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by hamarie_february

口蹄疫がタイヘンですね

2010-05-28 07:09:21 | 気になるニュース

何とも落ち込む話題が多い5月ですね。

普天間基地の件はショッキングだし、欧州不安による日経平均の下落も酷い、さらに人によっては、事業仕分けの中継に一喜一憂されている方もいるでしょう。

ワタシの場合、このたびの鳩山さんの「辺野古回帰」発言について、大いに失望&怒り心頭しているわけですが、まぁそれゆえに、も少し煮詰めたほうがいいかなと思い、本日はこの話題です。

口蹄疫@Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%A3%E8%B9%84%E7%96%AB

・・・と、こんな風に、隙間を埋める暇ネタみたいに書く話題ではないのかもしれませんね。申しわけない。

しかし、ツイッター上では、(管轄外の)某お役人さんが、気軽に(でもないのかな?)つぶやいた言葉が、かなり大きな反響を呼んでしまい、直接その某お役人さんをフォローしていないワタシのタイムラインにも話題が流れてきておりまして、。

その気軽なつぶやきとは

「人間が食べても害がないなら、流通させてもいいんじゃないの」(概略)

というもの。

途端に多くの反感を呼び、RTやリプレイの連続、んで終いに超高速で、Togetterなるものにまとめられてしまい ↓

Togetter - まとめ「口蹄疫・・・(以下個人名が入ってるので略)」

まぁ、それをRTしちゃうワタシもワタシなんですが、取り上げた方のコメントも興味深かったので、ついRTしちゃい↓

http://twitter.com/ha_marie/status/14651640622

さらに、こんな場末のブログにまで再掲しちゃうのって・・・どうなの、それ。と思ってはおります。すみません・・・

しかしその後、上記のような議論?が巻き起こったのをきっかけに、専門に勉強されていた方にツイッター経由でお尋ねしたりしたり、ネットでちょっと調べた結果、ド素人のワタシもいろいろわかってきましたので、書いておきますです。(ただし、新聞報道やTVのニュースなどはほとんど見ておりませんので、当たり前に報道されていることかもしれませんが

まず、上記のつぶやきに答えるとすれば、

(害があるから)食べられないのではなく、そもそも肉に(加工)出来ない

ということなのですね。つまり感染拡大防止のために、感染した牛や豚の移動は禁止され、いや、もっと言うと、その感染地域一帯が封鎖されてしまうため、牛や豚を食肉加工工場まで運ぶことが出来ないから、という理由。

そうすると、

すでに肉に加工されてある海外の食肉を輸入禁止にするのはどうしてかしら

という新たな疑問が出てきました。加工されてしまったら、さすがにウィルスは死滅してるんじゃないかと思ったわけです。

さらに感染地域への出入りに厳重な消毒処理をしていることについても疑問でした。

消毒なんて効果あるのか&そんなにもウィルスはしぶといのか

と。そうしたら、ある方が「口蹄疫ウィルスの生存期間」の表を見つけてきてくださいました。(つぶやきはこちら→ http://twitter.com/ha_marie/status/14477072262 )

↓お世話をおかけしました。

口蹄疫ウィルスと口蹄疫の病性について

これによると、ハムやベーコンになったとしても、ウィルスは200日弱も生き続けるようです。さらに、人間たちの衣服や靴には、夏に9週間、冬には14週間も付着して生き続けるみたい。あちゃー。タイヘンですね。

でも、消毒には弱いそうですから、ちょっと安心。しかし、さらなる疑問が・・・。

感染拡大を防ぐためとはいえ、感染していない牛や豚まで殺処分しなきゃならないのは腑に落ちないなー

と。別に動物愛護の精神からでも、もったいない精神からでもありません。ただ単に腑に落ちないわけです。感染してないならワクチン注射でいいんじゃない?と。

その後、自分でネットで調べて、あーこれが(経済的・貿易的に)重要だったわけねと辿り着いたのが「清浄国」というステイタス。

このつぶやき(http://twitter.com/ha_marie/status/14481859597)のなかでリンクしたウェブ講座「人獣共通感染症 第116回 口蹄疫との共生の中で

国際獣疫事務局(OIE)から清浄国への復帰が認められました。

という文章がありました。

ワタシは今回、「OIE」とか「清浄国」という言葉を初めて知ったのですが、OIEとは別名でAnimal WHOと呼ばれているそうですがとにかく、家畜伝染病の分野での国際機関であるOIEが「口蹄疫予防のための国際条約を作り、これをきっかけとして殺処分方式が国際的に定着してきた」みたいです。

国際条約が出来たのが1957年。

それまでに口蹄疫は(人類が畜産活動を始めて以来の)長い歴史があって、英国では「19世紀には地方病として定着し、農民に大きな被害を与え」、1892年から、「すべての動物を殺処分する方式(stamping out)」が始まったけれど、1920年代の大流行時には「殺処分するか、それとも口蹄疫と共存するかという議論が起こり、(英国)議会での投票の結果、わずかの差で殺処分が勝った」と書かれています。

ちなみに、日本では、2000年に宮崎県と北海道で口蹄疫が発生したそうですが(知らなかった!)、これが実に1908年以来、92年ぶりだったそうです。(2000年の時は被害が少なくて済んだみたいですね)

また人への感染については、ほぼないことが長年の調査からわかってきています。ほぼと書いたのは、状況証拠から正確には「濃厚接触がある場合、稀に感染することがある。しかし、軽い発熱や口内炎にな る程度で完全に回復する」とのことですが、いずれにしても人での持続感染は 知られておらず、人の死亡の記録もなく、本ウイルスは人への健康被害をもたらすものとはみなせないようです。

では、なぜワクチン接種での防疫ではダメなのかというと、「OIEが口蹄疫清浄国とみなす条件としてワクチ ンを使用していない国で病気が 発生していないこと」となっているから。一度ワクチンを使用す ると、清浄国にもどるには大変な手間と期間が必要となるらしいのです。

「もしも発生地域の周辺でワクチン接種を行っ たとすると、ワクチンを接種さ れたウシがすべていなくなったのち、3ヶ月間病気の発生がないことという条件」になるらしい。

つまり流行が広がればやむを得ずワクチン接種をするのですが、そのウシたちもすべていなくならなくてはならない=殺処分という「条件」になっているのです。

なぜワクチン接種しても殺処分が必要かというと、「自然感染とワクチン接種の区別ができない」から。そのため、「血清調査による、口蹄疫清浄国の判定ができなくなります。」という問題があるから。

逆に考えれば、清浄国の判定が出来ればワクチンでいいわけですが、「殺処分という国際方式が存在している中でワクチン開発をしても企業利益にはつながらないために、企業によるワクチン開発はこの30年間ほとんど試みられていません。」とのことなので、自然感染と区別できるようなマーカーワクチンが作れていないのでしょう。

いや、マーカーワクチンが作れていたとしても、今この発生した時点では時すでに遅し。現在の世界の常識である殺処分に早急に従わなければ、清浄国のステイタスを取り戻すことは非常に困難になるそうです。

なるほど。殺処分をしなければ清浄国のステイタスが永久に失われるかもしれないということはわかりました。でも

何故、清浄国のステイタスが重要か

というのは、やっぱりわからない。

まぁ単純に考えると、問題は、日本が食肉を輸出できなくなることでしょうねぇ。でも実はその逆じゃないか。

つまりOIEが清浄国と認めているのは、世界の中で日本や欧米など 39カ国に過ぎませんが、清浄国でなくてもいいよとなれば、たちまちに清浄国以外の安い食肉の輸入が無制限になることが予想され、日本の畜産は大打撃を受けるからね・・・。

うーん・・・何かこの辺は、オトナのルールっぽいですよね。

でも、グローバリゼーションってこういったことですよ。人も物も金も病も、国境を越えるんです。今後ますます口蹄疫は当たり前の疫病になるような気がしますよ。なにしろ、世界には39カ国しか清浄国がないんですよ。

リンクした「ウェブ講座」のなかでも述べられてます。

「現在のように地球規模で物と人が移動する時代、これまでのように殺処分方式だけで清浄状態を保つことはますます困難になってきています。先に述べたような欠点を克服したワクチンを開発して予防する方式がいずれ必要になると考えられます。」

「口蹄疫ウイルスの侵入は起こりうるという前提で、動物を大量に殺すことなく、感染の広がりを阻止することを真剣に考える時代になっていると思います。ワクチン領域ではそれだけの技術進歩はすでに得られているはずです。」

おそらく将来的にはこういう話に収斂していくのだろうと思うのですが・・・。

ところで今回の騒動で思ったんですが、あのBSE問題のときの報道では、清浄国などという単語は一度も聞かなかったんじゃないかなーということ(ワタシの情報収集能力が低くて、あるいは聞いていたとしても忘れているのかもしれませんが)

で、つぶやきました。

そういえば、アメリカはBSE清浄国なのか?

その後、連続ツイートもしたのですが、調べた限りでは、少なくとも2007年時点においてもアメリカはBSE清浄国の認定を受けていないようですが、まぁそれ以前から日本に対して輸入再開を迫っていたわけですよね。2004年1月28日の参議院農林水産委員会における中村敦夫議員の質問の様子です。↓

米国BSE問題●中村敦夫議員の質問

このなかで全頭検査についても質問されていて、かなり目からウロコだったのですが、中村敦夫氏の「全頭検査、特定危険部位の除去(略)の条件さえ満たされれば条件交渉をやりかねないのでは」という質問に対して、亀井農水大臣(当時)がこう答えています。

我が国でもBSEの発生国であるわけであります(略)他のBSEの発生国が日本と同じシステムを取るのであれば、当該国からの輸入を禁止する必要はないんではなかろうかと、こういう考えでおります。

つまり、むしろ日本政府は、アメリカに全頭検査を科すことで、アメリカの牛肉にお墨付きを与えようとしているという図だったんですね。

清浄国云々とか、関係ないってことじゃないですかっ。正直この発言にはビックリしました。

念のために申し添えますが、ワタシは全頭検査の是か否かを言ってるわけではなくて、ケースによって清浄国ステイタスが大切だったりそうでなかったりするのだなーという話です。

ちなみに、この亀井大臣は、亀井善之という人で、今の金融担当大臣の静香ちゃんではありません。あしからず~。

さて本日は、国による強制殺処分が可能になる法律が成立しそうですね。

しかしこれも、今の段階では、仕方ないのでしょう。


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2 コメント

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感謝♪ (Yoshiko)
2010-06-12 19:03:57
twitterから来ました。
口蹄疫について、よくわからないことが多くて頭が混乱してましたが、おかげさまでいくらか整理できた感じです。
twitter、フォローさせていただきました。
返信する
ヨロシクお願いします (hamarie_february)
2010-06-13 09:56:15
私も全くちんぷんかんぷんでしたが、Twitterでいろいろ教わったあと、私自身が納得できるようにまとめさせて頂きました。大雑把なまとめでしたが、お役に立てたようでしたら幸いです。

今後ともよろしくお願いします(´∀`*)
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