GWもいつも通りの勤務なので連休ではないのでしたが、やっぱり何となく休日モードに...。
そんなワケで超遅くなりましたが、スプリング8一般公開のレポ、続きです。
実験ホール
実験ハッチ
館内の雰囲気は、一般公開の写真などを以前からウェブでチェックしていたので知っていたんですが、やっぱり実際に現地に行かないとわからないですね。
告白すると、スプリング8には「攻殻機動隊」や「ゴルゴ13」等で刷り込まれた秘密基地のようなイメージが強くて妄想が膨らみっぱなしだったのですけど、予想外に「はたらくおじさん」たちの現場で、最先端の研究施設でいながら、ともすると「ガテン系職場」な雰囲気で素朴な印象さえありました。昨年訪ねた理化学研究所はどこもかしこも研究所然としていたのでずいぶん違うなと思いました。当然かな。
「はたらくおばさん」の感想です。
まぁもちろん、巨大な施設のほんの一部分しか見せてもらってないんですけどネ。
そんなわけで、見学と撮影を許された一部分の施設をご紹介。
蓄積リングの真空パイプの中で加速された電子は、偏向電磁石、あるいはアンジュレータといった放射光を発生させるための磁石を通りますよ。
蓄積リング
「電子ビームが通るところ」らしい
偏向電磁石?
アンジュレータ?
アンジュレータ?
ちなみに、こちらの機器類は住友や三菱、日立などのメーカーが並んでおりました。メーカーごとに色分けされているのかと思い質問しましたが、そういうわけではないそうです←唯一の質問がこれだった(爆)!
偏向電磁石とアンジュレータは、ともに放射光を発生させるわけですがアンジュレータの方が新しい技術なんです。電子の方向を曲げる偏向電磁石と、これに対し電子軌道を蛇行させることによって発生する放射光を干渉させる挿入光源(アンジュレータ、ウィグラー)。SPring-8では第三世代の装置と呼ばれるこのアンジュレータが主力の光源となっているので、極めて高輝度の放射光が得られる最先端の施設なんだって。
仕組みの違いはこちら(上記資料の図1・図2です)
なにわともあれ、電子から放たれた放射光は、次にビームラインと呼ばれる「光を整形する」場所へ向かいますよ。
たぶん、光を集めてる!
たぶん、ここで照射する!
たぶん、これらで調整する!
...うぅ...申し訳ない...時間がないなかで、いろいろと見て回りたかったため、ほとんど説明を伺ってません。
大雑把でございますが、要するに各実験の目的に沿った光(波長など)を取り出すために、分光器や集光鏡の装置があり、さらに対象となる(測定する)物質も、冷やしたり回転させたり等いろいろ試みてるわけですな。
ちなみに基本事項ですが、スプリング8では何も作っていないのですよ。物を作るのではなく、物を調べる施設なので。
...と思っていましたら、ゾウ博士(のモデルとなった方)から耳寄りな情報が...。
Dr.TOMOTOMOさんと少しの間ご一緒できたので、ゾウ博士さんの実写版にお会いできましたの
お伺いしたところによると、ゾウ博士さんが関わった実験では、なんと
スプリング8で人工ダイヤを作ったんだぞう!
だそうです
↑石墨(グラファイト)に、10万気圧を超える高圧と2000℃を超える高温を加えることで、ナノ多結晶ダイヤモンド(NPD=ヒメダイヤ)の合成に成功したんですってよ。
ワタシ:こ...これがダイヤ製造機か!
ゾウ博士:いやいや、製造機ではなくってプレス機だぞう。
ワタシ:炭からダイヤだなんて夢のようですね!
ゾウ博士:世界最硬のダイヤを使って、地球や惑星の超深部の物質や性質の解明を目指してるんだぞう。
ワタシ:はっ??
ゾウ博士さんは、大きくて優しいゾウさんのように、とても素敵な方でした
地球の内部のことにしか興味がなさそうでしたが...
まぁ、人工ダイヤの販売は気長に待ちますわ
ところで、上のプレス機は放射光施設では世界で最大級だそうですが、製作したのは小さな町工場らしいです。こういった唯一無二の機器類は大手メーカーは作ってくれないのですね。町工場の技術力の高さは日本の科学技術にとって財産だな~と改めて思った次第です。
それから、プレスの操作は機械式ではあるものの、操作する人によって少しずつ癖があって、最後はどうしても職人技になってくるんだそうです。「この人のプレスが合う」とか「この人のは合わない」とかあるらしい。最先端科学の現場に漂う、この微妙な人間臭さが面白いなと思いました。
BL04B1(高温高圧ビームライン)概要@SPring-8 Web site
↑これは偏光電磁石なんですね~
はい、ありがとうございま~す
長くなっちゃっいましたので、とりあえず終了。残りはまた。