はーちゃんの気晴らし日記

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最期の思い

2015年06月16日 | 出来事
近所に住む人の事です。

その家は、私の家の2軒裏側で、私の家からは、屋根くらいしか見えません。
その家には、女の子が3人いて、一番上の女の子が、私の娘の同級生でした。
近所ではありましたが、私の娘は体育会系、その家の娘さんは、頭脳系で、タイプが全然違うせいか、一緒に遊んだりしたことはなかったと思います。

以前は、私もその家の奥さんと一緒に生活用品の協同購入をしていたので、接触することが多かったのですが、後に私が、その共同購入を止めてしまったため、徐々に縁遠くなっていきました。

私は現在、持ち回りで組長さんになっていますが、前回の組長さんの時だったので、10年くらい前のことだったと思います。

回覧板をまわしても、いつもその家で止まってしまい、なかなか回覧板が、私の家に戻ってこなくなりました。
そして、何週間か経つと何種類かの回覧がまとめて戻ってきます。

ある時、自治会費の集金に行ったところ、普段は留守にしているらしいのがわかりました。
集金の旨、手紙を書いてポストに入れておいたところ、しばらくして奥さんが尋ねてきました。
奥さんが言うには、現在は、奥さんと子供たちはその家に住んでいないということでした。
そんなことは、全然、知らなかったのでびっくりしました。
「私は車が運転できないので、駅から近いマンションに住む事にしたの。」
と奥さんは言っていました。
あまり根掘り葉掘り聞くのも憚られたので、私は推測するだけに留めました。
たぶん、離婚されたんだろうなと思いました。
夫婦間で、今後の話になった時、奥さんは、今の家は交通の便が悪いので、駅から近いマンションに住むことを選び、ご主人が、今まで通り家に住む事にしたんだと思いました。

それが最後で、それ以来、私は、その家の母子を見かけることはありませんでした。

そのうち、その家は、外壁を塗り替え、内装工事もしたようです。
売りに出したのかなと思いましたが、表札は変わっていないので、ご主人は、そのままそこに住んでいるようです。
そして、どうやら、別の女性が一緒に住んでいるようでした。
女性としては、前の奥さんの生活感のある家に住むのは抵抗があったと思うので、家も工事を入れたんだろうと思いました。
私の家からは屋根しか見えないので、一緒に住んでいる人がどんな女性なのか、私にはわかりません。
それを機に、その家は自治会から抜けてしまったので、その後もその家を訪れることはありませんでした。
そして、その家のことは、私の意識の中からもすっかり抜けていました。

先日、洗面所にいたところ、道路に二台の車が止まっていました。
後ろ側の車は白いライトバンで、私が見たとき、ちょうどトラックの後部ドアを開けているところでした。
何気なく見ていたら、トラックの中には、白い盛り花が見えました。
「あれ?ひょっとしてあれは、枕花なんじゃないかな?」
と思いました。
それに前に止まっている車は、黒いライトバンでした。
部屋にいる主人に
「ねぇ、あの辺の家で、誰か亡くなったのかもしれないよ。」
と私は言いました。
でも、主人は、たいして興味も示さず、
「それなら、そのうち回覧が回ってくるんじゃないか?」
と言います。
「でも、自治会に入っていない人なら、回覧も来ないよ。」
と私は言いました。
その並びには8軒家があるのですが、そのうちの4軒は自治会に入っていません。

それから、しばらくして、車が動き出しました。
車はもう1台あったようです。
その1台は、やはり黒いライトバンで、中の方から出てきました。
車が出るときに、長いクラクションが聞こえました。
これは、間違いなく誰か亡くなったんだと思いました。

でも、その後は回覧が回ることもなく、私もすっかりそのことは忘れていました。

先日、娘からの情報で、前述のご主人が亡くなったということを知りました。
娘の同級生のお父さんに当たる人です
びっくりしました。
「だって、まだ若いのに・・・」
と私は思わず言いました。
ご主人も奥さんも私よりは、若いはずです。
娘は、少し前に足をひきずりながら歩くその家のご主人を見かけたと言います。
とても具合が悪そうだったと言っていました。

「あの家のご主人って、別の女の人と住んでいるんじゃないの?」
と言うと、
「最初は住んでいたかもしれないけど、今は一人だったみたいよ。」
と言います。
いつの間にか、同居していた女性は、居なくなってしまったようです。

具合が悪くなってからは、元の奥さんがちょこちょこ来て、看病をしていたとか。
最期を看取ったのも、元の奥さんだったそうです。

具合が悪くなって、誰も面倒を看てくれる人がいなくなって、元の奥さんに頼らざるを得なかったのかなと思いましたが、両親が離婚しても、子供にとっては、父親。
もしかしたら、娘さんたちが父親と連絡を取っていて、具合が悪いことを知り、母親に知らせたのかもしれないなとも思いました。

いずれにしても、孤独死をしてもおかしくない状況だったと思うので、そのご主人は、元の奥さんに看とってもらって良かったのではないかと思いました。

複雑な人生だったようだけれど、ご主人は、どんな思いで最期を迎えたんだろうと思いました。


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