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カレイドスコープナイト 5-3-75

2019-09-23 00:31:00 | 本と雑誌

その時、通りの向こう側からちょうどバアルと同年齢くらいの数名の子供たちが歩いてきた。 制服を着て鞄を持っているところから判断して学校から帰る途中らしい。 子供たちは談笑しながら歩いていたが、バアルとある程度の距離に近づくと足を止めた。 そしてこう言ったのである。 「うわこれトログロダイトのにおいだ! こいつ、貧民街のやつだぜ!!」 「ほんとだ!! 貧民街の奴がトログロダイト汁持ってきたんだ!!」

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カレイドスコープナイト 5-3-74

2019-09-20 23:13:50 | 本と雑誌

 地図を見ながら、容器に入れてふたを閉めても匂いの洩れるトログロダイトの体液を積んだ荷車を引っ張りながらであるが、バアルにとって都の中を歩くことは非常に新鮮で面白く感じられた。 当時11歳のバアルは自分が生まれ育った街の外に出たことが殆どなく、当然都に来るのもこれが初めてだった。 (世の中にはこんな場所があるんだ・・・・・・)  都の中心にある通りを荷車を引っ張り歩きながら、通りに並ぶ数々の華やかな店や流行の服をまとった男女を目の当たりにし、バアルは非常に新鮮な思いに囚われていた。

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カレイドスコープナイト 5-3-73

2019-09-16 23:51:05 | 本と雑誌

 作業所で働くようになってから数か月ほどたったある日、バアルはトログロダイトの体液の入った容器を積んだ荷車を引きながら都の中を歩いていた。 バアルの家と作業所のある街からあるていど離れた位置にあるこの都の中に、医薬品を精製している工房があり、作業所はいつもその工房に医薬品の原料となるトログロダイトの体液を納入しているのである。 いつもなら体液の運搬納入は30代の職員がやっているのだが、今、作業所が忙しく手が離せないということで代わりにバアルが体液を届けるよう命じられたのだ。

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カレイドスコープナイト 5-3-72

2019-09-15 18:09:16 | 本と雑誌

 作業所での仕事は予想をはるかに上回るひどいものだったが、2日、3日と作業所に行くうちに悪臭と恐怖にも徐々に慣れてきた。 当時のバアルは子供であるがゆえに大人よりも環境に適応する能力を持っていた。 決して悪臭と恐怖が気にならなくなってきたわけではないのだが、徐々に耐えられるようになってきたのである。 母が職場に戻れる頃にはトログロダイトの体液を採取する作業をそれなりにこなせるようになっていた。 そして家計と作業所の労働者不足を助けるためバアルは作業所で働くことになったのである。

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