夏ver.は全編が絵日記で、動くひつじのしつじくんが一切出てこない特殊な構成だったが、今回の秋ver.は数年前の執事室を彷彿とさせるシンプルな演出となっている。
未明。
ひつじのしつじくんは寝ていない。妹のメイドのメイちゃんと一枚の毛布にくるまっている。メイちゃんは静かな寝息を立てて熟睡しているのだが、兄は目を泳がせてドギマギ戸惑っている。これまで、執事室はもちろんひつじの伝言板でもこうした兄妹の関係が描かれることはなかっただけに新鮮と言えば新鮮だが、キャラクター設定を壊しているようにも感じてしまう。
時間帯によって流れ星が舞う満天の星空になったり手前を栗が転がってきたりを繰り返しながら、朝5時まで兄の眠れない夜は続くのである。
朝5時。
一睡もしていないはずのひつじのしつじくんだが、しっかりと起き上がり右手を上げ下げするいつもの動作をみせる。メイドのメイちゃんは、そんな兄の目の前をクルクルと回転しながら通り過ぎていく。
はっ!と気がつくと、川面にネッシーのような首の長い未確認動物(UMA)が! のっそりと体半分までを水面に出して泳いでいった。
ネッシーが登場しない時間帯にはブドウが空から降ってくるし、メイちゃんが登場しない時間帯にはカボチャがコロコロと床を転がっていく。同時に1つまで、というのがコンテンツの制約のようだ。
午前10時から始まるお昼のシーンでは、ひつじのしつじくんとメイドのメイちゃんがスケートボードに乗って様々なスタイルで画面を横切っていく。まれにひつじのしつじくんは前輪を浮かせる「マニュアル」を披露することもあれば背を向けて川を見ながら横切ることもある。
なお、午後2時台には恒例の「2時の虹」が描かれている。今回も健在でウオッチャーとして嬉しい限りだ。
この時間帯に空から降ってくるのはキノコだ。昨年2014年の執事室秋ver.ではキノコをとるとスーパマリオよろしくひつじのしつじくんが巨大化したのだが、今回のキノコはそうした特殊なキノコではないようだ。
もう一つ気になるのが画面右端の欄干の上でしっぽを振る白いネコ。こちらも時間帯によっていなくなったりもするのだがどこから来たのだろうか?、かつて正月に現れた「お友達のトラ猫さん」とも違うようだし、これまで見かけたことのない顔立ちだ。
午後4時からは夕方の場面。
左右にゆらゆらと揺れるひつじのしつじくんの前をメイドのメイちゃんがタッタッタッタッと笑顔で駆けていく。午後4時台の夕焼け空にはカラスの群れが飛んでいくのだが、午後5時台はなんとサンマがゆらゆらと飛んでいくシュールな展開だ。
夜のシーンは午後6時から。
送り火のように松明の炎で「未」の文字が描かれている。思えば今年はひつじ年だった。傍らには、月見だんごとすすきが飾られお月見ムードも満点だ。ひつじのしつじくんとメイドのメイちゃんは背中を向けてゆらゆらと揺れながら送り火や月を眺めている。
午後9時になると送り火は終了する。変わって登場するのがタヌキ。月夜にはタヌキが腹を太鼓のようにたたいて楽しむという説があって、タヌキの腹づつみというらしい。でも、このタヌキは山の稜線に乗っているの? それに大きさの対比がちょっとおかしくないでしょうかねぇ?
模様替えにあわせて執事の学校の背景も秋仕様に差し替えられたほか、夏ver.ではカットされた壁紙の提供がきせかえクローゼットのコーナーで再開されている。
さて、今回のひつじの執事室2015年秋ver.をどう見るべきか。
一通り眺めた限り、シーンや日付をまたぐようなストーリーは描かれておらず、あっと驚く演出はほとんどない。ここ数回の模様替えと比較すれば差は明白だ。これを「手抜きだ!」と非難することもできるだろうが、私はこれを原点回帰のリセットと前向きに捉えたい。
2009/4/6のひつじの執事室オープンから6年半、毎回趣向を凝らした企画で歴史を積み重ねてきたが、間口を広げるためにもそろそろ基本的なスタイルを再定義するリスタートの回があってもいいだろう。
例年どおりの流れで言えば秋ver.は、10月末のハロウィン、11月19日のひつじのしつじくんの誕生日と2回の模様替えを挟んで冬ver.へ引き継いでいくことになる。おおらかな心で見守りたい。
【参考】
- ひつじの執事室が2016年秋ver.に模様替え。おしゃれひつじのお着替えで秋らしい演出 (2016/9/26)
- 2015年冬ver.ひつじの執事室は囲炉裏のある風景。え?2時の虹がない? (2015/12/10)
- ひつじの執事室2015年夏ver.は「ひみつの絵日記」 (2015/7/6)
- ひつじの執事室が2014年秋ver.に。5つのシーンでイベント満載の賑やかな展開。 (2014/9/20)
- ひつじの執事室が模様替え (2010/5/23)
- ひつじのしつじくん (2009/4/8)