『健康方程式クリアファイル』

健康方程式をクリアに理解するためのwebファイルです。

肥満症【3】 ~運動に対する誤解

2008-01-27 | 医学書『健康方程式』
肥満は食べ過ぎで起こり、その弊害は胃がん、そして日々の生産性へと及ぶ、
ということを「肥満症【1】」・「肥満症【2】」に転写しました。
食べ過ぎ = 人生の質を落とす
という衝撃の事実。とても画期的です。
さらに私たちの「思い込み」をもう一つ、破壊してしまいましょう。

「肥満の第二の原因は運動に対する誤解です。
運動すれば脂肪が燃えるという考え方は広く普及しています。
ですが、運動で脂肪を燃やすのがいかに大変なことであるかは既に述べた通りです。」

( 『健康方程式』 p. 58 )

★過去記事ご参照ください → 「健康と関係がない運動」

肥満には、食事の改善が運動の改善より大きな効果を持ちます
食事が中心で、運動が補助です。
この事実関係はあまり知られていませんが、非常に大切な点です。
健康方程式はこの事実も取り入れた、生活習慣上の提案です。」

( 『健康方程式』 p. 58 )

「運動なんてする時間がなくって」・・・、
ダイエットを始められない言い訳が、これで嬉しくも粉々になりました。
食事を改善する、しかも減らす方向なら、すぐ始められます


click PLZ!→健康と医療blogランキングへ


だいぶ記事が多くなってきました。
テーマに沿った過去記事を探せない!
そんなときは、画面右下にひそむ、こちらから



検索したい単語を書き込んでみてください

肥満症【2】 ~朝食と胃がんと生産性

2008-01-23 | 医学書『健康方程式』
“一日三食は良くない。”
肥満、そしてその他の弊害へ及ぶ衝撃的な事実です。その根拠について。

「一日三食に真っ向から反論している医師がいます。
渡辺正氏は開業歴40年を数える内科医です。その医師は『朝食有害説』という著書で、一日三食の弊害を丁寧に述べています。
実際に40年にわたって自分の患者さんたちに朝食なしの生活を指導してきたと書かれています。

朝食の弊害についての渡辺先生の論点を要約すると、次のようになります。
 第一に、肥満の原因になる
 第二に、胃がんの原因になる
 第三に、午前中の生産性を低下させる

肥満の原因になるという説については既に述べた通りです
第二の論点は衝撃的ですが、どうしてでしょうか?

胃がんの危険因子は、実はよくわかっていません。
統計的に、胃がんは欧米人より日本人に多いとされています。その理由として塩分が悪さをしていると言われてきました。漬物がいけないのではないかとの推測です。
しかし塩分は、ナトリウムと塩素という人間に必須の電解質の構成物ですから、がんを引き起こすというのは理解に苦しみます。
実際、塩分は胃がんの危険因子ではないという説が有力になってきています。
それでは、朝食と胃がんにはどのような関係があるのでしょうか?

食事、正確には固形物を摂取することは、胃と腸に大きな負担をかけるのです。
胃と腸はかなりの問題が起こるまで、文句を言わず働いてくれる臓器です。
固形物が胃に入ると消化がはじまります。そして、2時間をかけて小さく分解された食事が小腸に入り、栄養分が吸収されていきます。食後3時間は、胃と腸にとっては負担が大きい運動時間であり、多くの血液を必要とするのです。
一方で、人間にとって午前中は生産の時間です。歩いたり、電車に乗ったり、本を読んだり、ものを考えたりする時間です。体を動かせば筋肉に血液が流れます。頭を使えば脳に血液が流れます。食後に生産活動をすると、胃腸に行くべき血液が頭と脳に取られてしまうのです。
胃と腸は少ない血流、つまりは少ない酸素で消化活動をしなければなりません。虚血状態での活動が細胞にとっていいはずがありません。
この虚血状態での活動が何十年にわたって続けられた結果、胃の細胞が変異してがんが発生するというのがその説です。これは実験によって確かめられたものではありませんが、医学的に筋の通った議論です。

第三の「午前中の生産性を低下させる」という説も同様に説明されます。

この「朝食有害説」に私は賛成します。6人に1人が肥満であるという異常事態が起きています。その第一の原因が朝食であると、私は考えています。

それだけではありません。さらにいくつもの問題点が肥満症の裏に隠されています。」

(『健康方程式』p.56-58)
・・・つづく

肥満の悩みを解決すると同時に、生産性にもプラスに働くこの説。
自分はおかげさまで肥満ではありませんが、体重に問題がなくとも朝食を固形物→野菜ジュースへと変化させたことで、生産性の変化ははっきり感じました。
ひいてはこれが胃がんを予防していたことにもなるというのは、二重三重に有り難いお話です。


click PLZ!→健康と医療blogランキングへ

肥満症【1】

2008-01-15 | 医学書『健康方程式』
自己破壊症の二つめは、肥満症です。肥満症とは何でしょうか?
肥満の定義は様々ですが、次のようなものがあります。

第一の定義:
BMI(body mass index)
体重(kg)/〔身長(m)〕2 > 25
 (←クリックで、自動計算サイトにとびます。これ、ちょっと甘い印象です。by・healthy_life)

第二の定義:
体脂肪率 > 25%

第三の定義:
ウエスト/身長 > 0.5

このうちの一つでも満たせば肥満症です。この肥満症は、日本に2000万人いると言われています。6人に1人という計算です。肥満症がどうして自己破壊症なのか見ていきましょう。」

(『健康方程式』p.53-54)

自分が肥満である、
という認識と向き合う自覚がまず必要だと思います。
私の個人的な印象では、やせたーい!と声を大にして言う女性は、実はそんなにダイエットの必要もなく、そもそもの目標が「飛びぬけてやせている女性」だったりします。
男女とも、
「ちょっと太り気味かな?でもまだ大丈夫かな」
とのんびり構えているタイプが、実は、かなり危ないことが多い!
目が慣れるって、怖いことです。。

「肥満症は食べすぎで起こります。正確には、消費エネルギーより多いエネルギーを摂取することが原因です。一部の肥満はホルモンの異常や薬の副作用で起こりますが、ここではそれらの人びとを除いた単純性肥満を指します。
食べ過ぎはまず、胃と腸に過度の負担をかけます。さらに、糖尿病という現代日本人最大の病を引き起こします。
ここで大きな問題が現れます。日本食は健康食と言われています。脂肪分が少なく、栄養バランスがよいのです。実際に、日本人の平均寿命は世界でも高水準です。
それなのにどうして、6人に1人が肥満という異常な事態が起きたのでしょうか?
「3.健康知識」の章で述べた通り、私はその第一の原因が、一日三食きっちりと」という考え方に原因があると考えています。私たち日本人は子供の頃から学校でも家庭でも一日三食摂るよう教育されてきました。本当にこの考えは正しいのでしょうか?三食の根拠は何でしょうか?」

(『健康方程式』p.54)

これについては、過去記事に記載してあります。
→「肥満の日本史」 こちらから。

そして、結論は、
「一日三食は、健康によくない。」
この驚くべき理論の根拠を、次回では学習したいと思います。

この記事を読んで「ギクリ」となさった方は、
カロリーたっぷりの昼食を抑えてお結び2個にし、今月の飲み会を一回控えて、
浮いたお金でこの本を買ってみましょう。(3000円~5000円くらいは浮きますよね?)
そしてたった1260円で手に入る、健康。
ジム代よりもサウナスーツ代よりも、安く上がります



click PLZ!→健康と医療blogランキングへ


欲望の構造【3】

2008-01-14 | 哲学書『健康方程式365』
本書のこのセクション(「欲望の構造【1】【2】」ご参照)は思想史の層が積み重なり、まるでミルフィーユを目の前にしているようだと思いました。
ページを読み進めていくことはすなわち、その魅力的なミルフィーユにさくっとフォークを差し込んで、断面の緻密さに感動しながら、食べる分を一口ずつ掬い取るような作業です。

「欲望」という人間の本質にもっとも大切な「酸素」。
酸素を知ることで、人間の本質へ届きます。

「空とは空気であり、空気を構成する物質の中で生命にとって最も重要な物質が酸素です。
酸素という概念が人類の歴史に登場したのは18世紀で、ゴータマ・シッダルタもナーガールジュナ(=竜樹。150~250年頃の南インドのバラモン出身の僧)も酸素という概念を知りませんでした。酸素が生命にとって最も重要な物質であると認識されたのは20世紀に入ってからです。
ゴータマ・シッダルタが菩提樹の下で悟ったとされる因果の理法の前提には、禅定dhyanaという呼吸法がありました。
悟りを得るためには脳に対する十分な酸素供給があり、その十分な酸素供給の方法こそが禅定ということもできるでしょう。
東洋思想と西洋思想の源流はインド・ヨーロッパ語族にその起源を持ち、その思想の最上流には、
心と体を同時に制御したい、という人間の明確な意思があり、
その具体的な方法が横隔膜という筋肉を意識的に利用することである、
という認識は、一人でも多くの人びとに共有されるべき人類の知的財産であると思われます。」

(『健康方程式365』p.106)

ほんとうですね!知らないなんて、もったいない・・・。
酸素を制するもの、心と体を制す。
歴代の最高頭脳たちがそれぞれに達してきた結論が、ここにありました。
思想史をこうしてコンパクトにわかりやすくまとめて読めることで、超高速でその重要性を理解できること、さらには自身でもその方法を簡単に実行できること。
とてもとても、有り難いです。



click PLZ!→健康と医療blogランキングへ

欲望の構造【2】

2008-01-13 | 哲学書『健康方程式365』
欲望とは無数の化学反応の総体であり、人間の本質です。これらの化学反応の中で最も重要な物質が酸素であることから、本書の第一章も「酸素」から始めました。
酸素を含む一切の物質は、さらに小さな単位から構成され、最小単位の粒子は、哲学者によって単子monad、科学者によって量子quantumという名を与えられてきました。
20世紀になって、この粒子というのが実は、粒子であると同時に
波動として振る舞うエネルギーの集積
であることが認識されましたが、それは人類が到達した驚くべき視点でした。」

(『健康方程式365』p.105)

さて、今日でこそ「酸素」は誰もが認識している概念ですが、それがなかった時代のことを想像してみませんか?
現代へと繋がる歴史に、新鮮な驚きを感じることができます。

「しかし一切の物質は波動であるという認識は、すでに数千年前に東洋思想が持っていました。
色即是空という仏教的な認識論は、知覚対象は実態を持たない
というものですが、粒子波動論に通じる考え方です。
色即是空に続いて、
空即是色という存在論が登場します。形を持たないものが認識対象として現れる
というのは概念形成の賜物です。空気または酸素という概念があってはじめて、空気や酸素の存在を意識することができる。」

(『健康方程式365』p.105)

哲学の3本柱には、
・認識論
・存在論
・幸福論
がある、というお話は過去記事に記載しました。
『健康方程式』は幸福論ですが、このような思想を背景に踏まえた考察により、同時に認識論・存在論を包括しているといえるように思います。

そして、テーマは「悟り」の本質へ。

「空を悟る、という仏教の目的に最も近づいたとされる日本人は道元といわれますが、その道元がその悟りの道の中心に置いたのが、只管打座という方法で、要するにただひたすら座ること。すなわち呼吸法にありました。本質だけを取り出していけば、
空を悟るというのは、呼吸法を知る
ということです。しかしゴータマ・シッダルタも道元も、空気の本質が酸素であるという認識には至ることができませんでした。彼らの時代には科学がまだ誕生していなかったからです。科学的な表現をすれば、
空を悟るというのは酸素の摂取法を知る
ということであり、哲学的な表現をすれば、
酸素を通じて宇宙と生命が交通する
ということにあります。」

(『健康方程式365』p.106)

酸素の重要性をこうした証明によって見出すこと・・・、はっと覚醒するような気持ちになりますね!


click PLZ!→健康と医療blogランキングへ

欲望の構造【1】

2008-01-12 | 哲学書『健康方程式365』
遅ればせながら、あけましておめでとうございます。
新しい年の始まり、いかがお過ごしでしょうか。年の最初に感じる、この静謐かつエネルギーに満たされた気持ちを、できるだけ保ちたいものですね。
今年もよろしくお願いいたします。

意識そして生命から、今年は学習しようと思います。

「人間の精神を意識と無意識に分け、意識の本質を最も深く追求した哲学者がJ・サルトルでした。
意識の本質は自由であり、人間は自由の刑に処されている
というサルトルの視点は、人類の歴史の中で述べられた自由についての見解として、たいへんに鋭いものです。それに対して、無意識を深く正確に描写したのが、哲学者G・ドゥルーズと精神科医F・グアタリでした。
彼らは、
無意識とは欲望する機械たちの無限の連鎖である
という、全く新しい精神世界の在り方を提示しました。
無意識とは人間のすべての生産活動の総体で、
呼吸・循環・神経・代謝・免疫・消化・泌尿・生殖・運動・感覚
という十の機能の流れが連結したものです。生命活動はこうした無数の化学反応の連結であるというのが生化学の基礎的な考え方であり、すべての化学物質は波動と粒子の二重性を持った量子であるというのが物理学の基本命題です。」

(『健康方程式365』p.103)

それゆえに、この認識が生まれたのですね・・・、

「健康方程式は、量子物理学・実存主義哲学・精神医学を背景に、
生命とは欲望する波動である
という認識の上に成り立つ方程式です。生命を理解するのに宗教は必要なく、科学と哲学で十分可能なのです。宗教の出番は、死後の世界を語るときのみであり、生命については宗教が登場しないことが重要です。生命は自由に生きる原則を必要としていますが、規範となる教義は必要としていません。」

(『健康方程式365』p.104)

宗教、そしてその他あらゆる隷属の習慣から離れた明瞭な視点で明確に本質を捉えることがキーになりそうです。

click PLZ!→健康と医療blogランキングへ