先日ご案内した講演会「八十五歳の戦争論」に参加してきました.
はじめに,主催のN羽さんが穏やかな口調で,「わざわざ今日という日を選んで講演会を企画したのだ」と説明されていました.
7月7日は一般的には七夕の日ですが,盧溝橋事件が起こった日でもあります.
盧溝橋事件@フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
この盧溝橋事件を発端に,その後15年間という長きに渡り.日本は中国と戦争をしました.日中戦争.またの名を15年戦争.
井上さんは,この15年戦争の一兵士として中国に行かれたということでした.
ところで今回は,詩の朗読がメインでした.4篇の詩と,それにまつわる歴史的背景.同時に一兵士としての思いの丈が語られ,さらに現在という時代への危惧が語られたのでしたが,それは,とても濃密な時間でした.
朗読されたのは,順に,「梅干の壷をのぞきながら」「従軍慰安婦だったあなたへ」「日中戦争で戦死した大阪生まれの英霊の声」「うわ、おう、うわおう、うわ、うららら!」
なかでも「従軍慰安婦だったあなたへ」という詩には,あまりに感動しすぎて,ワタシは涙を隠すのに必死でした
決してうまい朗読ではありませんでした.しかし八十五歳とは思えないほどの力強い声.それだけでなく,少しユーモラスなトーンも不思議な魅力をもつ朗読だったと思います.
さまざまな場所で,さまざまな人々の前で,さまざまな反応に面食らったがゆえに,井上さんの声は,力強く,かつユーモラスになっていったのかもしれません.
井上さんの詩の一部は,こちらのウェブサイトで閲覧できますが,井上さんの姿と声から繰り出される朗読は違った感動がありました.
叶うならば,出来るだけ多くの若い方々に聞いていただきたかった講演会だと思いました.