4 ある寒くて曇った日、少年時代のミッシェルは仲間の少年たち数名と建物の庭にいた。ここは時の女王が治める国の中で、身寄りがなくまだ働くことのできないものたちが集められ共同生活を行っている施設であった。ミッシェルはここで育ったのである。 「ボール遊びをしようよ」 「いいね、やろうやろう」 ミッシェルたちはサッカーのような感じでボールを蹴り奪い合う遊びを始めた。楽しそうに遊ぶ少年たち。実力は拮抗している様子だ。そのうち一人の少年が高々と宙にボールを蹴り上げた。 「もらった!」
「はい。重いものはないですから・・・」 「そういうお前にも手伝ってほしいものだな」 バアルを一瞥すると、マルスは荷物を運び終えたミッシェルにこう言った。 「こちらはもういいので、そろそろ隣の部屋にいるルシフェールを呼んできてくれないか」 「はい」 ミッシェルは返事をすると、鏡の間を出て隣の部屋に向かった。 「まあなんだ、やつがケルビムナイトの称号を受けるのなら異論を挟むものはおるまい」 呟くマルスにグミキャンディーを食べながらバアルが応じた。 「確かに・・・トパーズの精霊にして龍の霊力使いのあの男なら、認めざるを得ませんな」