映像詩

デジタル映像による心の表現
(映像作品制作を通して感じたこと)

4412-三役物

2024年09月07日 | 30秒の心象風景

 「木曾街道六十九次」の七十図中、「長久保」、「洗馬」と ともに三役物とされるのが、「宮ノ越」です。北斎の富嶽三十六景では、「三大役物」として、「凱風快晴」「山下白雨」「神奈川沖浪裏」が知られています。これになぞらえたのでしょうか、広重の「木曾街道六十九次」では、「長久保」「洗馬」「宮ノ越」が三役物とされます。広重の代表作として紹介されることが多い作品です。宮ノ越で、描かれているのは、夫婦が3人の子供を連れて橋を渡って宿場の方へと帰っていく姿です。一番後ろの娘は、夕霧のシルエットの中に満月を見つけて、指差しているようです。ここに、名所にまつわる情緒(木曾義仲の伝説か)を描いているとされます。洗馬では、川に柴を積んだ船と筏が浮かび、大きな月が川面を照らしています。河岸には樹木とおい茂る葦、その葦のかげに人家の屋根だけが見えます。洗馬という地名の由来にも義仲の馬洗い水という伝説があります。長久保では、川沿いに帰り馬を引く馬子および犬と戯れる童達が見えます。奥には馬に乗る旅人および天秤を担ぐ農夫がシルエットになっています。松葉に隠れる満月は川面を照らしています。三役物は、全て月に何かを暗示させるような風景になっています。

 

 

30秒の心象風景28632・長久保~広重の木曽海道六拾九次~
https://youtu.be/adYFCn3q92Q

 

 

30秒の心象風景28679・洗馬~広重の木曽海道六拾九次~
https://youtu.be/VF3euvoHEYg

 

30秒の心象風景28697・宮ノ越~広重の木曽海道六拾九次~
https://youtu.be/ueCR-bKMR6o


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