Intersecting Voice Cafe

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by hamarie_february

初期化

2007-11-22 13:55:19 | 気になるニュース

一日ズレちゃったのは新聞をとっていないせいですが

昨日、久々に科学的エポックメイキングなニュースが、各社一面を飾ったようです。

ヒトの皮膚から万能細胞@サイエンスポータル 2007年11月21日

 4日前に、下記リンク記事はゲットしていたんですが、何か唐突だなぁといぶかしがっておりましたら、こんな大ネタが隠れておったとは

ヒトクローン胚 研究断念 羊のドリー誕生させた英博士@毎日jp(毎日新聞)2007年11月18日

実はこのブログでは、以前から何度か関連ニュースを追いかけておりまして。いやね、なんとなく目についちゃうものですから。

Intersecting Voice Cafe:検索ワード:再生医療

ざっと読んでいただくとわかるんですが、基本賛成なんです、ワタシの立場は。「死」よりも「生」で一貫させてます。遺伝子技術の問題性は相対的あるいは副次的な問題でしかありません。これは科学技術すべて、あるいは社会生活すべてに対して、いちおう一貫させていることです。

ただ自分が生き残るために、他者の生を犠牲にしてはいけないと単純に思うだけです。いや、これも程度問題でしょうけどネ。直接的な犠牲を強いてはおらずとも間接的に云々という考え方をすべきかもしれません。つまり、他者(ヒト)に生かされているという考え方?でも、ここでは、そういった類の人生訓を聞くつもりはありません。

とにかく臓器移植やES細胞技術における、ワタシにとっての越えられない壁は、今回のiPS細胞という技術が実際の医療に応用できるとなると、見事に取り払われることになります。

ES細胞に関しては、ワタシは女性ですので、卵子の提供問題はクリアです(よね?...って誰に確認してんだろ

しかし、胎児になりかけの胚を「殺して」ES細胞にすることに、ワタシにとって大きな倫理的問題がありました。

どこからが人間かという問題において、たとえ法をクリアしたとしても、倫理がクリアできないわけです。

えっと、以前書いた学科のレポートから法的部分をコピペしておきます。

いのちが法律的に保護されるのはいつか
 人の命は、出生前は「胎児」として、出生後は「人」として法律上の保護の対象となる。刑法では前者について堕胎罪、後者について殺人罪などの罪を設けている。どの時点から「胎児」が「人」になるのかといった問題は、刑法では「頭の一部が露出した時点から」と定めており、「身体が全部露出した時点」と定める民法と基準を異にする。
 さらに近年の生殖医療、特に体外受精の技術が開発されるに至って、「胎児となるのは生命発生のどの段階からか」、あるいは「受精卵は胎児か」ということが問題となった。これまでの一致した見解は、子宮への着床終了(受胎)をもって妊娠の開始とみなし、胎児として保護するというものだった。しかし問題は、体外受精した受精卵すなわち「胚」の保護である。つまり試験管で卵子と精子を受精させる場合の、受精完了時から母体への移植・着床時までの受精卵だが、これは受精後約3時間から6時間経過で、独自の遺伝子をもった胚になる。約20時間経過すると細胞分裂が始まり、人の生命の原型を認めることになる。これまでの見解を適用すると、子宮に着床する以前は母体との結びつきもなく、人へと発達する確率も低いため、「胎児」として保護する必要はない。

そうそう、法と倫理、科学技術と倫理といえば、昨日は非常に良い研究会(第17回倫理創成研究会@神戸大学)に参加させていただき、大変興味深い話を聞くことができました。行く前にちゃんと確認してなかったのですが、なんと北大のCoSTEPの教員の方が来られてました。

この報告はまた改めて。

それにしても、一年半前は、こんなに早く人間への応用が確認されるとは思わなかったんですけどね。

こちらに山中教授のインタビュー記事がございましたよ@BTJジャーナル2007年9月号。大変だったんですねぇ。

体細胞に特定の遺伝子セットを導入すると、ES細胞に似た働きをする細胞ができるというわけですが、ゲノムの挿入部位の影響は否定できないという意見も見ました。有体に言えば、癌化?

しかしこれも、当人がそのリスクを承知するのであれば、当人の勝手だと思われます。ここに倫理規範が入る隙間はないと考えます。

というわけで、初期化というコトバ、あるいは状態は、かなりゾクゾクしますね。

生命の神秘などというよりも、非常にクールでエロちっくなカンジです。老化研究にも貢献するとか言われると、一気に興ざめしちゃうんですが

初期化;分化した細胞が全能性を回復する機能

 

なにより、かなりアニオタな世界に、現実が近づきつつあるという予感。工学系サイボーグとかと合体しちゃうとどーなるんでしょ。

かの攻殻機動隊では、「義手・義足にロボット技術を付加した発展系であるサイボーグ(義体化)技術が発展、普及」した世界が描かれていますが、いわゆる社会福祉的、あるいは医療技術的な目的で応用されることに異議を唱えることはかなり難しいと思うので、これは異議ではなく。
 
しかしながら,あまりにも義体化や初期化が進むと、つまりは「ナマ手」「ナマ足」「ナマ臓器」の価値が下がるんでしょうねと思います。


 
以前にも書いたことで恐縮ですが、第一次世界大戦の前に輸血という行為が正当な医療技術として可能になったわけですが、これが急速に一般普及したのは戦争のおかげ。

高度の殺傷力を有する兵器が実用化された大戦下で、負傷した多くの人間を救う手段として「輸血」がクローズアップされたわけでして。
 
命を救うためになされる医療行為とは、「人体部品」を代替させることで進歩してきたし、おそらく、これからもしていくんでしょうけど。


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