映像詩

デジタル映像による心の表現
(映像作品制作を通して感じたこと)

1640-撤去された火の見櫓

2018年03月03日 | 30秒の心象風景
 火の見櫓の撮影を続けて5年以上経つのだろうか。身近にあっていつでも撮影できると思っていたら、ある日気づくとなくなっていた。そんな火の見櫓ができたとき、「これは急いで撮影しないとどんどん無くなるのではないか」と、そんな気持ちになって撮影を続けている間に400基を超える火の見櫓を収録した。予想どうり、二度目に訪れたら無くなっていた火の見櫓がすでに5基以上になる。全く跡形もなくなるのはさみしいが、鉄骨の櫓の痕跡が残っているものはもっとさみしさを感じさせる。土台の部分から切断された鉄骨の跡は、無用になったから取り払いましたという感じである。古くは昭和時代の初期に建造されたものだが、現存する多くは戦後すぐに復興のシンボルのようにして再建されたものだろう、昭和30年頃の記録をもつものである。建造から60年ほどたったものが多いのである。還暦を迎えた火の見櫓は本来の役目を終えている。今残されているのは、別の役目をもらって大切にされているものと完全に忘れ去られたもののどちらかである。撤去されたものは、「もういりませんよ!!」と宣告された櫓である。そして、残されたうちの一方は自然に朽ち果てるのを待つのみである。完全に忘れられた還暦の櫓はどんな思いだろう。

ふるさとの風景・火の見櫓を巡る87(船津町御立).
https://youtu.be/xgAyS7PScfs
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