回廊からつづく建物の中においては、先ほどルシフェールたちにより倒されたこともあってか、アポリュオーンから襲われることなく進むことが出来た。 そしてさきほど、ミッシェル、ルシフェールが初めてアポリュオーンと戦った大広間へたどり着いたのであった。 大広間の玄関を出ると庭園が広がり、庭園を抜けると女王宮の城門がある。 ミッシェルは中庭の時と同様玄関の扉をわずかに開け、隙間から庭園の様子を窺った。
「もう一度だ！」 今度は回廊の左脇の地面を叩くと、回廊の左脇に一直線に火が燃え上がる。 回廊の両脇に沿って燃え上がるそれらの火はアポリュオーンたちが回廊に上がることを阻んだ。 最初から回廊に居たわずかな数のアポリュオーンたちもマルスの銃弾によって難なく倒され、４名は火に守られながら安全にアーチ型の屋根のついた回廊を進んだ。 （さっきもこうしていれば簡単に通れた・・・さすがはマルスさんだ） ルシフェールはマルスの背中を身ながら、長年にわたりカレイドスコープナイトを率いてきたこの男の老練さを再認識するのだった。
恐怖を覚えながらも、意を決し中庭に出る。 途端に、２００から３００のアポリュオーンの大群が襲い掛かってきた。 「正面からやりあうな！ 回廊に入れ！」 マルスの言葉に従い、他の３名はアポリュオーンの大群から逃げるようにして、こちら側の建物と向こう側の建物をつなぐアーチ型の屋根のついた回廊の入り口に入った。 「いまだルシフェール！」 マルスの合図でルシフェールが右掌で回廊の右脇の地面を叩くと、回廊に沿ってこちら側から向こう側に一直線にガソリンをまいて火をつけたように火が燃え上がった。
先ほどミッシェルとルシフェール、バアルの３名でこの中庭を通った際には大いに苦戦したわけである。 今も中庭には２００から３００ぐらいの大群がおり、今回も厳しい戦いをせねばならないと言う重圧が３名にはのしかかっていた。 「ルシフェール、先ほどおまえらはロード・オブ・レッドドラゴンを使いここを突破したと言ったな」 不意に、マルスがルシフェールにそう言った。 「はい」 「今回もそれで行こう・・・わしが合図したらまずわしらの右に、続いて左に撃ってくれ」 マルスがルシフェールにそう言い含めたのち、４名は戦いに打って出ることとなった。
それ以上アポリュオーンが飛んで来たり階段の崩落によって先に進めなくなったりと言うことはなく、４名は螺旋階段を降り地表まで来ることが出来た。 とはいえまだまだ先は長い。 女王宮から出るにはこのあと中庭を抜け、中庭の向こうにある城内を通り、宮殿の前にある庭園を通って正門から出なければならない。 イグドラシルの樹はそこからさらに３０キロほど離れた位置にあるのだ。 「さっきぼくたちが通ったときと同じぐらいの数が居ます・・・厳しそうですね」 気づかれないよう塔の入り口から中庭の様子を窺っていたミッシェルが告げた。
