空(hanul 하늘)風(palam 바람)湖水(hosu 호수)2……青空を吹きぬける風が、湖水にさざ波をたてる。

私たちの暮らしは、美しい自然と共生をとりたい物です。そんな日々の暮らしで、感じたことを綴ります。

「刑事長ーデカチョウ」を読み終わる

2017-01-18 11:43:32 | 日記

先日、キャリア署長を描いた姉小路祐「署長刑事」全4巻を読み終えました。

月刊島民2018.08号「中之島ミステリー研究所」に紹介されていた本です。

同じ作者の「刑事長」シリーズもあると書いてあったので、4部作の1冊目を試しに読んでみました。

前著「署長刑事」は、キャリア署長が事件捜査をする話ですが、

本作「刑事長」は、中央から来た若殿・署長が赴任するところから話は始まりました。

お守役の副署長が、あたふたと準備をしています。

十日後、御堂筋署管内で婦女暴行殺人事件が起こります。

その時新署長は、歓迎会の最中。

所轄署の当直が一番に駆けつけ、府警本部の捜査一課員が続きました。


小説の嘘と思っても、なかなか興味深い内容です。

 『江野たち大阪の下級警察官の間ではジャコたち、エライさん、雲の上という三種類に警察人間を分ける呼び方が一般的になされている。青年署長の貴船などごく小人数の国家公務員上級職試験合格組のキャリアが、「雲の上」である。各県警のトップクラスのポストはすべて彼らによって占められており、「雲の上」はピラミッド型の階級社会の君臨層である。彼らは警察官僚であって警察官ではない。大通りで交通整理の笛を吹くこともデモの警備にあたることも、初めから期待されていない。そのような現場警察戦力の上に半ば飾り物的にふわりと乗っかっている状態を、「雲の上」と皮肉って呼んでいるとも言われる。

 この「雲の上」のキャリアと持ちつ持たれつの関係にあるのが、叩き上げの警部.警視.警視正といった「エライさん」連中である。たとえ高校卒の警察官でも、自分の心掛け次第ではこの「エライさん」にはなれる。藤見副署長などは、この「エライさん」の一人である。彼らの間からは組織批判はまず出てこない。「雲の上」に取り入り、逆に警部補以下の「ジャコたち」を支配することで、「エライさん」たちは自分たちの保身に役立てているフシがある。たとえば「ジャコたち」が働いた超勤の手当や捜査費をピンハネして裏金にする工作をしても、その内実は「エライさん」連中が団結して表に出ないようにしていると言われる。それらの裏金は「曇の上」が転勤するときの餞別や「エライさん」自身のために使われているというのが、「ジャコたち」の問での噂だ。

 すなわち「エライさん」と「ジャコたち」の間柄は、「搾取し抑圧する者」と「される者」という関係に立っていると言える。しかし「ジャコたち」全員がこのような支配に批判的とは限らないところに、警察組織の巧妙さがある。今は支配される「ジャコたち」であっても、昇任試験に精を出しミスをせず上司から好評価を受ければ、階級をだんだんと上がりいずれは支配者である「エライさん」になれるのだ。このような「エライさん」を目指す「ジャコたち」は、現状に不満であっても「エライさん」には決して楯突かない。

主人公は、もちろんジャコの巡査部長である。最後に、こんなセリフがうれしいですね。

「よう考えてみいや。ジャコやさかいに、捜査の最前線に居れるんや。この足で現場を歩き回り、この手で事件を解決し、社会の安寧を守るーそんな刑事としての醍醐味を、エライさんたちは味わうことはでけへんのや。ましてや雲の上の人たちは、予算折衝や法案作りに明け暮れる毎日や

二重三重の仕掛けが面白かったです。

四部作ですから、後三冊あります。続けて読んでみます。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 昨日の朝日新聞夕刊の芸能欄は、 | トップ | 熱燗が恋しく…… »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

日記」カテゴリの最新記事