花がいっぱい。

どんな花も無心に
咲いているから素敵なんだって。
無心になんかなれないよ。
どれもこれも気になっちゃってるんです

二月花形歌舞伎 4

2007年02月27日 | 歌舞伎
今回は、幕見をのぞいて総べて、A席(S席はなし)
最後も花道横前方
週末2回の博多行き!まさに、お小遣い注ぎ込んだ。
でもその注ぎ込んだ以上に、観劇プラスαと楽しく幸せ気分で・・
あ~食べ過ぎた。(笑)

博多座 私の贅沢歌舞伎観劇もこれでおしまい。
そんな25日の昼の部 11時開演
(千秋楽は、26日月曜日)

「高時」「鏡獅子」「蘭平」。
海老蔵、菊之助、松緑それぞれの代表作品3本だ。
最近は、いろいろな役者さんが新作に挑戦することも多いが、
やはり歌舞伎の王道作品で見せてくれた花形の面々。
解説本なんか読まなくたって、感性で見てくれ~って(笑)

隣に座っていたご年配が、イヤホンガイドで解説を聞いていたのだけど..
時折り聞きづらいのか、気にして調整してくれるものの、
大きな音になってしまう。
(邪魔だ~と思うものの一生懸命聞いているし・・・)

それで一番気になったこと!
「鏡獅子」の時だった。
水を打ったようにシーンとした劇場、緊張しやがてその静寂のなか鼓や太鼓の音が、響き渡りはじめる。
鳥屋から静かに登場してくる獅子..そんな緊張間溢れる場面で..
「イヤホンめ!この数分間にも解説してるのか?」って。
イヤホンから解説が聞こえてくる。
そこではセリフもないから、聞いている人にとっては、
邪魔にはならないけど芝居の醍醐味!
緊張感を置き去りなのか?と。
イヤホンガイドたしかに、たしかに..役にもたつけど
..久々、疑問も残ってしまった。と申し上げ、演目へ。

「高時」海老蔵初役というものの九代目市川團十郎初演の新歌舞伎十八番。
「鏡獅子」「蘭平」は、菊之助、松緑共に襲名披露で演じた作品だ。
花形歌舞伎で、年齢的に今回が「時分の花」と言える最後になってしまうか?
いやもう違う!なんていう人もいるのだろうか?
でもまだまだ「まことの花」ではなかろう。
やはり「時分の花」の彼等が見せる歌舞伎代表作品かと。

「高時」
鎌倉幕府最後の執権、闘犬や田楽に興じ暴君だったといわれる北条高時。
ストーリーは、その高時が偏愛する高時の犬を殺してしまった浪人に即刻、死を命じるだが、家臣らの説得で思いとどまる、その後その場の者が、退出。
雷がなり、突然、天狗が舞い降り、高時をなぶってからかう。
という演目。
代表というわりに、ストーリーが面白いわけでもなく、今まで「なんでこれが、新歌舞伎十八番なんだ?つまらない。」と思っていた。
しかし、海老蔵演じるとなんだがいい。
役柄に合っている。おかしなものだ。
登場時には、ほろ酔い加減で酒にうつつをぬかして、正気のなさ加減、おいしそうに酒を飲むんでるダメ武将。
なんでこうもこの役を上手く演じるんだ?と、感心してしまう。
本人が、演じてみたかったというだけのことはある。
今回は、先ず教わったことをという伝統の中の高時だったのだろう。
やがて、海老蔵ワールドの「高時」に変貌させてしまうのかもしれない。
そう思うと、海老蔵初役、しっかり見ておかなければ!と思ってしまう。
やがて作られる「高時」想像がつくようでつかない。

「春興鏡獅子」
これも新歌舞伎十八番九代目團十郎の初演。
その後六代目尾上菊五郎に受け継がれ、現在もいろいろな役者が踊っている。
前にも書いたことだが、そのなかで上手いとか下手とか言う前に、
私のイメージと合致した弥生で登場してきたのは、菊之助だった。
藤色の着物が、良く似合い、踊りが上手くて、
殿様の前で踊りを披露することに選ばれたのに、
はにかんでみせる可愛さ。
もう少しベテラン役者だと
どこかに「私は上手いのよ!」という意識が、
感じられてしまうのだが、
おっとりとした菊之助の弥生は、
上手さを強調するのではなく、丁寧に一生懸命踊る可憐さを感じるのだ。
それもいつかは変わっていくのかも知れないが、
今回は今まで見た中でも一番と思える弥生だった。
昨今新しい作品に挑戦する菊之助だが、古典へのこだわりも見落とせない。
本人が、プログラムのなかで
「伝統を守りつつフリークアウトできる役者であること。
それが夢です。そのためには、物事の本質を見極めないと」
といってることが書かれていた。
さて、後半獅子の精になってからは、若さで見せる勇壮な姿である。
毛振りも勢いがあり、綺麗にまわしている。
そんな若さの最大の特徴は、最後幕が閉まる前の片足をあげる雄姿だ。
ベテランは、かかとこそ上げるが、足がじっと宙には浮いていない。
まあ、菊之助も時に幕が下がりきる前に戻してしまったことがあるが、
今回2回はしっかりと決まっていた。

「蘭平物狂」
松緑襲名のときの周りの役者は、まさに大御所だらけだった。
(最初、菊五郎が休演し、菊之助が代役を勤めてこともあったが)
それからするとやはり、脇に大きな人が出るのとそうでないのは、違うな
なんて思いはあるものの、菊之助の行平、与茂作の亀三郎、おりくの松也とみんな丁寧に演じていていい。
そして清水大喜くんの茂蔵が、これまたいいのだ。
親ばか過ぎる蘭平に呆れて見せる視線など微笑ましい。
今中村屋で鶴松になった大希くんも良かったが、
今回出演のの大喜くんもこえれから活躍しそうだ。
もちろんそのなかで主役となる松緑も、やはり輝いている。
前半の部分と、後半とでは違う魅力で芝居を見せてくれる。
でもやはり・・後半だ!
今回驚いたのは、あれ?こんな人も?という花四天がいた。
最初誰だ?知らないぞ!と菊五郎劇団プラス成田屋では見かけない
精鋭たち・・・。
市川猿琉、片岡千蔵、澤村國矢、中村獅之助・・まだいるまだいる・・
ちょっとびっくりしながら、花四天の活躍をみては、納得してしまう。

今回の私の席は、花道に立てられる大きな梯子の足元を支える咲十郎さん、新七さんがいる花道横席。駆け上がる八大くん、そのあとに蘭平の松緑。
見上げるとほぼ真上・・こわ~。松緑あんな衣装で片足はなしてあんなに高々と・・その上では、八大くん あっち~すごすぎでしょう・・。

もう次から次へとスピディに見せる歌舞伎の大立廻り!
(外部からの助っ人はいません。)

全ての立ち廻りが終わって・・花道で、あたりを伺う蘭平の荒い息づかいはこれまたすごいものだ。
なのいに、上手から行平に呼ばれ、振り向きセリフを言う時、あの荒々しい呼吸は何処へ?と思うほど、しっかりしたセリフでうける蘭平。すごい。すごい。
ってなんだって?語彙を知らなくて申し訳ない。
まあ次回見てない方は見てみましょう!百聞は一見にしかず!そんなものなのから。
解説書・・よまなくていい。感覚だけでまず見て!それで面白そうなら、解説書広げてみて。

・・でも次回はいつなのだろう?
そう演じられる演目ではない。
松緑自身、体力云々言ってるが・・
会場もそれなりのところでなくてはならないし、トンボの精鋭たちが、そろわなければならないし・・あげくにあの青々とした竹がそろわないとならないし・・
条件は山にある・・
たしかに昨今の技術を酷使して・・ということもあるだろうが、
今の蘭平を復活させた二世尾上松緑、坂東八重之助さんの工夫を今に生かして・・
歌舞伎の魅力である立ち回りをこれからも見せていただきたいものだ。

芝居の中では、立ち回りは、余分かもしれないが・・
飽きてしまう踊りを見せられるなら、
このスピーディな立ち回りで客をひきつけてはいけないのか?と
(へへっ・・とある芝居に文句を言ってみたりして)

結局やはり・・思うがまますぎて・・まあまとまらなくなってしまった。
お許しあれ。
コメント
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