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好友会 日本語教室

長野県飯田市 竜丘公民舘に教室があります。
中国語を母語とする方の日本語学習をお手伝いします。

ハートライン

2006-02-02 17:30:48 | 日本語教室
ハートラインとライフライン
電気・水道・ガス・道路これらは生活にとって大切です。人はこれらをライフラインといいます。大震災、台風、水害、山崩れなど天変地異、大地を揺るがすような大災害では先ずこのライフラインの復旧が問題となります。しかし、よくよく考えてみると、半世紀くらい前、日本の多くの山間地では今日で言うライフラインなど満足に存在しませんでした。だから災害に対する復元力は今日より遙かに優れていたとおもいます。
ある日本語教室の、中央アジアから来ている奥さんが、正月を故郷で過ごして帰ってきました。「あーっ、お久しぶり!」互いに再会を喜びました。「日本に戻ってきて、一週間ほど、寂しくて家に閉籠もっちゃた。」といいます。きけば、主人がサラリーマンで転勤があり同じ場所での生活が続かず友達が中々できない。故郷は豊かな国ではなくライフラインも満足ではない、しかし、「故郷には笑いがいっぱいあった。日本人、心いっぱいの笑いがないよ。」「私の田舎では、初めて会った他人の子供でも、悪いことすれば、すぐその場でパシッと叩きますよ。叩かれた子の親は叩いた人に感謝しているよ。 日本では、全く無関心。寂しいよ。」と彼女は言いました。 ああそうか、昔の日本もそうだった。ライフラインが完備すると居心地の良い核家族が形成されて、地域での人との交わりがズタズタに断ち切られてしまう。ハート(心)ラインがやせ細ってしまう。ライフラインとハートラインの関係は反比例なのだろうか?彼女とは次回もこの話の続きをしたいとおもっている。



小さな日本語教室で

2006-01-17 07:38:32 | 日本語教室
 教室の皆さんと一緒に日本語を勉強しながら、私は考えています。
 貴方はどの程度の日本語が出来ればいいと思っていますか? 自分の置かれている立場でその思いに違いがあります。会社に勤めている人。現場で働いている人。最近ある程度会社で責任を持たされている人。時にはお客さんとの対応も必要な人。子供が学校に行きだして、毎日のように「お便り」を貰う等などです。
日本人社会の中で生活するに必要な日本語。必要最小限の生活日本語、これが竜丘日本語教室で学べるものにしたいと考えています。  
敬語も文法もそれほど重要ではありません。意味がしっかり相手に伝わることが先ず大切です。でも、長年日本に居るのに「口の利き方さえ知らない」といわれると、少々具合の悪いことが生れます。例えば、年上の人に向かって「あんた」といったり、「あそこの女は誰ですか?」といったりしたとき無言の批判を受けます。
上司には、職名で呼びかける。「あの女」は「あの女の人(方)」に言い換える、など敬語の使いかた以前の問題があります。国際結婚で来日された人も最近多くなりました。家庭が円満であるためにも、誤解を受けない日本語の学習も一つの要点であると思っています。



現場の日本語

2005-12-03 05:45:40 | 日本語教室
 日本語教室で、
「先生、現場で上司から色々指導されたり、教育されたりします。PDC,,,なんていわれても、ちんぷんかんぷん でさっぱりわかりません! 日本人従業員は分かるようです。」悔しさをにじませながら来日13年になる生徒さんが私に訴えました。来日がながい人でも敬語や、外来語や、日本独特の慣用句などはなかなか難しいようです。
 早速日本語勉強の後半に、QCD,PDCA,4M,5Sなど昔会社で使っていた言葉の説明をしました。彼女は大変喜びました。
「これで、少しは日本人にもついていける」と、子供と一緒に夜道を帰っていきました。
 工場、商店、サービス業などあらゆる現場に多くの外国人が働いています。そして、それなりの会社は外国人に対する社員教育も通訳を通じてやっているようですが、人も余裕もない中小企業ではなかなかそうはいきません。
 企業戦士といわれた団塊の世代が退職期を迎えた今、その人達が日本語教室で物を作る楽しさ、心がけ、管理のしかた、生き甲斐などを外国人生徒さんに伝えることが出来ればとてもいい事だとおもいます。企業戦士は海外経験も豊富な人が多いのですから。 


しらが

2005-11-14 05:23:30 | 日本語教室
Kちゃんは、そのとき中学生でした。残留孤児の3世です。小さい時に日本に来たから話すのは、全く問題がないのですが、読み書きに自信がなさそうです。だから、日本語教室に時々きていました。

Kちゃんが 私に きいた
「いつから しらがに なったの?」
「わからん いつのまにか なってた」
「浦島太郎 玉手箱を空けたら 一瞬のうちに 白髪になったって 知ってる?」
「しってる たぶん 遊びすぎたから 白くなったんだ」とわたし。
「ちがうよ 心配ばかりしていると 白くなるんだ、遊んでばかりいると お金がなくなって 心配になって それで 頭白くなるんだ わかった 一生懸命働けば 又黒くなるよ」Kちゃんは真剣な顔でいった。
「じゃあ そお すっかあ」
「がんばれよ」って Kちゃんは 白髪を見ながら大人口で励ましてくれた。


右から左

2005-10-26 14:48:18 | 日本語教室
A子さんは、来日4ヶ月漸く「あいうえお」が読めて、書けて、自己紹介が出来るようになりました。
明るい笑顔で教室が明るくなります。
「わたし 勉強 だめ! 
聞いた こっちから 入る こっちぁら 出る
わすれる!! だめだねー」
「じゃあ、こっちから 入ったら 反対の耳に すぐ手を当てて でないように とめて下さーい!」 
「だめだめ、ここから でる」と言って 鼻を指した。
「口からも 出るしなー やっぱりだめか。 手が足りないなー」
みんなで 久しぶりに 大笑い。
これで 耳、鼻、口をしっかり覚えました。
後は顎を出さないように 頑張ろう!!

 

はじをかいても くじけない

2005-10-24 13:29:04 | 日本語教室
            
きのう初級教室がありました。四則算や分数の読み方の勉強もしました。ちょっと複雑な分数の読みかた 分からなくなって お手上げでした。「恥ずかしい」という ことばの意味も ついでに勉強しました。

~ちいさな教室~
教室始まる10分前
きたないリックを肩に掛け
教材うんと 詰め込んで
公民館にやってきた

今日は初級の
火曜日だ
いつも来るのは4名だが
今日はたったの
2人だけ

一緒に あいうえ ぱぴぷぺぽ
てにをは 助動詞 つまずいて
食事の話に 舌づつみ
外国料理に
葡萄酒

韓国Pさん
苦労する
カ行の濁点 難しい
五回六回 もう一回
何とかできたよ 一安心

さよなら バイバイ またあした
帰りぎわにも もう一つ
小さなメモ帳 取り出して
「♪♯?+%&?」 これ何?
私も もぐもぐ まみむめも


どっち?

2005-10-20 08:40:49 | 日本語教室
一昨日の日本語教室で、中国の生徒さんにききました。時々するいつものしつもんです。
「日本人のほうが可笑しいと、思うことが何かありますか?」
「あるある!
 遊びに行った先で、お菓子を出してくれました、私はおいしくないと思ったので、これ おいしくない、と言って 食べませんでした。」
彼女は更にいいました。
「日本人は、自分がうまくないと思っても、そのひとの前では何でも「うまいうまい」といって食べています。「これへんです。」
彼女は来日3年くらいです。
私は彼女に言いました。10年もすると「あなたも、その日本人になっちゃうかもしれないよ}と、
「いや、そんなことない!」と彼女はいいました。


いつまで経っても森の中

2005-09-29 12:31:50 | 日本語教室
 今更、悔やんでも仕方がありません。日本語ボランティア教師をやり始めてもう5年余になりますが、分からないことだらけで、毎回恥ずかしい思いをしています。前回も「食べました」と「食べてしまった」の違いについての質問が出ましたが、皆さんに理解されるような明解な説明が出来ずに恥をかいてしまいました。富士山の麓に青木樹海という広い原始林があります。そこは自殺の名所にもなっているところで、いったん迷い込んだら容易にで(ら)れないところだそうです。私にとって日本語教育はまるでその青木樹海のようです。
 でも、遣り甲斐があると私では思っています、体の方は最近だいぶ弱ってきて、「やりがいだ、なんて言ってられないぞー!」と、ぶつぶつ言ってます。
ボランティア教師の仕事には興味が尽きません。でも、いつまで経っても森の中です。

ちびけたチョーク

2005-09-18 10:31:15 | 日本語教室
ちびけたチョーク
長野原日本語教室の子供たちは、みな落書きが大好きです。教室では、絵を描いたり、作文を書いたり、「けんか」をして「べそ」をかいたりします。することが無くなると、よく黒板に落書きをします。顔をかきます。黒板の下半分に色々な顔が並びます。上半分には手が届きません。顔は「ジャガイモ」や「きゅうり」や「ひょうたん」のような形をしています。目が半分描いてなかったり、耳が顎の近くになったり、ピカソも吃驚するような名(迷)画がならびます。一人が描き始めると、別の子が並んで描き始めます。
みかちゃんが、『先生 先生、チョークこんなに小さくなちゃったよ!』と、私の鼻先に小豆粒ほどのチョークをつき出しました。『このチョーク 苦労したなー! みかちゃん、このチョークに 何か書いて上げなよ!』と「かみっぺら」を渡しました。みかちゃんに、やさしい心が灯ったようです。次の詩を書いてくれました。ちょっと変なところがあります。でも、落書きの絵のように生き生きとしています。
   チョークのかなしみ     みか
きみは すごく がんばりましたね
大きくから 小さくまで がんばったね
すごく すごいね。

「女」と「女性」

2005-09-15 16:18:03 | 日本語教室
先日ある男性の学習者が教室で「あの女は....」と話し始めました。「あっ、ちょっと待って、彼女を指して“あの女”という言い方は、よくないですよ!“あの女性”といってください」と直してもらいました。
教室の中では苦笑いで過ごされることも、地域社会や会社ではそれではすまないことになります。「男」と「男性」でも同じです。
言葉の学習の中にこのようなことを、出来るだけ取り入れていきたいと思っています。「ものの言い方に気をつけて」と言えば日本人同士なら簡単に分かり合えますが、日本語学習者に対してはより丁寧な説明が必要になります。「お」や「ご」のような(敬語の)接頭語が容易に訳せないと同じような苦労があります。
これに関係する記事が朝日新聞の「ことば」という欄に載っていました。
【例えば、皆さんの使っている辞書で「フラダンス」はどう説明していますか。1973年の「岩波国語辞典」<第2版4刷>では「ハワイの女の、腰をふるおどり」となっていますが、同僚が使っている2000年の同じ辞典(第6版1刷)では「ハワイの女性の民族的な踊り。腰をふって踊る」に変更されています。
後者に付け加えられた「民族的」以外に内容には大きな変化はありませんが、言葉の替えられているものがあります。「女」と」女性」です。
第2版も第6版も「女性」を引くと「女」に、「女」を引くと「女性」に引き当たるように、「女性」も「女」も同じことです。それではなぜ言い換えたのでしょうか。
多分、以前は「女」とする方が普通だったのが、今は「女性」とする方が一般的になったためです。「女」とした方がいい揚合もあると思いますが、「女性」の方が丁寧な感じがするため好まれるのでしよう。
同じことを表す場合でも、時代や状況によって使われる言葉が違うことが分かります。 (朝日新聞校閲部・佐藤京次) 】