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by hamarie_february

国家基幹技術って

2009-05-16 07:38:28 | 気になるニュース

昨日、報道されたびっくりニュースから。

次世代スパコン:NEC、日立が開発から離脱 負担回避で@毎日jp

NECは14日、文部科学省が進めている次世代スーパーコンピューター(スパコン)の共同開発計画から離脱すると発表した。・・・(中略)・・・設計最終段階での大幅な計画見直しにより施設建設や応用ソフトの開発もいったんストップすることになるが、富士通が担当している別方式の開発計画は進められており、理研は「当初計画通り、今年度中の試作開始、12年の完成を目指す」と言う

NECは業績悪化を理由にしているんですが、どうなんでしょうね。

以前からスカラかベクトルかの争いを抱えたままの計画には無理があると言われてましたし、結局はナノサイエンスや生命科学分野に強いスカラの富士通が選択されたということでしょうか。(利根川さんもいつの間にか帰って来られたみたいですし)

ちなみに富士通のCPUは世界最速を奪還したみたいです。

CPU:日本、世界最速奪回 秒間1280億回計算、富士通が試作成功@毎日jp

理研が発表したプレスリリースもリンクしておきます。開発実施本部のページでは、建設中(神戸市ポートアイランド)のライブカメラ映像が観れるみたい。夜中に観ても面白くないね、たぶん。

次世代スーパーコンピュータ・システムの構成を見直す@2009プレスリリース理化学研究所

次世代スーパーコンピュータ開発実施本部@理研

この次世代スーパーコンピュータは、以前に当blogでも取り上げています(シミュレータ@2007年11月21日)。アルファブロガーで経済学者の池田さんも当時温暖化議論と相まって酷評されてましたが、どうも今回の流れとしては気象・温暖化関係の研究用途には使われにくそうなのが決定的ですね。

たぶん、環境問題の話は計算機のスピードが少々速くなろうとあんまり意味はないんでないかな。いいんじゃない?と思いますよ。(素人の感想ですが)

ただ、国家基幹技術なんでねぇ...。撤退もあるんだなとびっくりしたですよ。

つまりハンパじゃない莫大な予算を投入して推し進められているプロジェクトなんですよね、国家基幹技術って。

そういえば先日行ったスプリング8でも、そのひとつを見てきました~(←まだ引っ張るかとツッコまないで

国家基幹技術@kotobank

第3期科学技術基本計画に盛り込まれた科学技術についての新しい概念。「国の持続的発展の基盤であって長期的な国家戦略を持って取り組むべき重要な技術」のこと。具体的には、次世代スーパーコンピューター、X線自由電子レーザー、海洋地球観測探査システム、高速増殖炉、宇宙開発の5つが選定された。

そんなワケで、こっそりと「スプリング8に行ってきたpart3」です。キリがないのでこれで完結編。

X線自由電子レーザー(XFEL)計画合同推進本部@理化学研究所

X線自由電子レーザー施設を初公開(SPring-8施設公開)


初公開ということで楽しみにして行ったんですが、現場はまだ文字通り「箱」だけでした。正直言うと少々がっかり

何もないガランとした建物に萌えるほど、ワタシもヲタってませんでした。さらなる精進をせねば←何の?

XFEL施設の加速器棟と光源棟が完成!(2009年4月21日)

ただ、「働くおじさん」の話を聞くうち、やっぱスゴイやと思いましたよ。

上記の記事内写真から推察すると、下の写真は加速器棟のクライストロンギャラリー(加速器に電力を送る装置が並ぶ場所)ですが。

今回の建設工事では、この全長約650mに渡る床を、隣の加速器棟と調整しながら、±5mmの精度で平らに施工してるんだって。

さらに、その後こういった機械でコンクリートの床を磨いて平らにします。加速器やアンジュレータを設置する床は、数十ミクロンの精度が必要らしい。日本の技術力ってヤバくね?(←すごくね?ってことね)

↑加速管(モデル展示ですが)には、さすがにちょっと萌えました~。

ところでXFELで発生させる光について、以前から当blogでも何度か取り上げておりまして(例えばこちらとかこちら)、つまりコヒーレントな放射光(X線)ってことでしたが...今回、さらに新たなキーワードを発見。(いや、以前からあったのかもしれませんが)

XFELとは?@X線自由電子レーザー計画合同推進本部

XFELは、これまでにない非常に強い光で、超高速のパルス光であるという利点があります。 原子や分子といった極めて微細なものが非常に速く変化する様子を、コマ送りのように詳しく連続的に観察することが期待されています。

たとえば...こんなカンジ。

光に照らされている部分だけ、キューピーの動きが捉えられて、コマ送りで踊っているように見えますね。

これがパルス光で、いわば一瞬だけ光るカメラのフラッシュのような光です。パルス光が出る時間の間隔が短いほど、より速い現象が止まったように見ることができるそうです。

実現すると、「原子や分子が変化する様子を、コマ送りのように観察できる」かもしれないんですね。

こういう実演を実際に見せられるとなるほどなぁって思いますけど、一方で、案外と可視状態の物理現象が、不可視で微細な世界の観察にも応用されているのだなぁと少し不思議な気がしました。

ちょっとスプリング8から離れますが、昨年発表された国立情報学研究所のプレスリリースによると、パルス光は「量子コンピュータ実現」にも一役買ってるみたいです。

恐るべし、パルス光。

【追記】パルス発振はレーザーの重要な特徴みたいですね
レーザー@Wikipedia

というわけで、いろいろと新しい発見があったスプリング8一般公開でした。

スプリング8では、様々な研究グループが多種多様の研究をしているので、そのグループごとの成果の展示や実演、実験・工作体験のイベントもありました。すべてご紹介できないのは残念ですが、このへんで終了です。

お疲れ様でした~。

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