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『健康方程式クリアファイル』

健康方程式をクリアに理解するためのwebファイルです。

生活習慣病と予防可能病

2008-03-21 | 医学書『健康方程式』
「人はどうして病気になるのでしょうか?
 この疑問に対する答えを、私は10年にわたって探し続けました。医学部で様々な病気の勉強をしましたが、その答えは見つかりませんでした。
「遺伝と環境が半分半分で病気の引き金になっている」
といった漠然とした知識のみを得て、私は医師になりました。私が救急医として5年間働いて痛感したのは、ほとんどの患者が自らの生活習慣から必然として病を招いているという事実です。煙草を吸い続けて肺がんになったり、肥満を放置して心筋梗塞になるといった人が大半を占めるのです。その人自身に原因を見出せない病気や怪我は一割程度しかないというのが私の印象です。

 心筋梗塞、脳卒中、がんは「成人病」と呼ばれてきました。これは医学用語ではなく、行政用語です。旧厚生省が作った用語であり、英語にはその訳語がありません。
 これに対して、『生き方上手』などの著作で知られる聖路加国際病院の日野原重明医師が、20年前に名称変更を提案しました。それが「生活習慣病」です。
 生活習慣病という言葉には、その原因に向かう意思が含まれています。成人病という、あたかも運命的な響きを持つ病名ではなく、生活習慣病という命名のほうがはるかに正確です。

 しかし私はこれでも不十分であると考えています。私が提唱したいのは「予防可能病」という名称です。
 生活習慣病は、成人病と比べてはるかに正確な名称です。ただ、どこか他人事のような語感が含まれている点が問題です。
 私は自らの病院における勤務経験から多くの疾患が自業自得であるとの強い印象を受けました。そこから、生活習慣病をさらに一歩進めて、予防可能病という病名を提唱したいと思います。
 「成人病」→「生活習慣病」→「予防可能病」という名称変更は、言葉遊びではなく、治療から予防への意識変換を促すための戦略です。」

(『健康方程式』 p. 64-65)

では、予防可能病って、なんでしょうか?

次回より、8種の病気を挙げていきます。



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運動と健康に関する思い込み

2008-03-16 | 医学書『健康方程式』
「話題を食事から運動に移しましょう。健康を決定する三つの要素は、食事と運動と感情であると私は考えています。その二つめの「運動」について考えてみましょう。
 「運動は健康に繋がる」という思い込みにも根深いものがあります。ジョギングをしたり、フィットネスクラブに通う人々の健康意識の高さは素晴らしいと思います。
ただ、それらは本当に健康に寄与しているのでしょうか?
 実際の運動には三種類があります。運動をするのなら、それを区別する必要があるのです。

①不健康な運動
 一つめの運動は「不健康な運動」です。
 オリンピックなどの競技がその例です。競技志向の運動選手は成績が第一で健康は二の次です。走り込みは心臓と関節に大きな負担をかけます。心筋細胞は再生しません。心臓が一生で収縮する数はおそらく有限ですから、心拍数が上がれば上がるほど早く死ぬと推察できます。
 また全力疾走は、足や背骨の関節に体重の何倍もの負荷をかけます。これが関節障害やヘルニア、疲労骨折などを生むのです。走るという行為は、人体にとって大きな負担です。それを全力で何時間も毎日続けるのは、自らの体に対する虐待であるといえます。
 陸上選手だけでなく、体操選手も極端な体の動きを要求されます。体操競技の着地に際する衝撃は走行の比ではありません。また球技も同じです。サッカーなどでは常に相手選手から足を蹴られ、猛烈なスピードのボールを頭ではね返すのです。足首の捻挫、打撲と脳震盪、頚部打撲の繰り返しです。格闘技に関しては説明の必要もありません。お互い筋力の発達した者同士が殴り合い、投げ合うのですから、健康によいはずがありません。
 医師の視点で見ると、オリンピックは不健康な訓練を積み重ねた結果を競い合う祭典であり、世界選手権は不健康なまでに体を酷使した人々の見本市です。競技志向の運動は、よほど気を遣わないと健康を損ねるのです。
 オリンピックほどではありませんが、肥満者のジョギングも不健康です。関節に対する負担が大きすぎるからです。さらには、車の多い大通りをジョギングする人を見かけますが、排気ガスを深く吸い込む行為は不健康の極みと言えるのではないでしょうか?」

『健康方程式』p. 36)

胸に痛く刺さる言葉の群れ!
でも腑に落ちます。
おりしもフィギュアの試合のテレビ放映が待たれますが、優勝を争う選手の、怪我を抱えた比率はとても高い。
右肩にボルトをはめこんだA選手、腰に鍼を打ちながら出場するK選手。
運動の現実、とても無視できません。

さて、三つの要素の次は・・・、


②健康と関係がない運動
過去記事に掲載してあります。こちらからどうぞ。

③健康に寄与する運動
もっとも知るべき箇所ですね!こちらからどうぞ。

どうぞご参照ください。


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第三の思い込み ~主食は米

2008-03-16 | 医学書『健康方程式』
「第三の思い込みが、「主食は米」という考え方です。あるいは麺類にまで広げて主食は炭水化物という考え方と言っていいかもしれません。日本人は米、麺類、小麦粉などの炭水化物を主食、たんぱく質や脂肪をおかずと思い込んでいます。」
(『健康方程式』 p. 34)

たしかに。
これはひとえに教育の賜物ですね。誰もがそう教えられたため、続けてきたのですから。

「一日三食、炭水化物が主食の生活を続けていればほとんどの人は肥満になります。例外は、まだ成長期にある子供、毎日激しい運動をする人、遺伝的に基礎代謝の高い家系の人です。それ以外の人が一日三食、炭水化物を主食とした食事を続けると肥満になります。実際、中年男性の多くは肥満ですが、それは一日三食という習慣で説明することができるのです。
 一言で言えば、三食摂取すればカロリーオーバーになるということです。「一日三食バランスよく」という考え方が実は肥満の原因になり、糖尿病を生んでいる可能性があります。
 かつて多くの日本人が農作業に従事し、肉体労働をしていました。そして副菜は漬物や味噌汁などの質素なものでした。そのときは「一日三食、米飯主食の生活」でエネルギーの出入りが一致していました。しかし今や日本人の多くは事務作業に携わり、以前ほど体を動かしていません。さらには、おかずがさらに豪華になりました。食事の欧米化も寄与し、肉や魚、デザートに含まれるエネルギーは200年前と比べ物になりません。
 運動量は減り、おかずは豪華になったのですから、ここで一日三食米を食べることは確実に肥満に結びつくのです。」

(『健康方程式』 p. 35)

近年お米はいろんな種類が選べるようになりましたし、パスタ、うどん、蕎麦、ラーメン、ケーキ等甘いお菓子の群れ、と炭水化物は百花繚乱状態。
・・・それにプラスしてたっぷりのおかずが欲しくなるところが、わたしたちの欲深いところですね。

「日本は不思議な国です。伝統食である和食は健康食といわれ、世界にその効用が認められています。
なのに、日本人には糖尿病が異常に多く、一方では平均寿命は世界一で、さらには100歳を超える長寿者が2万人も存在しています。
この謎の根本には何があるのでしょうか?

 この謎の答えは、一日三食の炭水化物を主食とする生活にあります。
そして、それを改める方法が健康方程式に提示されているのです。」

(『健康方程式』 p. 35)

食事と健康に関する思い込みについて、
第一の思い込み
第二の思い込み
そしてこの第三の思い込み
と見てきました。

続けてきた習慣(=「染脳」)を一度取り去ってみようとすること。
これは、誰にとっても実に大変な作業です。
この、習慣という目に見えない支配者の力について、新しい目で振り返ってみること。
これが「洗脳」。

脳に、普段させない運動をさせているような感覚がありますね!
さらに次回は、「運動と健康に関する思い込み」も検証してみましょう。

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第二の思い込み ~一日三食

2008-03-12 | 医学書『健康方程式』
「第二の思い込みが、「一日三食」という考え方です。
医師も栄養士も学校の先生も、誰もが口を揃えて朝食をきっちり摂るよう指導します。子供の頃からの繰り返しによって多くの日本人がこの考えを真理と思い込んでいます。
でも本当にこの思い込みは正しいのでしょうか?」

『健康方程式』 p.34)


答えは、過去記事をどうぞ ⇒

○肥満の日本史

○肥満症【1】

○肥満症【2】 ~朝食と胃がんと生産性


「エー!でもずっと続けてきたし・・・」
とビックリしたら。
続けてきた理由の一番最初の根拠を、新鮮な気持ちで見てみてください。

「エー!でも食べてきて調子いいし・・・」
気が向いたら、固形物の代わりに野菜ジュースを摂る日々も、気楽に試してみてください。
(興味深いことに、なにか「固まり」を食べないとおかしくなる・・・という暗示とともに挑戦すると必ずその自己暗示にかかりますので、なるべく心をまっさらにして・・・


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第一の思い込み ~健康食品

2008-03-08 | 医学書『健康方程式』
「第一の思い込みが「健康食品は体によい」という考え方です。健康食品には本当に効果のありそうなものからいい加減なものまでたくさんあります。健康食品の一つの例がサプリメントです。
 サプリメント市場は1兆円市場とも言われています。
医療費が年間30兆円、そのうち製薬業界が5兆円ですから、サプリメント市場がいかに大きいかわかります。
ビタミンからはじまり、アミノ酸まで様々な健康食品が販売されています。
 まず、「健康になるためには栄養を補給しなければならない」という思い込みがその前提にあります。体にいいと言われれば試してみたくなるものです。この思い込みは本当に根強く、健康のためならどんなにまずくても我慢して口に入れる人も多くいます。

 次に化学製品に対する素朴な信頼があります。アミノ酸サプリメントと言われれば何か科学的な響きがします。普段確固たる健康法に従って体調管理をしている人は多くありませんから、そのサプリメントを飲めば手軽に健康になる気がします。
 そして巧みな広告が後押しをします。健康情報を巧妙に人々に伝える技術は洗練を極めています。テレビ番組の多くは実に説得力のある健康情報を流しています。
 思い込み、素朴な信頼、巧みな広告の三つがサプリメント市場の根底にあるのです。


 健康食品からある事実に視点を移してみましょう。
21世紀初頭の今、100歳以上の日本人が2万人を超えています。
その方々は、サプリメントを摂ることなく100歳になったのです。
20世紀後半という、戦争と栄養不足の時代を生き抜いてきたのです。
つまり、日本人の食生活の中に何か秘密が隠されているはずです。その過酷な時代を100年も生き抜いた人が、2万人も存在するという事実に注目する必要があります。
 サプリメントの一部は実際に効果があるかもしれません。しかし、それが寿命に繋がる実験は今のところ存在しません。まだ日が浅すぎるのです。
 今、様々な健康食品に関する情報に振り回されるのをやめ、健康の本質を見つめ直す時期が来ています。日本人の食生活に隠された究極の健康食品にもう一度光を当て、それを食生活の軸に据え直す必要があります。」

(『健康方程式』 p.32 - 34 )


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食事と健康に関する思い込み

2008-02-28 | 医学書『健康方程式』
『健康方程式』が東西の科学と哲学知識の集大成である、
ということから、海外の読者にもおもしろがられていることを、最近興味深く思っています。
現在、アメリカ、フランス、ドイツ、ベルギーの人たちからの感想を聞いています。(英語版による)
文化の異なる人たちと同じ本を読む、その背景がもたらす感想の違いを愉しむ。とても刺激的ですよね。
よかったらぜひ、プレゼントして、“あなたとの場合”を試してみてください。

さて、エスプリに富んだやり取りを好む人種、フランス人に、
ここがおもしろい!
とうけたのが、この箇所。

『健康方程式』12ページ、【医師の不養生】から。

「医師はどうして長生きしないのでしょうか?
(中略)
健康に関する知識は医師に聞きたくなるところです。その医師たちは必ずしも長生きしません。つまり、正しい健康知識を持っているようには見えません。もし正しい健康知識があるなら、医師たちは健康を保ち、長生きするはずですから。
実は医師はあまり健康知識を持っていないのです。
もっと正確に言うと健康について習ったことも考えたこともない医師の方が多いのです。
これは一見意外な考えですが、まぎれもない事実です。
医師は必ずしも健康の専門家ではないのです。」


なんというどんでん返しの事実!読んだ人の度肝を抜くのは、万国共通のようです。
・・・さらに続きます。

「医学は、健康についての学問ではありません。病気についての学問です。
私は、医学部6年間の講義で、一度も健康について習ったことがありません。
何十冊という教科書を読みましたが、健康についての記述を一度も読んだことがありません。
医学部を卒業した後、通常、医師は病院に勤めます。
そこで会うのは病人です。
来る日も来る日も病人に会います。健康な人に会うことはありません。
病人を病人でなくす
のが医師の仕事です。
医師は病気についての知識を持っていますが、健康についての知識は少ないのです。」


聞いてみれば、納得。です。
しかし、健康のこと⇒医師に聞こう!というのは、固い思い込みとして、わたしを含め普通の人々の間には流通しているのが、現実だと思います。

そこで、他にもきっとある、ただの「思い込み」を検証していく作業にとりかかりましょう。
歪んだ積み木の塔を思いきり壊して真っ直ぐに積み直すような、そしてもっときれいな塔をつくり上げるような、すっきりした快感が味わえそうな予感です。

『健康方程式』31ページ、【食事と健康に関する思い込み】より。

「健康について、これまで医師や医学研究者はあまり関心を払ってきませんでした。
従って、信頼できるような実験は非常に少ないのです。
健康になる食べ物は、実験によって裏付けられているのではなく、印象に裏付けられているものが多いのです。
食と健康に関しては様々な説が飛び交っています。
その中で改めた方がいい思い込みが3つあります。
それらの思い込みは日本人の心に根深く住み着いているため、否定するのは大変ですが、一度頭を柔らかくして読み進めてください。」


次回から、その3つの思い込みを、検証していきましょう

①第一の思い込み
②第二の思い込み
③第三の思い込み


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知識とは【2】

2008-02-24 | 医学書『健康方程式』
「「医食同源」という言葉を否定する人は少ないでしょう。
食べ物と健康に密接な関係があることには疑いがありません。
食べ物は体の材料ですから、どのような食べ物を摂取しているかで、体調が大きく左右されます。
まず、食べ物についての思い込みと不確定情報を、信頼できる知識に置き換えていきましょう。」

『健康方程式』p.30)

以下は、衝撃的な事実です。

「健康情報の多くが物販を目的としています。
物販、すなわち商品を売ることが目的なのです。
その商品が本当に健康に寄与するなら問題はありませんが、多くの場合「商品を売る」ことが主目的です。
そしてその「商品を売る」ための手段が「健康によい」という情報なのです。
健康によいから売るのではなく、
売りたいから健康によいと宣伝された商品
が非常にたくさんあります。
この点をよく注意していただきたいと思います。

様々な健康食品が販売されています。
やせ薬や健康野菜などが雑誌やテレビを賑わせ、そのうちのいくつかは実際効果があるのでしょう。
しかし、実際に実験が確かめられた効果は非常に限られています。
少し断定的に言えば、
「健康情報」ではなく、実証的な「健康知識」と呼べるものは、実はほとんど世界に存在しないのです。

『健康方程式』p.30)

この箇所は、曖昧に認識されがちな「情報」と「知識」の見分け方をくっきりと知らせてくれる大切なポイントです。
言われるがまま、そうか、そうに違いない!と自分の頭をまでだまして信じ込んだりせず、
なぜ、そうなるんだろう?本当はどうなんだろう?
と、さらに想像力を働かせて真実を見る、自分の「知性」を活用してみましょう。

「この本は健康知識を提供することを目的としています。
いくつかは合理的な仮説、いくつかは実証的な仮説、いくつかは革新的な仮説です。
それらの仮説を提示することで、健康についての思い込みを取り除き、健康情報に振り回されない生き方をぜひ実践してください。」

『健康方程式』p.31)

「情報」と「知識」の違いが、判ってきました。
健康がほしい、と出発するところが同じでも、
「情報」(不確かな)に振り回されてお金だけが飛んでいってしまうことになるか、
「知識」を掴まえて自らの内側から礎を確かに固めていくか。
大きく差がついていくところだと思います。


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知識とは【1】

2008-02-20 | 医学書『健康方程式』
さて、
「健康方程式」とはどういう存在か?
について、考えてみませんか。
医師が書いた本、
「でもお医者さんて皆がいろんなこと言うしな」
と考える多数の方に適した記事に、今回はなると思います

「私がこの本で扱うのは、情報ではなく知識です。
「情報」に関しては注意が必要です。そこには何らかの意図が隠されているからです。
はじめに「何のために発せられた情報か」を良く考える必要があります。」

『健康方程式』p.30)

人は好きなものには敏感になります。健康に気を配る人は、健康の「情報」感度にすぐれていらっしゃることでしょう。
しかし、自分もそうですが、気付くとその波に溺れてしまうことがあります。
ふらふらと、目を引くものにただついていってしまうことがあります。
「知識」は、そんなときの足元に固く在る地盤です。
きちんと踏みしめ、離れずにいることで、崖からふらりと落ちてしまうことを防ぐ大切なものです。

「情報は次々更新されるものです。風向き情報のようなものです。従って、指針にはなりえません。
私たちが必要とするのは健康になるための指針であり、風向き情報ではありません。健康知識を指針に据え、健康情報を吟味して取り入れ、思い込みを改めることが健康に繋がるのです。」

『健康方程式』p.30)

思い込みを改める・・・ 染脳 → 洗脳

専門家の知識は、世の中に共有される財産です。
ありがたく享受しましょう

ではところで、「知識」とはそもそも何?

「知識は、いわば方位磁石のようなものです。その方位磁石の制度には3種類あり、それらを区別することは大切です。
その特徴は以下のようなものです。

①合理的な仮説
一つめは「少し信頼できる知識」です。それは、今までの医学知識と矛盾せず、筋が通っているということを意味します。この、今までの知識できちんと説明できる考えを「合理的な仮説」と呼ぶことにします。これが知識への第一段階です。この「合理的な仮説」が、「正しい知識」への出発点です。

②実証的な仮説
二つめは「かなり信頼できる知識」です。それは、今までの医学知識と矛盾せず、実験によって裏付けられている考えです。これを「実証的な仮説」と呼びます。実証とは実験で証明されたという意味です。一般に「医学知識」という場合、この実証的な仮説を指します。

③革新的な仮説
三つめは「驚くべき知識」です。それは、今までの医学知識を覆すような大胆な仮説です。もちろん、まだ実験では確かめられていません。これを「革新的な仮説」と呼ぶことにします。

私がこの本で「健康知識」という場合、この3種類かのいずれかを指します。健康知識の多くは合理的な仮説であり、残念ながら実証的なものは少なく、革新的なものはさらに稀なのが現実です。

健康知識に似て非なるものに「思い込み」があります。人間は、多くの考えをなんとなく獲得し、なんとなく信じています。すべてを厳密に、合理的に、実証的に、確かめることは現実には不可能です。健康に関する考えの一部はこのような「思い込み」であり、言いかえると「迷信」にしか過ぎないものです。
世の中に出回っている健康についての考えの多くは、「知識」ではなく「情報」です。正確には「情報どまりの話」が多いのです。健康情報は真偽の程が定かではないので、健康知識には含まれません。」

『健康方程式』p.28-30)

難しいので、何度も読み返すことが大切だと思います。

つづく・・・


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悲観症【2】 ~うつ病の予防へ

2008-02-12 | 医学書『健康方程式』
悲観の思考が恐ろしいのは、うつ病へ至る点です。

「予防の観点からうつ病を見たとき重要になるのは、
「うつ病は感情の病ではなく、思考の病である」
という認知療法の考え方です。
日本うつ病学会の野村総一郎医師は、
「うつ病患者には特有の考え方があり、それを正すことで予防が可能ではないか」
と、著書『うつ病をなおす』に書かれています。
野村医師の「これまでの伝統的な精神医学にはうつ病の予防という視点がほとんど欠けていた」という指摘は非常に重要です。
うつ病患者に特有の思考習慣とは、肯定的側面の否定です。
言いかえると、先に述べた「悲観症」です。
陰性思考が悲観症を生み、
悲観症がうつ病を生むのです。」

(【健康方程式】p.78)

そして、解決法はこれ。

「陽性思考を毎日訓練することが悲観症を避け、うつ病を予防するのです。
健康方程式の第三項は悲観症を避ける思考習慣です。」

(【健康方程式】p.78)

これまでたくさん学んできましたように、健康方程式H=o+s+
第三項は、感謝Thanks

「感謝」について、あらゆる角度から見てきました。
ぜひあらためてこちらから、おさらいをしてみてください


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悲観症【1】 ~実態

2008-02-03 | 医学書『健康方程式』
「自己破壊症」には、
①喫煙症
②肥満症
③悲観症
があるということをご紹介してきました。

③悲観症について、今日はご紹介しますね。

「「悲観症」が第三の自己破壊症です。これは正式な医学用語ではなく、私の造語です。
悲観症は文字通り「悲しみ」の面を「観る」習慣を持つことです。ある出来事が起こったときに否定的な面、悲しい面ばかりを見つけ出す思考の習慣です。
悲観症の根本には、「陰性思考」が隠されています。
陰性思考とは、悲観を導いてしまう思考の傾向です。」

(【健康方程式】p.58-60)

タバコはすわないよ、肥満でもないよ、
という人の中にも、「悲観症」は一番広がっているような気がします。
目に見えないけれど、実は一番蔓延しているタイプ、それが悲観症ではないかと思うのです。

「これやってみよう!」
「ウーン、でもさ、もしだめだったら・・・」

すぐ「ダメ」に目を向ける思考のことです。

「ずいぶん手をかけて問題解決に挑んできたね、これだけやったらそろそろだいじょうぶだね」
「いや、まだ●●が気にかかって・・・」

と、なかなか悲観の状態から出てこないのも、症状の一つ。

「認知療法という精神医学の考え方によれば、感情は思考の産物です。
感情は自動的に生まれるものではなく、思考を通じて現れるのです。
ある出来事があり、それに対して自動的に感情が生まれるのではありません。
その人特有の考え方を媒介して感情が生まれるのです。
出来事→感情ではなく、
出来事→思考→感情なのです。
この中で、「思考」の部分に注目することが、健康方程式の考え方です。
悲観症の根本には陰性思考があります。その結果、悲しみの感情が湧きあがり、気分の障害が起こってしまいます。」

(【健康方程式】p.58-60)

自分の慣れ親しんだ状態{習慣}から抜け出すのは容易ではありませんが、それにしても、マイナスの状態に好んで身を長く置きたがる人は意外と多いものです。
しかし、そのツケは大きい。

「陰性思考は、自分を無理やり悲しみの感情に導く思考習慣です。
そしてこの思考習慣は、実は自分の心を破壊する習慣です。
この陰性思考習慣が長年にわたって続けられ、定着すれば、悲観がその人の世界観になります。これは重大な病です。
これを予防するための方法、つまり陰性思考を陽性思考に転換する方法が、健康方程式には提示されています。
悲観症は思考の歪みから起こります。
どのように改めればよいかの具体的な方法が健康方程式です。」

(【健康方程式】p.58-60)

つづく


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肥満症【3】 ~運動に対する誤解

2008-01-27 | 医学書『健康方程式』
肥満は食べ過ぎで起こり、その弊害は胃がん、そして日々の生産性へと及ぶ、
ということを「肥満症【1】」・「肥満症【2】」に転写しました。
食べ過ぎ = 人生の質を落とす
という衝撃の事実。とても画期的です。
さらに私たちの「思い込み」をもう一つ、破壊してしまいましょう。

「肥満の第二の原因は運動に対する誤解です。
運動すれば脂肪が燃えるという考え方は広く普及しています。
ですが、運動で脂肪を燃やすのがいかに大変なことであるかは既に述べた通りです。」

( 『健康方程式』 p. 58 )

★過去記事ご参照ください → 「健康と関係がない運動」

肥満には、食事の改善が運動の改善より大きな効果を持ちます
食事が中心で、運動が補助です。
この事実関係はあまり知られていませんが、非常に大切な点です。
健康方程式はこの事実も取り入れた、生活習慣上の提案です。」

( 『健康方程式』 p. 58 )

「運動なんてする時間がなくって」・・・、
ダイエットを始められない言い訳が、これで嬉しくも粉々になりました。
食事を改善する、しかも減らす方向なら、すぐ始められます


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だいぶ記事が多くなってきました。
テーマに沿った過去記事を探せない!
そんなときは、画面右下にひそむ、こちらから



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肥満症【2】 ~朝食と胃がんと生産性

2008-01-23 | 医学書『健康方程式』
“一日三食は良くない。”
肥満、そしてその他の弊害へ及ぶ衝撃的な事実です。その根拠について。

「一日三食に真っ向から反論している医師がいます。
渡辺正氏は開業歴40年を数える内科医です。その医師は『朝食有害説』という著書で、一日三食の弊害を丁寧に述べています。
実際に40年にわたって自分の患者さんたちに朝食なしの生活を指導してきたと書かれています。

朝食の弊害についての渡辺先生の論点を要約すると、次のようになります。
 第一に、肥満の原因になる
 第二に、胃がんの原因になる
 第三に、午前中の生産性を低下させる

肥満の原因になるという説については既に述べた通りです
第二の論点は衝撃的ですが、どうしてでしょうか?

胃がんの危険因子は、実はよくわかっていません。
統計的に、胃がんは欧米人より日本人に多いとされています。その理由として塩分が悪さをしていると言われてきました。漬物がいけないのではないかとの推測です。
しかし塩分は、ナトリウムと塩素という人間に必須の電解質の構成物ですから、がんを引き起こすというのは理解に苦しみます。
実際、塩分は胃がんの危険因子ではないという説が有力になってきています。
それでは、朝食と胃がんにはどのような関係があるのでしょうか?

食事、正確には固形物を摂取することは、胃と腸に大きな負担をかけるのです。
胃と腸はかなりの問題が起こるまで、文句を言わず働いてくれる臓器です。
固形物が胃に入ると消化がはじまります。そして、2時間をかけて小さく分解された食事が小腸に入り、栄養分が吸収されていきます。食後3時間は、胃と腸にとっては負担が大きい運動時間であり、多くの血液を必要とするのです。
一方で、人間にとって午前中は生産の時間です。歩いたり、電車に乗ったり、本を読んだり、ものを考えたりする時間です。体を動かせば筋肉に血液が流れます。頭を使えば脳に血液が流れます。食後に生産活動をすると、胃腸に行くべき血液が頭と脳に取られてしまうのです。
胃と腸は少ない血流、つまりは少ない酸素で消化活動をしなければなりません。虚血状態での活動が細胞にとっていいはずがありません。
この虚血状態での活動が何十年にわたって続けられた結果、胃の細胞が変異してがんが発生するというのがその説です。これは実験によって確かめられたものではありませんが、医学的に筋の通った議論です。

第三の「午前中の生産性を低下させる」という説も同様に説明されます。

この「朝食有害説」に私は賛成します。6人に1人が肥満であるという異常事態が起きています。その第一の原因が朝食であると、私は考えています。

それだけではありません。さらにいくつもの問題点が肥満症の裏に隠されています。」

(『健康方程式』p.56-58)
・・・つづく

肥満の悩みを解決すると同時に、生産性にもプラスに働くこの説。
自分はおかげさまで肥満ではありませんが、体重に問題がなくとも朝食を固形物→野菜ジュースへと変化させたことで、生産性の変化ははっきり感じました。
ひいてはこれが胃がんを予防していたことにもなるというのは、二重三重に有り難いお話です。


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肥満症【1】

2008-01-15 | 医学書『健康方程式』
自己破壊症の二つめは、肥満症です。肥満症とは何でしょうか?
肥満の定義は様々ですが、次のようなものがあります。

第一の定義:
BMI(body mass index)
体重(kg)/〔身長(m)〕2 > 25
 (←クリックで、自動計算サイトにとびます。これ、ちょっと甘い印象です。by・healthy_life)

第二の定義:
体脂肪率 > 25%

第三の定義:
ウエスト/身長 > 0.5

このうちの一つでも満たせば肥満症です。この肥満症は、日本に2000万人いると言われています。6人に1人という計算です。肥満症がどうして自己破壊症なのか見ていきましょう。」

(『健康方程式』p.53-54)

自分が肥満である、
という認識と向き合う自覚がまず必要だと思います。
私の個人的な印象では、やせたーい!と声を大にして言う女性は、実はそんなにダイエットの必要もなく、そもそもの目標が「飛びぬけてやせている女性」だったりします。
男女とも、
「ちょっと太り気味かな?でもまだ大丈夫かな」
とのんびり構えているタイプが、実は、かなり危ないことが多い!
目が慣れるって、怖いことです。。

「肥満症は食べすぎで起こります。正確には、消費エネルギーより多いエネルギーを摂取することが原因です。一部の肥満はホルモンの異常や薬の副作用で起こりますが、ここではそれらの人びとを除いた単純性肥満を指します。
食べ過ぎはまず、胃と腸に過度の負担をかけます。さらに、糖尿病という現代日本人最大の病を引き起こします。
ここで大きな問題が現れます。日本食は健康食と言われています。脂肪分が少なく、栄養バランスがよいのです。実際に、日本人の平均寿命は世界でも高水準です。
それなのにどうして、6人に1人が肥満という異常な事態が起きたのでしょうか?
「3.健康知識」の章で述べた通り、私はその第一の原因が、一日三食きっちりと」という考え方に原因があると考えています。私たち日本人は子供の頃から学校でも家庭でも一日三食摂るよう教育されてきました。本当にこの考えは正しいのでしょうか?三食の根拠は何でしょうか?」

(『健康方程式』p.54)

これについては、過去記事に記載してあります。
→「肥満の日本史」 こちらから。

そして、結論は、
「一日三食は、健康によくない。」
この驚くべき理論の根拠を、次回では学習したいと思います。

この記事を読んで「ギクリ」となさった方は、
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【ご出演情報】J-WAVE 『LOHAS TALK』

2007-10-26 | 医学書『健康方程式』
雑誌『ソトコト』の編集長、小黒一三氏の『LOHAS TALK』、81.3 FM J-WAVE。

『健康方程式』著者、井上敬先生が出演されてましたね

Podcastingは、こちらから (無料)
10/22-26オンエア分が、一気にまとめて聴けます
お休みの日や寛いだ時間に、のんびり聴いてみましょう


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