり、
心が前向きになった
という感想を聞くたびに、一人でも多くの方に実践いただきたいと思う次第です。

(『健康方程式』p. 101 - 108)


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横隔膜呼吸(酸素)[健康方程式とは] 

2008-05-09 | 医学書『健康方程式』
 まずは、「健康方程式 : 健康 = 酸素 + 究食 + 感謝」 の第一項、
健康のために最も大切な「酸素」を取り入れる「横隔膜呼吸」の方法を見ていきましょう。

 酸素は人間にとって最も大切なものです。
5分間酸素がいかなければ脳細胞は死にます。脳死状態になるのです。
 このような物質は他に存在しません。
水は1日なくても生きることができます。
食事は1ヶ月なくても生きることができます。
家族と1年離れても生きていくことができます。
誰もが知っていながら誰もが見落としがちな事実が日常、呼吸している酸素の重要性です。

 酸素を体に取り入れる行為を呼吸といいます。
普段無意識に行なっている呼吸を、意識的に行なう方法が呼吸法です。
正しい呼吸法が、人間にとって最も大切な技術です。

 しかし残念なことに、人間にとって最も大切な技術であるはずの正しい呼吸法を、学校で学ぶことはありません。これは本当に残念なことです。

 成人男性は、1回600mLの空気を吸ったり吐いたりしています。
しかし、一般に、肺活量は実は3000mLほどあるのです。肺活量は、最大に吸い込んで最後まで吐ききったときの1回呼吸量です。
要するに多くの人は、肺活量に相当する呼吸能力の、実に5分の1しか使わずに生活しているのです。

               
 
 呼吸のための筋肉は胸の筋肉、腹の筋肉、横隔膜の3つに分類されますが、ほとんどの人は胸の筋肉しか用いていません。
残念なのは、人体の中で最大の面積を持ち、呼吸のためだけに存在する横隔膜を用いていないことです。

 横隔膜は、膜という言葉がついていますが、正確には筋肉でできた膜です。
焼肉で「ハラミ」を食べたことのある方は、その柔らかさと美味しさをご存知と思います。この「ハラミ」は牛の横隔膜です。横隔膜は筋肉です。

 「腹式呼吸」という言葉がありますが、私はこの言葉を用いません。
この言葉は、それぞれの人が異なった意味で用いるため、何を指しているのかよくわからなくなっているからです。

 その代わり、私は横隔膜呼吸という言葉を用います。
その意味と実際の方法をよく理解してください。

 私は救急医として人々の呼吸を見続けてきました。
呼吸数は「バイタルサイン(vital signs)」の一つです。バイタルサインは生命兆候という意味で、呼吸数、脈拍、血圧、体温を指します。
医師はこれらの数値を重視します。患者の生命活動の状態を教えてくれるからです。バイタルサインなし(no vital signs)とは、生命の兆候がないという意味で、死亡確認に用いられます。
 その中でも、呼吸が最も大切です。
人は病気になったり、死の淵に立たされると、呼吸が浅くなるのです。

               
 
 東洋の宗教の歴史は、呼吸法の歴史という面があるかもしれません。
インドのヨガ、
中国の気功、
日本の座禅は、
すべて呼吸を自制下に置くことで心身の状態を改善しようとしています。
それらの方法に共通するのは、横隔膜という不思議な臓器に注目していることです。

 横隔膜は呼吸のためだけに存在している筋肉でありながら、あまりに活用されていません。
さらに、横隔膜は体性神経と自律神経の二重支配を受けています。これは、
自動的に動きながら、
かつ意思の力の支配も受ける
ことを意味します。つまり横隔膜は、比ゆ的にいうなら、
心と頭と体が融合する臓器です。

 また、横隔膜の下面は胃と腸と肝臓とすい臓と脾臓と腎臓に接しています。
上面は心臓と肺に接しています。
横隔膜は、意識的に最重要臓器を直接マッサージできる位置にあるのです。このような筋肉は他には一つもありません。 

 この不思議な筋肉を用いる方法を、ヨガや気功や座禅は研究していたようです。
ただしそれらの「行」の問題は、複雑であることです。習得するのにある程度の年数がかかるのです。

 「誰もがすぐに憶えることができる横隔膜を用いた呼吸法はないものか」
という私の疑問に答えてくれたのは、日本の医師でした。
 それは塩谷信男氏という内科医で、60歳のときにその呼吸法を考案し、40年間毎日実践し、100歳を越えてもゴルフをされているという驚異的な人物です。
世の中には様々な健康法がありますが、その考案者が100歳まで生きた例を私は他に知りません。 その医師が言うとおり、その呼吸法に秘密が隠されているようです。

 彼の『大健康力』という著書によると、その呼吸法は「正心調息法」と名付けられています。心を正し、息を調えるというその名前は素晴らしいと思いますが、その本質をさらにわかりやすくするため、私は「横隔膜呼吸」という言葉を用います。
 これ以上単純で、酸素を最大限に取り入れ、精神状態を静める呼吸法はありません。

               

 横隔膜呼吸とは、次のようなものです。
 まず手を組んでへその下に当てます。
 目を閉じます。そして背すじを伸ばして座ります。椅子にかけてもいいし、あぐらをかいても構いません。
 呼吸は全て鼻から行ないます。胸で吸い、横隔膜を下げて止め、腹で吐く。
これを合計20秒で行ないます。

・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・
          ・ 横隔膜呼吸法 ・

①まず、5秒間で空気を胸一杯に吸い込みます。
             ↓
②次に、息を5秒間止めます。

 具体的には、横隔膜を下げてさらに肺を広げるのです。
ここが慣れるまでは最も難しいところであり、最も大切な時間です。
 ポイントは肛門を閉めながら下腹部を膨らます動作です。排便の際にいきむ感じです。ただ肛門を閉めながら行ないます。
 おなかが膨らんでいることを確認してください。少し緊張感があり、下腹部が気持ちいいはずです。
             ↓
③最後に、10秒かけて鼻からゆっくり吐いていきます。

 少しずつお腹をへこませながら吐いていきます。慣れるまでは少しつらいかもしれません。それは呼吸のための腹部の筋肉が退化しているためです。
毎日続けることで段々なれてきます。

・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・

 この呼吸法の効用は多くありますが、五点に要約することができます。
横隔膜の驚異的な働きぶりを見ていきましょう。

 第一に、
横隔膜呼吸は酸素を最大限に取り入れる方法です。
第一相で胸一杯に吸い込み、
第二相でさらに肺を膨らませます。これ以上肺を膨らませることはできません。
そして10秒かけて完全に吐ききるため、これ以上吐くこともできません。

 第二に、
内臓のマッサージができることです。
横隔膜の直下には胃と腸と肝臓とすい臓と脾臓と腎臓があります。これらに接しているため直接マッサージができるのです。
内臓をマッサージするという表現は耳慣れないと思います。ただ効果は筋肉のマッサージと同じです。軽い圧迫を加えることで毛細血管内に停滞した血液を心臓に送り返すのです。

 第三に、
骨盤や外陰部などの筋肉のトレーニングができることです。痔の予防にもなるのです。年齢が上がるにつれ、痔の発生頻度が高まります。日本人の3分の1が痔を患っているという統計もあります。これは肛門が心臓より下にあることが一つの原因です。
血液が心臓に戻りにくいことがうっ血を生み、痔になるのです。
また高齢女性特有の病気に子宮脱というものがあります。子宮が下がってしまい、膣から飛び出てしまう状態です。
この横隔膜呼吸はこれら二つの外陰部の病気も予防します。

 第四に、
交感神経の緊張を抑え、副交感神経を作動させます。
横隔膜を下げる第二相時に副交感神経が働くのです。
心臓病の領域には「息こらえ手技」という治療法があります。上室性頻拍という、心臓が異常に早く打つ不整脈を止めるための治療です。患者に息を数秒こらえさせると、突然その不整脈が止まるという驚異的な治療法です。
 横隔膜呼吸は、この息こらえ手技と同じ状態を作るのです。
交感神経を抑えて副交感神経を作動させることで、心臓が過度に収縮することを抑え、血管の緊張を和らげるのです。

 第五に、
気分が落ち着きます。
不安感や興奮がどちらも沈静状態に近づくのです。
第三相の呼気時間を長く取る運動がセロトニンという物質の分泌を促します。生理学者の高田明和医師は、その著書『ストレスをなくす心呼吸』で、ゆっくりした呼吸が脳内でのセロトニン分泌を促すと述べています。
その機序は、ゆっくりした呼吸が二酸化炭素の血中濃度を上昇させ、延髄下部のセロトニン神経が刺激され、辺縁系でのセロトニン分泌が促進されるというものです。
このゆっくりした呼吸が、ストレスとうつ病から心を守るのです。

               

 横隔膜呼吸を行なうと、すぐに緊張感が和らぎ、頭がすっきりします。
継続すれば自己破壊症を避けることができ、予防可能病を避けることができるのです。
電車や職場で周りの人を観察してみてください。
呼吸が非常に浅いことがわかるでしょう。
そして呼吸が浅い人ほど目に活気がなく、元気がなさそうに見えます。
酸欠状態になると誰でも不安で、活気がなくなります。ほとんどの人は、この酸欠状態にあるのです。

 横隔膜呼吸は、お金もそのための施設も要りません。
病気や怪我で座れない人は、仰向けになって実施してください。いつでも、どこでも、誰でも、今からできる深呼吸が横隔膜呼吸です。まず、一ヶ月は毎日実践してみてください。

 一ヵ月後、さまざまな変化が現れます。
何より心の緊張が取れます。
また周りの人から表情が柔らかくなったと言われるかもしれません。その心地良さを実感したら、その後もずっとこの呼吸法を続けていただきたいと思います。

               
(『健康方程式』p. 92-101)


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健康方程式とは?[健康方程式とは] 

2008-05-07 | 医学書『健康方程式』
「健康 = 酸素 + 究食 + 感謝

英語で表記すると、

Health Equation :
    H = o + s + t
(H : health, o : oxygen, s : simplified meals, t : thanks)

「健康は酸素と究食と感謝からなる」。
この方程式は、私が医学知識と医療経験と健康研究の結果、導き出したものです。

 ここには様々な先人の知恵が凝縮されていますので、完全に私の発明というわけではありません。
ただ、その用語は独自の意味で用いられていますので、注意深く理解していただきたいと思います。

 健康の定義は、生産的な心身の状態です。
ものを生み出したり、人に何かしたりする活動能力が高い状態を健康な状態と定義します。
そして間接的には、病に煩わされることなく長く生きることも意味します。」

(『健康方程式』p. 92)



o 酸素(横隔膜呼吸)

s 究食

t 感謝

について項目ごと、次回から参照しましょう!



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⑧自殺 【予防可能病】

2008-04-30 | 医学書『健康方程式』
自殺は、病気である。
ある病気の進化した具体的な形である。

この衝撃的な事実を、この本を読んで初めて知った私です。

「最後の予防可能病は自殺です。
年間3万人の自殺者の数を私は重く見ています。

 先ほども述べたとおり、自殺者の二大原因は金と病です。
ただ、リストラに遭っても借金を抱えていても、病気を抱えていても、自殺しない人がいます。
自殺の根本には悲観症が隠されていると私は考えています。
自殺を避けるには悲観症を避ける必要があるのです。



 
 以上で、
  自己破壊症
    が
  前期予防可能病
    になり、それが
  後期予防可能病
    を通して永続的障害や死に繋がる過程を十分に理解いただけたことと思います。

 それではこれらの病を正面から捉え、予防する健康方程式という考え方を今から見ていきましょう。」

(『健康方程式』p.88-89)


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⑦心筋梗塞 【予防可能病】

2008-04-30 | 医学書『健康方程式』
 「心筋梗塞は、心臓に栄養を補給する冠動脈という血管が詰まることで起こります。
血が途絶えた心筋は死んでしまい、心臓の機能が低下します。
その程度が大きければ心不全になります。
そして心不全が進めば死亡に至るのです。
予防という観点からは脳卒中と全く同じです。」

(『健康方程式』p.88)

このblogを読んでくださっている方たちはきっととても健康で、
けれど危機意識の高い、
思慮に満ちた方たちだと思います。
大きな病気をする、とは実際どういうことなのか、は、なってみないと実感できることではなかなかなく、そしていざ病気になったら、こうして「予防医学」の文献を紐解くなどということからはまったく遠くなってしまうことでしょう。
普段なら幸運にも「縁がない」でいられるこうした大きな病気の仕組みと怖さをあらかじめ学べることはとても有難いように、転写していて心から思います。


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⑥脳卒中 【予防可能病】

2008-04-24 | 医学書『健康方程式』
 「脳卒中は、
    脳出血、
    脳梗塞、
    くも膜下出血
の三つの病の総称です。
これらはいくつかの点で発生機序が違うのですが、予防という観点から見ると共通した点があります。
脳卒中の全てではありませんが、多くの部分が予防可能病です。

 脳卒中は脳の中にある血管が破裂したり、詰まったりして、脳細胞の一部が死んでしまう病です。
死んだ脳細胞はほとんど再生しません。
死んだ部分が運動や思考に関する脳細胞であれば、致命的な後遺症が残るのです。
これが寝たきり老人の大きな原因のひとつです。
寝たきりになるとほとんどの生産活動が停止されてしまいます。

 全く基礎に病気のない人が、突然脳卒中になり倒れることはほとんどありません。
血管を痛めつける生活習慣の蓄積が脳卒中を生むのです。

 自己破壊症の行きつく先が脳卒中と言えます。
喫煙と肥満で血管の壁は動脈硬化になり、
血液の粘張度は高くなります。
狭く、しなやかさを失った血管が破裂し、脳出血が起こります。
狭くなった血管に粘張度の高い血液が詰まって脳梗塞が起こるのです。」

(『健康方程式』p.86-87)

40代の働き盛りにして脳卒中に倒れ、その後職場に復帰した人が、います。
「俺もばちがあたった」
と彼が雑談の際につぶやいたのを同僚が聞いています。半身の自由がまったく利かないのです。
原因に思い当たることはたくさん、あったのでしょう。しかし彼は、多少無茶はしていたとしても、ふつうの会社でふつうに働きながら暮らしている、普通の人です。
普段の生活に気をつけることの大切さを、彼は今になって理解したもよう。
遅すぎない方が、絶対に良いのです。

「脳卒中の予後は三つに分かれます。
 完全社会復帰、
 永続的障害、
 死亡
です。
どの群に入るかは、発症時点では完全にはわかりません。
ただ、当人にとっては本当に突然訪れる病です。
がんと違って症状が突然現れますから、本当に衝撃的です。
不幸にして永続的障害が残った場合や高齢発症の場合は、寝たきりになる可能性が高くなるのです。

 自己破壊症を避けることが脳卒中予防の第一歩ですが、積極的に血管をしなやかに保つ方法があればさらに効果が増します。
 それにはまず血管壁を構成する原料を摂取する必要があります。
その食べ物は、健康方程式の中に提示されています。

 また血管の持続的収縮を抑える方法があれば血管の負担を減少させます。
この方法も健康方程式の中に提示されているのです。
 
 突然片側の手足が動かなくなった中高年の人々を、私はたくさん見てきました。
救急外来には、脳卒中の患者がたくさん訪れます。私はその初期治療に懸命でした。
現在はその初期治療のさらに前に出て、予防に専念しています。」

(『健康方程式』p.87-88)


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⑤がん 【予防可能病】

2008-04-18 | 医学書『健康方程式』
●自己破壊症は 喫煙症、 肥満症、 悲観症 。

これらが長く積み上げられた結果、

●前期の予防可能病
①糖尿病 
②高血圧症 
③高脂血症 
④うつ病 へ。

健康方程式は、これら全てを予防するという観点から考案されているということでした。

●後期の予防可能病 
⑤がん 
⑥脳卒中 
⑦心筋梗塞 
⑧自殺 。

これらは前期予防可能病が長く積み上げられた結果発生するもの。

「これらが発症してからでは遅いのですが、どのようなものか予防の観点から見ていきたいと思います。」
(『健康方程式』p.80)


今回は、後期予防可能病のご紹介スタートです。最初は、がん(←写真付)。

「がんは、正確には悪性新生物といいます。
ここでは、悪性を「転移する」という意味で捉えておきましょう。
 新生物とは、正常細胞が変異して勝手に細胞分裂を繰り返して大きくなる
という意味です。
ある正常細胞の遺伝子が突然変異して、どんどん大きくなり、他の正常細胞の栄養まで全て食べてしまう
というイメージがわかりやすいかと思います。
そしてそれらの新生物が体中のあちこちに転移していくから悪性新生物と呼ばれるのです。」


地球外生命体のSFホラーのようなイメージがわいてしまいました。それが、体のなかで!

「がんは本当に恐ろしく、悲惨な病気です。現在日本人の死因の第一位と言われており、3人に1人がががんで亡くなります。がんに関しては、世界中の優秀な医師や研究者がその原因と治療法を探っています。

 そこに私が新たに加えようとしているのは、原因でも治療でもなく、予防という観点から何かできないかということです。

「がんは遺伝子の病気であるが、遺伝病ではない」
という言葉を、私は大学時代に遺伝学者から習いました。
がんの遺伝子研究の権威が発したその言葉は、がんの一面を鋭く捉えています。親から子に遺伝するがんもあるのですが、ほとんどのがんは遺伝せず、自らの代で突然、遺伝子の変異を起こすのです

 遺伝子はDNAという物質に蓄えられています。そのDNAに変化を引き起こすものは「発がん性物質」と呼ばれます。
紫外線、
ある種の化学物質、
ある種のウイルス
がその変化を起こすことが研究者たちの努力によってわかってきました。
これらの危険因子は外的な要因なので、物理的にそれらと接触するのを避けることが予防に繋がるのは当然であり、多くの人が知るところだと思います。
 
 では、外的な要因ではなく、がんを「宿主」の立場から見るとどうなるでしょうか?
 宿主とは、がんを抱えた主体のことです。私が「がんの予防」という観点から強調したいのは、この視点です。

 この視点は免疫学者から提出された視点です。
がんを、がん細胞そのものではなく、がん細胞と正常細胞の闘いという視点で捉えることが、予防のためには決定的に重要なのです。

 人体では常に新たながん細胞が発生していると言われています。
それを大きくなる前に、絶えず免疫系が潰しているのです。
免疫系とは血液中の白血球の働きのことで、白血球はがん細胞を、
抗体というたんぱく質を放出して破壊したり、
貪食という働きで飲み込んだりしています。
 がんを予防するために決定的に重要なことは、この免疫力を高めることです。
免疫力を向上させる方法があれば、それを毎日実践することで、がんの発症を大きく食い止められる可能性があるのです。

 がんは、発症してしまうと治療するのが非常に困難です。
それは転移をするからです。
肺がんは主に60歳前後の喫煙者を襲う恐ろしい病です。
20歳から毎日20本40年吸った男性が、会社の検診で異常を指摘されます。胸のレントゲン写真で影が見つかるのです。
それを持って病院に行くと、精密検査を勧められます。そしてその検査結果を告げられることになります。

 突然がんになることはほとんどありません。患者本人は突然がんを告知されて仰天しますが、実は本人が長年にわたって蓄積してきた生き方の集大成が、がんという形で現れるのです。もちろんその人に原因が見つからないがんも存在します。本当にそれは不運としか言いようがありません。しかし、大多数のがんはその人に原因が見つかるのです。

  
 がんは、喫煙症と
      肥満症と
      悲観症という自己破壊症
の必然的結果です。
喫煙が肺細胞の遺伝子変化を通じて肺がんを引き起こすことは周知の事実です。
 
 それでは、肥満とがんの関係はどのようなものでしょうか?
 肥満は糖尿を生みます。
そして驚くべきことに、糖尿病はがんの原因になるのです。
糖尿病の患者が死亡する原因は、実はがんが一番多いのです。
脳卒中や心筋梗塞などの血管病で亡くなるイメージがありますが、実はがんなのです。
 糖尿病は免疫力を低下させ、感染症などの外的からの攻撃に弱くなります。
同様に、がんという内敵からの攻撃からも弱くなるのです。
 
 検診などで糖尿病と診断された人が病院に入院して最初に受ける検査は全身のがん検索です。
これは糖尿病専門医の間では常識です。
糖尿病自体は、症状を持っていないことが多くあります。
さらにたちが悪いのは、無症状のがんを抱えている可能性があることです。

 では、悲観症とがんの関係はどうでしょうか?
 悲観症は、免疫力の低下を通じてがんの原因になります。
感情と免疫は直結しています。
笑いが免疫力を高めたという興味深い実験では、一定時間漫才を見せたあと、被験者の血液を調べるとある種の白血球の活性が高まっていたという結果が出ました。

 笑いや希望などの喜びの感情は免疫力を高め、恨みや絶望などの悲しみの感情は免疫力を低めるという仮説は、おそらく近い将来証明されることでしょう。
直感的、感覚的にであれば、その仮説を否定する人はほとんどいないと思います。

 
 ここで話を肺がんの話に戻しましょう。

がん患者はこのがんの告知で一度目の大きなショックを受けます。
いったん診断された肺がんが完全に治癒する可能性は非常に低いものです。
正確な予後は医師もわかりません。
ただ統計的な生命予後はある程度わかります。
この肺がんの告知は、患者と医師双方にとってつらい時間です。

 次に治療が待っています。
肺がんの治療には、
胸を大きく切り開いて病巣を切り取る外科手術、
抗がん剤を注射する内科治療、
病巣にエックス線などを当てる放射線治療
があります。 いずれも体に大きな負担をかけます。
これが二度目の大きなショックです。

 そして三度目の大きなショックは転移です。
肺がんは脳や骨に転移することがあります。
肺は血流が豊富なため、血行転移をしやすいのです。

 転移した肺がんを根治する方法は現在のところ見つかっていません。
そして緩和ケアが進んだ今も、末期がんの闘病生活はつらいものです。
呼吸困難で酸素を吸い続け、
骨に転移した場合は強い痛みに襲われます。
そして食欲がなくなり、
どんどんやせ細り、
亡くなっていくのです。

末期がんの死期は本当に悲惨です。
その光景を目撃した人間として、このような死に方をする人が一人でも少なくなるよう考え抜きました。

 そのためには予防が大切です。
具体的には免疫力を高めることです。

免疫力を高める方法はたくさん考案されています。ある種のきのこにその効果があるとして、それを商品として売っている人もいます。私はそれらの効果をよく知りません。
私が注目し、強調したいのは、もっと根本的で確実なものです。


 様々な因子の中で、確実に免疫力を向上させるであろう三つの因子を取り上げ、それを生活に取り入れる方法が健康方程式です。
健康方程式は、免疫力の向上を通じたがん予防を目指した生き方を提示します。

 その三つの因子とは、
 
    第一に、 生命を支える根源的物質    
    第二に、 免疫力、より正確には抗体の原料物質
    第三に、 ある種の精神状態

です。
これらを毎日の生活に取り入れることが免疫力の向上に繋がり、がんの予防効果を発揮することが期待されるのです。」

(『健康方程式』p.80-86)

つまり第一に「酸素」、
   第二に「究食」、
   第三に「感謝」
ということですね


ところで、
近頃思うこととして、
ひとは、問題が大きくなってから立ち向かおうとするから、その対処法にもなにか大掛かりなものを求める傾向があり、そしてそれが過ぎるのではないかしら?・・・
というのがあります。

がんは重大な病気ですが、「生み出すのは自分自身」、だから防げるのも自分自身ということになります。
そして、その一歩が“自分を大切にすること”だとしたら、それを正しく実行して困る人は誰もいないわけですよね。

なにをも誰をも犠牲にせず、人間として基本的なことを、ただきちんと行う。
それは意外にも「新しい生き方」なのかもしれません。
無駄なくシンプルなH=O+S+Tを実行してみると、そう思います。



 
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④うつ病 【予防可能病】

2008-04-17 | 医学書『健康方程式』
「うつ病は予防可能なのでしょうか?
 私はある程度まで可能であると考えています。
その理由は、うつ病は遺伝しないからです。
遺伝しない病気は全て予防可能病です。ただ、その方法が現在のところ見つかっていないだけなのです。

 うつ病は 
気分が滅入り、
活動意欲が湧かず、
夜眠れない 
という症状が長期間続く病気です。
そして最終的には自殺願望を抱くようになり、実際に自殺に結びつくこともあります。日本では年間3万人が自殺するという報道がなされました。絶望的に大きい数字です。
 このうち、経済的な理由と病気を苦にした自殺が大多数を占めるといいます。
しかしその背景にはうつ病が隠されていると私は推測しています。破産しても、深刻な病に罹っても、自殺しない人はたくさんいるからです。

 うつ病の原因については実はよくわかっていません。
専門家の間で意見が一致しているのは、
遺伝はしないという点と、
セロトニンという脳内物質の分泌が低下している
という二点です。
 
 うつ病を予防の観点から見た場合、重要なのは次の三点です。
   第一に、悲観症を避けること
   第二に、セロトニンの分泌を促すこと
   第三に、セロトニンの原料を体内に取り入れること
それでは、それぞれについて詳しく見ていきましょう。

〈うつ病予防法 - その1:悲観症を避ける〉

  第一の点、悲観症とうつ病の関係を見ていきましょう。
 予防の観点からうつ病を見たときに重要になるのは、
「うつ病は感情の病ではなく、思考の病である」
という認知療法の考え方です。
 日本うつ病学会の野村総一郎医師は、
「うつ病患者には特有の考え方があり、それを正すことで予防が可能ではないか」
と。著書『うつ病をなおす』に書かれています。野村医師の
「これまでの伝統的な精神医学にはうつ病の予防という視点がほとんど欠けていた」
という指摘は非常に重要です。

うつ病患者に特有の思考習慣とは、肯定的側面の否定です。
言い換えると、先に述べた「悲観症」です。
陰性思考が悲観症を生み、
悲観症がうつ病を生むのです。
陽性思考を毎日訓練することが悲観症を避け、うつ病を予防するのです。
健康方程式の第三項は、悲観症を避ける思考習慣です。

〈うつ病予防法 - その2:セロトニン分泌促進〉

 第二の点、セロトニンの分泌促進について何かできることはあるでしょうか?
 それが呼吸に隠されているのです。

 セロトニンは、「幸せホルモン」とも呼ばれる物質で、脳内で神経伝達物質として働いています。
精神科医は、このセロトニンの分泌を促す薬剤を処方しています。うつ病の治療の中心はこの種の薬剤です。
脳の中でも感情を司る扁桃体、帯状回でのセロトニン放出が少ないことがうつ病患者で確認されています。

 ただ大切な点は、セロトニンの分泌低下はうつ病の原因ではなく、うつ病の病態そのものだということです。
うつ病の原因は、思考の習慣にあります。その思考習慣が長年続いた結果、セロトニンの分泌低下が起こるのです。

 セロトニンの分泌促進はあくまで対症療法です。
予防の観点からも、セロトニンを分泌させる健康方程式の「o」は補助的な予防法です。

〈うつ病予防法 - その3:セロトニン原料の摂取〉

 第三の点、セロトニンの原料を摂取することも同様に根本的予防ではなく、補助的予防法です。
 セロトニンは、必須アミノ酸であるトリプトファンを原料にします。
このトリプトファンが欠乏するとうつ病になります。
サプリメントでこのトリプトファンを勧める人もいますが、私はもっと自然に摂取できる方法を勧めます。それは健康方程式第2項「s」です。

 次の章で詳しく説明する健康方程式の各項は、全てがうつ病予防効果を持っています。

 自己破壊症は
            喫煙症、
            肥満症、
            悲観症  でした。

これらが長く積み上げられた結果、このような予防可能病ができあがります。

 前期の予防可能病は
               糖尿病、
               高血圧症、
               高脂血症、 
               うつ病   でした。

健康方程式は、これら全てを予防するという観点から考案されました。

 後期の予防可能病は
               がん、
               脳卒中、
               心筋梗塞、
               自殺    です。

これらは前期予防可能病が長く積み上げられた結果発生するものです。

これらが発症してからでは遅いのですが、どのようなものか予防の観点から見ていきたいと思います。」


(『健康方程式』p.77-80)

①-④の前期予防可能病。
確かに死には至らない、けれど確実に下り坂を滑り出していることがよくわかります。

次回以降は、⑤-⑧の後期予防可能病です。

 
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③高脂血症 【予防可能病】

2008-04-14 | 医学書『健康方程式』
「高脂血症も歪んだ食生活の必然的結果です。
 高脂血症になる食事の特徴は、「複食」です。「複食」は私の造語で、複雑な食事という意味です。
それは、材料に複雑な操作を加えた料理です。
あるいは、「複雑な」を「余計な」と言い換えてもいいかもしれません。
 
 複食の四天王がカツ、フライ、天ぷら、唐揚げです。
豚肉はそれだけでも十分に美味しいものです。魚も海老も鶏肉も同様です。それをパン粉や小麦粉や油で加工する必要はないのです。それは材料の持つ力を引き出すのではなく、塗りこめてしまう行為です。

 複食の反対が「素食」です。
「素食」は、素材を素直に加工した料理のことです。煮たり焼いたり蒸したりすることは素直な加工です。油で揚げることは複雑なのです。加工する行為が「切るだけ」である刺身は、究極の素食といえます。

 高脂血症になる人は複食が大好きです。
味覚が油を求めるのです。
糖尿病患者が炭水化物を求めるのとよく似ています。
高脂血症患者は、材料そのものを味わうのではなく、その周りに付随した加工を好むのです。
 
 これは、子供の頃から複食に慣らされていることが多く、本人に自覚がないことが大きな問題です。
複食を好む人は、複食を好む家庭環境で育っていることが多いのです。
カツ、フライ、天ぷら、唐揚げなどの揚げ物を作らない家庭で育った人は、高脂血症になりにくいという幸運に恵まれています。

 複食に慣れた舌を再教育し、素食を好む味覚を育てることが予防可能病を避けるのです。
糖尿病、高血圧症、高脂血症は「味覚病」といえます。
本人は気付かないうちに、病を生む味覚を持ってしまっているのです。
砂糖まみれ、
塩まみれ、
油脂まみれ
の口内環境が、これらの味覚病に繋がります。」


(『健康方程式』 p.75-77)

 
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②高血圧症 【予防可能病】

2008-04-12 | 医学書『健康方程式』
 「高血圧症も静かな殺人者です。高血圧症そのものには症状がないからです。高血圧症とは、慢性的に最高血圧が140mmHgを超えた状態を指します。この状態が持続し、動脈硬化を通じて血管を変性させ、脳卒中や心筋梗塞を起こすことが死亡に繋がるのです。

 高血圧症の原因として挙げられている因子は、

   第一に、動脈硬化
   第二に、血管の持続的収縮
   第三に、塩分を摂り過ぎたために起こる血液量の増加

 です。簡単に言い換えると、血管が硬くなり、血管が締まり、血の量が増えると血圧が上がるのです。

〈高血圧症の原因因子 - その1:動脈硬化〉
 
 高血圧症を引き起こす第一の要因である動脈硬化の原因は糖尿病高脂血症です。
それらの原因は、肥満症喫煙症です。
[肥満症・喫煙症] ⇒ [糖尿病・高脂血症] ⇒ [高血圧症]
という流れです。
 従って、高血圧症を避けるには、肥満症喫煙症という自己破壊行為をやめればいいのです。

〈高血圧症の原因因子 - その2:血管の持続的収縮〉

「血管が持続的に収縮する」とは、どのような状態でしょうか?
 神経は体性神経と自律神経に分かれます。
 体性神経は手足の筋肉を動かす神経で、意思の力でコントロールすることができます。
 自律神経はその名のとおり、勝手に動く神経です。逆にいうと、人間の意志で動かせない神経です。
自律神経は心拍数、呼吸回数、消化、まばたきなどの自動的な人間の動きを司るものです。

 自律神経の二つの成分が、交感神経と副交感神経です。
交感神経をアクセル、
副交感神経をブレーキ
に例えることができます。交感神経が興奮時、副交感神経が安静時に作動する神経です。

 現代人は多くが交感神経の過剰作動にさらされています。
安静より興奮することが圧倒的に多いのが現代の特徴です。
血管は交感神経を通じて収縮します。
交感神経は興奮、怒り、ストレス、緊張などの精神状態にともなって作動し、
その反対に
副交感神経は沈静、笑い、安心、休息時に作動します。

 朝から煙草を何本も吸い、緊張の連続で仕事をし、売上げが減っていることでストレスを受け、上司に悪い報告をしなければいけない会社員がいるとします。この人の交感神経は極限まで作動しています。この状態が高血圧症を引き起こすのです。
 
 では、交感神経でなく副交感神経を意志の力で刺激する方法はないのでしょうか?
これがあれば交感神経を休め、血管の以上収縮を抑え、高血圧症を予防することが可能になります。
 自律神経を意思の力でコントロールする方法は実は何千年も前から研究されてきました。ヨガや気功や禅は、自律神経を体性神経のようにする試みという面を持っています。 
 健康方程式は、それらの成果の最も本質的な部分を取り入れた健康法です。

〈高血圧症の原因因子 - その3:塩分過剰摂取〉

 高血圧症の三つめの原因とされる塩分について見ていきましょう。 

 塩分を摂りすぎると血管に水分が留まり、高血圧症が起こる、と言われています。伝統的な日本人の食事は、カルシウムが不足している点と、塩分が多すぎる点を除けば、理想的な健康食であるという説があります。そしてそれを受けて厚生労働省は塩分を一日10g以下に抑える食事を推奨しています。
 ただ、問題はどうやって一日10g以内に塩分を抑えるかということです。実は、これはほとんど不可能です。

 私は医学知識があり、ある程度食事に関心が高い人間ですが、それでも自分が一日何g食塩を摂取しているか知りません。知りようがないというのが正確な表現でしょう。
 健康な食事の目標値である一日塩分10g以内、一日30品目以上、一日2000kcal以下などの食事指導は、現実には、あまり効果がないと私は考えています。それらは数値でみるとなるほど素晴らしいものですが、実行するのが非常に困難だからです。簡単に実行でき、実践できる方法はないものでしょうか?
 
 私は、そのためには舌の再教育が必要であると考えています。
なぜ塩分を摂りすぎるかといえば、舌がそれを求めるからです。
ならば、過量の塩分を嫌う舌を作り上げればいいのです。
高血圧症を避けるためには、塩辛い食事を避ける味覚を作り上げることが大切なのです。
 
 健康方程式は、
動脈硬化を避け、
交感神経の過剰な作動を避け、
塩分の過剰摂取を避けるための新たな生き方を提示します。
これには、薬品やサプリメントや器具を必要としません。
そして、今日から老若男女誰でも理解し、実践できる方法なのです。」


(『健康方程式』 p.72-75)

 
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①糖尿病 【予防可能病】

2008-03-30 | 医学書『健康方程式』
8種の予防可能病は、どのように予防が可能なのでしょう?

まず、直接死に至らない4種、
①糖尿病 ②高血圧症 ③高脂血症 ④うつ病
について。

①糖尿病
「糖尿病は猛威を振るっている病気です。「静かな殺人者(Silent Killer)」とあだ名されるその病気は、日本人が抱える最大の病の一つです。がん、心筋梗塞、脳卒中などの致死的な病に直接繋がるだけでなく、失明、腎不全などの非常に不便な生活状態を招く病気です。日本人1億3000万人のうち、200万人が糖尿病であると言われています。

 糖尿病にはⅠ型とⅡ型の2つの型があります。
 Ⅰ型は10代で発症することが多いタイプの糖尿病で、インスリンの分泌が低下する病気です。これは生活習慣病ではありません。従って予防可能病でもありません
 Ⅱ型は30代以降に発症することが多いタイプの糖尿病で、カロリーの過剰摂取を原因とします。このⅡ型糖尿病について、予防という観点から見ていきたいと思います。

 
 Ⅱ型糖尿病は、何十年も過剰なカロリー摂取を続けた結果、細胞内に取り込まれなくなった糖が血液中に溢れ出す病気です。
これが血糖値の上昇として検査で検出されます。その、使われずに血液中に溢れ出した糖は、尿からも排泄されます。これが糖尿病という名の由来です。
 尿に糖が含まれていると、水分も糖に引きつけられて体外に出ていくため、排尿の回数と量が増えるという状態になります。従って、脱水が起こることで喉が渇き、たくさん水を飲むようになります。これが糖尿病の口渇、多飲、多尿という典型的な症状です。現在では、症状が出る前に血液検査や尿検査で異常が発見されることが多く、これらの症状で病院を受診する人は少数派です。

 ところで、
「日本人は糖尿病にかかりやすい」
という説が最近提示されました。
それは「倹約遺伝子説」といい、「日本人は倹約遺伝子を持っており、欧米人(主にコーカソイドといわれる人種)と比較して、少ないエネルギーで生命を維持できる」というものです。
要するに、日本人の体は燃費がいい、という意味です。
この倹約遺伝子説は非常に興味深いものです。

 しかし、この喜ばしい体質は、裏を返せば糖尿病になりやすいことを意味します。
 Ⅱ型の糖尿病は成人発症で、エネルギーの過剰摂取が主原因です。肥満がその背景にあります。ただ、この説によると日本人は軽度の肥満でも糖尿病になる可能性があるのです。倹約遺伝子説は、日本人がより少ないエネルギーで生命を維持できる一方、過剰なエネルギーに弱いことを指摘しています。

 過剰なエネルギーを摂取した後、使われなかった糖や脂肪は蓄積されます。欧米人はどんどん脂肪として蓄えることができるのですが、日本人にはそれができず、血中に糖として溢れ出すのです。
 欧米人がかなりの肥満でも糖尿病にならない一方、日本人が軽度の肥満でも糖尿病になる原因は、このように説明されます。非常に興味深い説です。ただ、問題は、遺伝子に注目すると予防の観点から離れてしまうことです。

 私は糖尿病を予防可能病と捉えます(ここでの糖尿病は、Ⅰ型の糖尿病を除いたⅡ型の糖尿病を指します)。糖尿病は、肥満症という自己破壊症の結果です。具体的にはカロリーの過剰摂取の結果です。
 なぜカロリーの過剰摂取が起こるのかをつきつめると、味覚の歪みがあるのです。健康方程式には味覚の歪みを直す習慣が含まれています。糖尿病の予防には、次の二つの点が重要です。
 
  第一に、一日三食を改めること  
  第二に、炭水化物が主食という考えを改めること
 
 第一の点に関しては既に詳しく説明しました。要するに、現在の日本人が一日三食食べるとカロリーオーバーになってしまうということです。ここでは第二の点を見ていくことにします。
 
 炭水化物が主食という考えの、どこに問題があるのでしょうか?
 炭水化物とは、ブドウ糖が連結したもので、砂糖、米、小麦などの主成分です。ご飯や麺類やパンなどの食品に含まれています。体内ではエネルギー源になります。もちろん、人間が生きていくのに必須の物質です。
 ならば、一日三食炭水化物を摂ることの、何が問題なのでしょうか?それは、口の中が甘さに慣れてしまうという事態が起こることです。
 
 糖尿病の人に共通するのは、炭水化物が好き、という特徴です。甘いものが嫌いという糖尿病患者は、まずいません。ケーキやアイスクリームなどの甘いものだけでなく、パンやご飯や麺類も大好きなのです。糖尿病患者の味覚の特徴は、「炭水化物好き」であることです。言い換えると、炭水化物の原料であるブドウ糖という物質を過剰に好む味覚を持っているのです。
 人間はもともと甘いものが好きです。糖は人間が生きていくために必要なものです。だから、甘いものを快感と感じるように味覚が設定されているのでしょう。
 ただ、快感は危険なもので、次々と強い刺激を求めてしまいます。甘いものに慣れた舌は、さらに次の甘いものを求めるのです。

 私は甘いものを否定しているのではありません。甘いものが常に口の中に入っている状態を否定しているのです。一日三食炭水化物を摂ると、常に口の中が糖で満たされる状態ができあがります。そしてそこに間食でお菓子がつけ加わります。炭水化物は燃料です。事務などの非肉体労働をしている人は、一日一度、または二度の補給で十分なのです。肉体労働といわれる建築作業や運搬作業でさえも、いまや車や機械の運転が業務の中心で、それほど肉体は用いていないのが実情です。
 
 試合に臨むボクサーは徹底した減量を行ないます。例えば体重測定日の2ヶ月前から水と豆富とキムチと鶏のササミといったメニューのみの生活を続けるのです。もちろんこれは極端な例です。ですが、これほど極端に炭水化物がゼロの生活を2ヶ月も続けて生きていけるどころか、ボクシングのような想像を絶する戦闘行為ができるのです。

 まして、デスクワークのような非肉体労働をしている人は、昼にしっかり普通の食事を摂れば一日分の燃料は十分に取れます。 
 ご飯、麺類、パンは昼食に摂るのが望ましいのです。
 太りすぎの人、具体的にはBMIが25以上の人は、夕食から炭水化物を抜くのです。
逆に太りたい人、具体的にはBMIが20以下の人は、夕食には炭水化物を摂るのです。そうすれば、理想値であるBMI22に近づいていくことができます。
 健康方程式の中には、健康食品の勧めは含まれていません。もっと根本的な、食事習慣についての提案が含まれています。その食事習慣は、増え続ける糖尿病を予防する新たなもう一つの提案です。」

(『健康方程式』p. 66-71 )


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予防可能病とは

2008-03-22 | 医学書『健康方程式』
「それでは、予防可能病とはどのような病気を指すのでしょうか?

 予防可能病とは、基本的には、
「遺伝によって発症がほぼ確実な病気を除いた全ての病気」
です。
ただし、本書で扱う予防可能病は糖尿病、高血圧症、高脂血症、うつ病、
それから、がん、心筋梗塞、脳卒中、自殺です。
これらの合計8つの病気群を、この名称で一括して呼びたいと思います。
 予防可能病の前期にあたるものは、糖尿病、高血圧症、高脂血症、うつ病です。
予防可能病の後期にあたるものは、がん、心筋梗塞、脳卒中、自殺です。
前期は直接死に至らない病、
後期は死に至る病です。
 うつ病と自殺は、生活習慣病に含まれていません。しかし、予防可能病には含まれています。なぜでしょうか。
 うつ病は遺伝性が認められていません。自殺も同様です。遺伝性がない病気は全て予防可能病です。だから、これらをあえて予防可能病に含めたいと思います。
 それでは、予防可能病がどのように予防が可能であるかを見ていきましょう。」

(『健康方程式』p. 65-66 )


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