JR関西本線と近鉄大阪線を繋ぐ伊賀鉄道
三重県西部の伊賀市内を運行する伊賀鉄道で2024/3/9からIC乗車券ICOCAが導入された。伊賀鉄道伊賀線は2007年10月に近鉄から移管された路線で、北側はJR西日本の関西本線・伊賀上野駅に、南側は近鉄の大阪線・伊賀神戸駅にそれぞれ接続している。
関西本線・伊賀上野駅での降車は車内改札機で処理
今回の旅程では、名古屋駅から関西本線に乗って伊賀上野駅から伊賀鉄道にアプローチしている。
関西本線は途中の亀山駅がJR東海とJR西日本の境界駅で、TOICAエリアとICOCAエリアが切り替わるためIC乗車券では定期利用を除いて乗り越しができない。JR東海管内の車内放送でもIC乗車券で亀山以西を利用する場合は、車掌に申し出るよう案内されていた。このことは、前回の旅程(モバイルSuicaでICカードの境界駅を乗り越える旅)で記したとおりで、今回も亀山駅でいったん改札を出てから再度入場して乗車券を区切ることで単一のモバイルSuicaで伊賀上野駅まで乗車している。
また、伊賀上野駅では、前回は体験できなかったキハ120系の車載型IC改札機で「降車」の処理を行った。
降車処理をした状態で有人駅の伊賀上野駅の改札はどう通過するのか心配になったが、何のことはなく「IC専用通路」と記された通行レーンが設けられていた。有人改札での処理を必要としないIC乗車券の乗客はこの専用通路を通るという整理だ。
伊賀鉄道の忍者列車をモバイルSuicaで
伊賀上野駅では伊賀鉄道は1番のりばから発車する。ホーム上には入場用と出場用の2つのIC改札機が置かれていて、チャージは同じホーム上にあるJR西日本の券売機で行うよう案内されていた。
しばらく待つと、忍者列車と呼ばれる200系電車が入線してきた。元東急1000系電車を改造し漫画家の松本零士さんがデザインした車両で、正面に忍者の鋭い目がデザインされているだけでなく側面や車内も忍者に関するモチーフであふれるユニークな車両だ。
「忍者市駅」を名乗る上野市駅で下車して、モバイルSuicaアプリの履歴表示を確認すると伊賀上野駅が「IT伊上野」、上野市駅が「IT上野市」と表示されている。伊賀鉄道の事業者名表記は「IT」だった。関西本線のJR伊賀上野駅も「JW伊上野」で駅名表記のパターンは同じだ。「IT」は、IGA TETSUDOから採ったのだろう。ちなみに、モバイルICOCAでは広小路駅が「伊賀広小」、四十九駅が「伊賀四十」で、こちらは正式な事業者名を頭2文字に詰め込んでいる。
四十九駅から再び乗車し伊賀神戸駅に向かっていたところ、途中の駅から乗り込んできた社員さんが上林駅を過ぎたあたりで切符の回収を始めた。IC乗車券の乗客はどう対応するのかと思ってみていたら、カード内容を閲覧できるらしい薄型の端末で確認するという。ただ、私のモバイルSuicaは重ね合わせる際の位置が悪かったのか、それとも対応していないのか正常に読み込めず、伊賀神戸駅の出場端末で確認していただくことになったのは別の話。
IC乗車券で検札を受けたのは初めての体験だったので、どうせなら成功したシーンを見たかった。
終点の伊賀神戸駅では近鉄大阪線に接続している。伊賀鉄道線は他の駅と同じく簡易型のIC改札機で出場し、近鉄線へ乗り換える際は改めて自動改札で入場する。
伊賀鉄道の上野市駅から歩いて10分の上野公園内には、忍びの里・伊賀を体験できる伊賀流忍者博物館があり、伊賀市内には伊賀で生まれた俳聖・松尾芭蕉ゆかりのスポットもいくつかある。
IC乗車券に関していえば、亀山駅でのJR旅客会社の境界処理、関西本線の車載型IC改札機、伊賀鉄道の車内検札を経ての近鉄への乗り換えまで、楽しめる要素が豊富な旅だった。
参考
- モバイルICOCAで名古屋エリアの乗車記録を刻んでみた (2023/4/8)
- モバイルSuicaでICカードの境界駅を乗り越える旅 (2021/10/13)
- 四日市あすなろう鉄道にモバイルSuicaで乗車してきた (2021/10/4)
- 三重交通のバスにモバイルSuicaで乗車してきた (2017/5/13)
- 祝・全国相互利用開始。モバイルSuicaでmanacaエリアの乗車記録を刻んでみる (2013/3/23)