オープンして1周年の07年6月に空き家が目立ったアクロスモール守谷(茨城県)に08年10月以来、しまむらや家具アウトレット店等が出店した。再生に努力するSCには、どんな業種業態店が適切なのか? 今後の業態開発のためにも注目したい。
至近距離に07年6月にオープンしロックシティ守谷は、09年2月8日の日曜日に活況。順調に集客しているが、アクロスモールは、核店のカスミ(ロックシティ守谷にも出店した)と新テナント群に支えられてどうにか客数を維持している状況だった。
低家賃なら出店できる業種業態が再生に協力
アクロスモール守谷は、以前からあるユニクロに隣接して、しまむら、アベイル、バースデイを導入。道路沿いの看板もこの3店を大きく表示している。
そして、千葉県の家具店・かねたやのアウトレット店、B・ブランドを2階の広いスペース内に導入。その下、1階にはアミューズメントのUSランドが入り、日曜日は子供づれでたいへんに活況を呈していた。
この状況を見ると、再生SC向きのテナント店は、やはり低家賃なら成り立つ業態だと感じる。
さらに、低家賃であり、小商圏で成り立つ(競合店と競り合わないために)店が望ましいことになる。
アクロスモール守谷内の既存店ではセリアが健在だが、その隣の1,000円ストアは09年5月で閉鎖・撤退のセールを実施していた。
SCも店も「継続のため」が主目的になる時代
アクロスモール守谷同様に空き家が増えて再生に懸命の西友楽市守谷を見ても、今や「利益を拡大する」などよりも何よりも、SCを「維持する」ことが最大の目的・課題である。
日本はいま、全産業を通じてそのように、「経営を維持すること」が最大目的に変化しつつある(そうせざるを得ない)。
「業績ではなく継続する会社をめざす」と強調する本がある。「日本でいちばん大切にしたい会社:坂本光司著・あさ出版」。
著者の坂本・法政大学教授は、「会社の目的は利益・株主ではない。従業員、下請け(小売業の場合は取引先)、そして消費者だ」という信念を持って、全国6,000社を訪ねた結果の理論を説く。
利益を実現することは、もちろん重要であり、非常に望ましいことだが、それだけでは会社は発展しない段階に来た。
このことも再認識しながら、新しい時代の「業態開発」に注目したいと思う。
*これについての詳論は、2月11日の「店舗開発ショウ・併催セミナー」で述べて、後日、HCI会員専用ブログに掲載します。