臨床現場の言語聴覚士(ST)

臨床現場の言語聴覚士(ST)のブログ、です。
摂食・嚥下障害や高次脳機能障害などについて考察します。

嚥下について 血液データについて

2009年01月12日 | Weblog
嚥下と血液データについて。

NaとかKとか、いわゆる電解質の数字があまりに正常値から離れていては、筋も動けないだろう。

つまり、嚥下筋も、嚥下筋がスムーズにリラックスして動けるように支える頚部や体幹、四肢の筋群も、筋緊張が高すぎたり、低すぎると、当然、誤嚥につながりやすいだろう。

ただ、高齢者などの場合、廃用や低栄養状態、脱水で何年も過ごしている場合には、それが普通になっている場合があるので、普段の状態、データがどうなのか、を知ったうえで、血液データを読まなくてはならない。

脱水が大抵あるだろうし、腎や心機能もある程度、低下しているのを念頭において、脱水による数字の変動や、理学所見との解離をまず診る。

立位と座位でも、Albは違う。

採血時の姿勢までは、なかなか気にしないかもしれないが、小数点以下の変動の要因になりうる。

脱水があれば、相対的に数値は上がるし、浮腫があれば、逆に下がるだろう。

例えば、心疾患があり、下肢等に浮腫があれば、利尿剤などが処方されているかどうかみておいて、適正な排尿があって、浮腫がどうなったか、と組み合わせて数字を診よう。

逆に、皮膚や口腔が乾燥しているのに、例えばAlbが高すぎる印象の時には、CRPがAlbと同じと判定されて、水増しされている事もありうる。臨床所見と血液データの解離に気付き、あれ?おかしい、と思わなくてはならない。

臨床所見というか、理学所見と、血液データの数字をあわせて考えて、病態とあっているか、まず考える。

STは、医者ではないので、診断出来ないが、病態を把握し、正確な評価やリハビリに活用することは出来る。

体重が増えたとぬか喜びするまえに、浮腫がどうか、Htがどうなっているのか、といった事もみておこう。

逆に、脱水気味で何年も生活していて、急に水分を取るようになって、水中毒ということもありうる。急激な補正は、高齢者の場合、大変なことになる場合もある。

たかが数字ではあるが、臨床所見、理学所見とあわせて評価を行うことで、よりよいSTリハに貢献できるはずである。