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会田玲二のブログ

HCI顧問・会田玲二のブログです。

一品大量陳列と楽しさ追求陳列の違い

2008-01-23 17:00:55 | 経営戦略

一品大量陳列はローコスト経営が狙い

 1月22日の情勢報告会で私は、ウォルマート等チェーンストアの一品大量陳列は、特に日本消費者にとっては無味乾燥となり、面白くない店にならざるを得ないと話した。これは、西友ひたち野うしく店を見て、改めて強く感じたことである。

 しかし私は、一品大量陳列主義がよくないと言っているのではない。それはローコスト・効率経営を進めるチェーンストアの特徴であり、これを進める企業は日本にもたくさんある。

 これにより仕入れ・販売効率、物流・マテハン効率を高めるのが狙いであり、少ない客数・売上げでも成り立つローコスト経営を進めている。したがって一品大量陳列主義は、企業経営の側に立った合理化である。

複数アイテム陳列は日本人の価値要素を追加する

 一方、企業の側ではなく日本の消費者の側に立つと、一見「ごちゃ混ぜ式」に見える陳列・提供方法が魅力的となる。このことを私は、NHKテレビ番組のCool Japanを何回か見て理解した。

 これは22日に説明したように、一見「ごちゃ混ぜ式」に見えるが、実は「関連要素の追加」であり、日本の優れた特徴である。

だから、特に日本の消費者にとって一品大量陳列主義の店は、非常に無味乾燥であり、魅力を感じない結果となる(欧米の消費者は別である)。

 ローコスト経営を推し進める企業であってもそうでなくても、日本消費者の立場で店を見れば、関連商品が複数陳列されている方が選ぶ楽しさがあり、面白くて魅力がある。

 「外国人が感激するクール・ニッポン」(NHK番組)すなわち日本の良さは、客数・売上げを増やす重要な価値要素である。既存店の売上げ減少を防ぐには今後、これらの「日本の良さ」を提供することが重要となる。

 ローコスト・効率経営を進める立場であってもこれを研究して、バランスよく実現することが今後の課題だと思う。

一品大量陳列企業と「楽しい陳列追求」企業

 一品大量陳列を推し進める企業は、アメリカでは、ウォルマートを初めとする多くの低価格志向チェーンである。

 これに対して22日に私が述べたように、様々な関連価値を陳列・提供しているチェーンは、食品ではホールフーズやトレイダージョーズである。生活用品では、コンテイナーストアやベッド・バス&ビヨンド、クレート&バレル、その他ウルタ(化粧品)などだ。ただしこれらは、アメリカでは特殊なチェーンと見なされる。

 ところで22日の情勢報告会で、「パブリックスの奇跡」を読んだ高橋所長から興味深い報告を聞いた。

 それは、パブリックスの経営哲学は「食料品の買物を楽しみに変える店」であり、従業員は「顧客の買物を楽しみに変える」ために仕事をしているということだった。

 一品大量陳列によるローコスト・効率追求チェーンが日米欧各国でその究極を追及する一方で、アメリカにおいてもパブリックスのように「楽しさ」をミッションに掲げるチェーンがある。そしてパブリックスは、一貫して業績が非常によい企業である。

 私は日本でも、そのようなチェーンが増える時代が近づいていると感じている。(会田玲二)


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