goo blog サービス終了のお知らせ 

はる♪日記

毎日、楽しく☆

孤独と不安のレッスン

2007-06-30 23:41:01 | 
通勤電車の中で、
鴻上尚史の『孤独と不安のレッスン』という本を読んでいた。
だいぶ前に買って、ぱらぱら斜め読みをしたまま
放ってあったのだけど、
なんとなく読み返してみたくなって。

10代から20代前半くらい?の人を主な対象に書かれたもののようで、
ひとことでまとめてしまえば、

 孤独や不安というものは、けっして消えてなくなることはない。
 そこから逃げるためだけに誰かを求めるのではなく、
 孤独にきちんと向き合うことで自分を成長させ、
 不安を前向きに生きるための原動力にして、
 より豊かな人生を送っていこう。

という、若い人たちへのメッセージ・・かな。


その中で、
ちょっと印象に残った文章。
長いけど引用しちゃいます。


 若い時は、0か100かを求めがちです。
 その方が、じつはカッコいいからです。
 また俳優の例ですが、若い俳優だと、最初の出番で失敗すると
 その日の公演は、もうダメだと諦める人がけっこういます。
 公演は毎日あります。同じ作品を、20ステージとか30ステージとかやります。
 で、ある日のステージで、最初の方にひどい失敗をすると、
 もう立ち直れないのです。

 僕は演出家ですから、客席の後ろで見ながら、
 「ああ、どうして、一回失敗したらもう全部を投げるんだろう?!
  ここからどれぐらいふんばるかが、人生じゃないかあああ!」
 と頭を抱えます。
 (中略)
 人生が、0か100しかなければ、こんなに簡単なことはないでしょう。
 けれど、人生は26点とか46点とか67点とかで生きていくものなのです。
 いえ、生きていくしかないものなのです。

 0は負け組で、100は勝ち組です。それは明快です。
 では26点は?46点は?67点は?
 あなたにとって、何点が満足するものですか?
 100点以外は全部、同じですか?
 100点以外は、すべて負け組ですか?

 もしあなたがそう考えているのなら、
 あなたはとても苦しい人生を送っていると、僕は思います。
 そういう考え方をあなたに刷り込んだのは誰ですか?
 厳しい親ですか、厳しい会社ですか、厳しい教師ですか、
 厳しい自己嫌悪ですか?


はるの人生は、
いま、何点くらいなのかな。
お世辞にも、
高得点とはいえないだろうけど・・^^;

100点の人生だけを頭に描いていたら、
そこからほど遠い自分に、落ち込んでばかりになってしまいそうだけど
高得点とはいえない人生の中にも、
ちゃんと意味のある、毎日が続いている。
そう思うときにはじめて、
ほんのすこし、孤独や不安から解放されるような気がする。
・・いや、そうじゃなくて、
「孤独や不安を抱えたままでも生きていけるようになる」
っていう方が、正確かな?


鴻上さんは、
自分が演劇や表現を教えていた大学の授業で、
学生たちにこう言っていたそうだ。


 でもね、
 孤独と不安を見つめることは、楽しいことでもあるんだ。
 孤独と不安を生きることでしか手に入らないものがあるからね。
 孤独と不安をちゃんと生きることは、
 なかなか面白いことなんだ。


こう言い切れるようになるまでには、
まだまだ、うーんと試行錯誤が必要だろうけど・・(笑
だけど、
どっちみち孤独と不安から逃げ切ることができないのなら、
それらを抱え込んで生きていけるようにならない限り、
どんな人生を送っても、一生しんどいまんまだもんね。


年をとればとるほど、
やわらかなアタマと心になれたらいいな。
生きることが、すこしでも楽になるように。

プーさんの鼻

2007-06-24 14:24:52 | 
俵万智の歌集『プーさんの鼻』を
買ってしまった。

買って「しまった」というのは、
ほんとは別の本を買うために本屋に立ち寄ったのだけど
お目当ての本がなく、
そのままぶらぶらしてたらたまたま目に留まって、
なんとなく手にしてしまった・・ということなんだけど。

40歳で、未婚のまま母となった俵万智。
この歌集は、
やはり、子どものことを詠んだ歌が圧倒的に多い。

ざっと読んでみて、
はるが気に入った歌をいくつか・・


 すでにおまえは一つのいのち日曜の朝の六時に動きはじめる
 バンザイの姿勢で眠りいる吾子よ そうだバンザイ生まれてバンザイ
 とりかえしつかないことの第一歩 名付ければその名になるおまえ
 私から生まれ私に似ているが私ではない私のむすこ
 記憶には残らぬ今日を生きている子にふくませる一匙の粥
 一、二、三、四秒立った五、六、七、八秒立った昨日今日明日
 子を抱き初めてバスに乗り込めば初めてバスに我が乗るごとし
 理論武装してもいいけど理論では育てられないちびくろさんぼ
 あんぱんまんの顔がなくなるページありおびえつつ子はしっかりと見る
 リセットのできぬ命をはぐくめば確かに我は地球を愛す


う~ん。
さすがだなぁ。
この独特の、日常場面の「切り取り方」と
共感性の高さ、リズミカルな語感・・
やっぱり俵万智だなぁって思ってしまう。

これから息子さんが大きくなるにつれて、
さらに素敵な歌が、どんどん生まれてくるんだろうな。


ものを書くことでなにかを生み出したいと願う人間にとって、
より深い人生を生きることは、必須なのかなと思う。
人間が、ひとりの頭の中だけで考えつくことなんて
たかがしれている。
本やネットで得られる知識にも、限度がある。
自分がいろんな体験をして、いっぱい感じて、
傷ついたり立ち直ったりする中で、
はじめて世界は広がっていくし、
深みを増していくものなんじゃないかなぁ・・


俵万智といえば恋愛の歌・・だけど、
この本では、今までほど恋の歌は多くない。
今はきっと、
彼女の愛情のすべては可愛い盛りの息子に注がれていて、
他の男に分け与える分なんて、ほとんど余ってない状態なんだろうな。

それもまたいいよね。
彼女なら、年をとってもまだまだいっぱい恋をしそうだし、
その年代の人たちが共感できるような、
リアルな恋の歌をいくらでも詠んでくれるだろうから。


そんな中でも、
こんな素敵な恋の歌もあったので、載せとこっと・・


 笑うとき小さく宿る目の下の皺が好きだよ、笑わせたいよ 
 ライオンのようなあなたの全身に口づけてゆく「大丈夫だよ」
 まっすぐに怒るあなたを背中から毛布をかけるように愛した





心に残った本

2007-02-25 21:28:03 | 
最近ちょっと落ち込み気味になることも多くて、
軽い読書でもして気分を変えようと、
実家の母の本棚から、なにげなく手にとった本。

「料理に生き 山で暮らす幸せ」(講談社+α文庫)

著者は、山本麗子さん。
何年か前、
教育テレビの子供向けクッキング番組に出ているのを見て
知った人なのだけど、
お料理やお菓子の著書も書店にたくさん並んでいる、
人気の料理研究家です。

この方、
料理評論家の山本益博氏の奥様だったそうなんですが、
40歳頃に離婚し、
一念発起して本格的に仕事を開始、
お金を貯めて長野県に土地を買って家を建て、
そこを拠点に活動を広げ、
現在の地位を築いた・・とのことです。

この本には、
離婚後の自分の歩みと、現在(この本が書かれた10年前)の
充実した生活ぶりが綴られています。

文章そのものは、
さすがに文筆のプロではないので、平易で淡々としたものですが
実直で何事にも一生懸命、
情熱をずっと継続できるパワーを持った方だということが
すごく伝わってくるのです。

読んでいて、思いました。
もちろん生来の才能があったことは間違いないのでしょうけど、
やっぱり、人々から認められるというのは
ものすごく努力しているからこそ、なんだなぁ・・と。

こう書くと当たり前のようだけど、
自分も含めて、
精一杯努力してるともいえないのに、
うまくいかないことを何かのせいにして嘆いたり恨んだりして
暮らしてる人間の方が、
ずうっと多いですもんね。

それともうひとつ、
強く感じたことがあります。

「おいしいものを人に食べてもらうことがしあわせ」
と、
どんなに忙しくても、
仕事のスタッフや友だちに自分の料理をふるまい、
喜ぶ顔を見ることを、いちばんの楽しみにしてるという麗子さん。

『私が作って、だれかに食べてもらって、
 喜んでもらえるからこそ、
 しあわせのおすそ分けを私はいただくことができるのです』
 (本文より)

「与える」
ということ・・
他人に何かを「与える」ために一生懸命になることができて、
それをしあわせだと感じることができる人、
そういう人こそが、
ほんとうに充実した人生を歩めるんじゃないかな、
って・・

麗子さんも、
はじめから何もかも順調にいったわけではなく、
離婚して2年ほどは、これからどうやって生きていけばいいの?と
落ち込んでしまい、何もできずに泣いてばかりいたのだそうです。
でも、
そこから立ち直って、また笑顔を取り戻すことができた。
そして、誰よりも強くなることができた・・

辛い時期があったからこそ、
ささやかなことにもしあわせを感じて、
前向きに生きていけるんだよね。


はるは、
ここまですごい人にはとてもなれないけれど、

「精一杯努力する」
「人に何かを与えることを、自分のしあわせにする」

この2つを心に刻んで生きていけば、
自分なりに、充実し満足した人生を送れるかなぁ・・
って、
ちょっと勇気づけられる気がしました。


もうすこし、
がんばってみようかな・・

幸せな王子

2006-03-17 00:12:00 | 
本屋さんで目にとまって、
思わず買ってしまったこの本

オスカー・ワイルドの有名な童話『The Happy Prince』の新訳で、
清川あさみさんのテキスタイルアートによって、
あたたかみがあり、しかも幻想的な絵本に仕上げられている。

お話そのものは、
子供の頃に読んで知ってる人も多いと思うけど
(銅像の王子様と、ツバメのかなしいお話・・です)
どうも、
「子供向け」の絵本では、原作からカットされてしまってる
部分もかなり多いようだ。
この金原訳を読んでみたら、
あらすじは同じなのに、
まるで違うお話みたいな印象を受ける。

子供の頃に読んだ感想は、
ごく普通(?)に、
「かわいそう・・」
っていうものだったと思う。

だけど今回は、
少しも「かわいそう」って
思わなかった。

はるは、
実は、読んですごーく泣いてしまったのだけど、
それは、
「かわいそう」の涙じゃなかった。

ただ、
せつなくて。
でも、
なんだか、
うらやましくも思えて・・

はるも、
ツバメみたいに、愛したい・・
ん・・そんなふうに思うのは、
ちょっと、おかしいのかな(笑


『The Happy Prince』だけど、
ネットでも日本語訳を見つけました。
「リンクはご自由に」とあるので、リンクさせてもらっちゃいます。
こんなお話です・・ということで。
絵本も、おすすめですよ♪

モチモチの木

2006-02-26 23:21:18 | 
「おかあさん、
『モチモチの木』って知っとう?」

急に、たけっちが言った。
モチモチの木・・って、たしか絵本だったと思うけど、
どんな話だったか、思い出せない。

「聞いたことあるけど・・どんな話だっけ?」
と訊くと、

「まったく、豆太ほどおくびょうなやつはいない。
 もう五つにもなったんだから、
 夜中に、一人でせっちんぐらいに行けたっていい・・」

たけっちはすらすらと暗誦し始めた。
あ、学校で習ってるんだな。

「教科書に載ってるん?」
「うん。・・・ところが豆太は、せっちんは表にあるし、
 表には大きなモチモチの木がつっ立っていて、
 空いっぱいのかみの毛をバサバサとふるって、
 両手をわぁっとあげるからって、
 夜中には、じさまについていってもらわないと、
 一人じゃしょうべんもできないのだ。
 ・・えーっと、それから何だっけ」

本読みは苦手な方だったのに、
ずいぶん上手くなったなぁ・・
感心して聴いていた。

一年生の時は、
毎日、国語の本読みの宿題が出て、
しかも保護者が毎日それを聴いてやり、
連絡帳に感想まで書かないといけなかった。

はるが仕事から帰ってくるとすぐに、
「おかあさん、本読みするから聴いといてな」
と寄ってくるたけっち。
はいはい、どうぞ・・と言いつつ、
くたびれて、声がただ頭の上を通り過ぎてるだけのこともあったなぁ・・

最近は、
はるが帰ってきたときにはもう宿題は終えていて、
見てやることもほとんどない。
正直、
教科書に何が書いてあるかすら、
よく知らない(笑

「モチモチの木」を読みたくなって、
たけっちに、国語の教科書を貸してもらった。

「じさま」と二人で暮らしてる五歳の豆太は、
こわがりで、夜ひとりでおしっこにも行けないくらい。
だけど、
じさまが病気になった夜、泣きながら夜の道を走って
お医者さまを呼びに行く。
そんな豆太の前に、
モチモチの木(とちの木)が、夢のように灯りをともして輝いて・・
豆太の勇気を讃えるかのように。

リズムのある優しい文章に、
滝平二郎さんの切り絵があたたかい。
読んだあと、思わずにっこりしてしまう。

教科書の挿し絵はちっちゃいから、
大きな絵本で見たくなった。
買ってこようかな。


「モチモチの木」
文・斎藤隆介
絵・滝平二郎
岩崎書店

博士の愛した数式

2006-02-26 11:23:12 | 
小川洋子著。
仕事の相棒に、
「映画もよかったけど、原作もすごくいいですよ~~」と薦められて、
今頃になって、読んでみました。

最初、
恋愛小説なのかな?って思ってたんだけど、
文庫版の解説で数学者の藤原正彦さんが書いてる通り、
「恋愛とも友情とも違う、
 家族愛とも敬愛とも少し違う、
 ほのかな慕情」
って言葉がぴったり・・でした。

重たい設定なのに、
なんだかとってもファンタジーな世界で・・
頻繁に出てくる「数式」や、数学用語でさえも。
全体を流れる不思議な、静かであたたかい雰囲気に引き込まれて、
一気に読んでしまった。

今まで、
小川洋子さんの本ってあんまり読んだことなかった。
母が何冊も持ってて、よかったよ、って貸してくれたりも
したんだけど、
はるにはあまり合わないのか、読み始めてもどれも
途中でなんとなくリタイアしてしまうものばかりだった^^;

でもこれは・・一言でいえば
「うまい!!」って感じです(笑
素直に感動しつつも、
感性だけではなくて、すごい「技術」をもって書かれた小説だなぁって・・
あらためて、プロの作家の力に脱帽!って、
そんなふうにも思っちゃいました。

ふだんあまり小説を読まないような人にも、
おすすめできます