15時頃、朝散歩代わりにカートで出る。
気温は忘れたが、北風に変わったのか
然程温くもなく、心地は良くはない。
私道を上り、カートを引き摺り乍らゴミ置き場通りへ差し掛かる。
向かいから、マスク姿に深々と帽子を被った
どう見ても老人がカートに向かって来た。
邪魔になりそう且つ、面識の無い方だろうと避けかかると
あのオカシナ家族の母親だった。
今も行ってきたんだけどね。。。
話し掛けられる。
症状が出て一週間だったみたい。
ぐるぐる回り出して。。。
もしかして痴呆症状?!と思うも口を挟まず---
脳の腫瘍だったって。
だけど最期は手から食べてくれたんだ、って。
一週間ですか。。。
そう、それまで全く何の症状も無かったの。
普通に元気で一週間前、散歩から帰って
初めてぐるぐる回って。
娘の所は子供居ないからね。
もうずっと泣き通してて、もうねぇ。。。
何て言うの?あれ、犬のお散歩したりするあれ、
資格取るとか言ってたわね。
あ、ペットシッターですか。。。
そうそう、そういうのやるって。
良くペットを亡くされた方で、もう迎えないけど、
愛護団体とかのお散歩ボランティアとかやる人
居るみたいですね、預かりさんとか。。。
何かムツゴロウさんが言ってたらしいんですけど
ペットロスを克服するには新たに迎える事だとか、って。。。
だけど、犬が居るとあたしと旅行行けないでしょ?
どっか行くにもね、だから犬はもう飼わないでって
言ってるの。
。。。ちょっと意味が解らなかったが
母娘での娯楽の事らしい。
あぁ、この親子は良く一緒に出掛けたりして
居るのか、と何と無く。母娘で一緒に
小旅行等に出掛ける際でも、犬が居ると縛りが
掛かると言う事か。それに故、娘に飼うなと?
些か驚いた。驚いたその表情を見透かされてしまったか
。。。だし、あたし達もほら、年取って来たでしょ、
娘の旦那も一人っ子だし両親もこれから
何が有るか判んないからね。家空ける事も
多くなるし。。。犬が居ると家空けらんないでしょ。
だそうだった。。。が、待てよ、と脳みそがフル回転。
娘の旦那も一人っ子?!
「も」???だとするとあの放蕩息子は何だ?
生まれて一度も挨拶をしない父親と瓜二つでは
ないか。連れ子?だからあの様になった?
言われて見ると娘は母親にそっくりだが
放蕩息子は全く似て居ない気がして来た。
想像が膨らむがそこまで。脳がどうでも良い事、
と判断しシャットアウト。
でも、もうだか、何をするにも涙でね。
もう痛々しくて。
解ります。それはもの凄く解ります。
長患いとは又違って、急って事も有るんでしょうから
心の準備も出来て無かったと思いますし。。。
それに。。。1才、2才で亡くなるのも
勿論酷く悲しいのに、14年間って年月がね。。。
重いって言うのか。
あぁ、成程、年月ね。。。ゆきちゃんと同級生だもんね。
娘はゆきの話も母親として居たのか、母親はゆきの年も
知って居た。
あなたもゆきちゃんが居なくなったら大変でしょ。。。
まさかオカシナ家族母親から
ゆきと飼い主の心配をされるとは思わず。
少し嬉しかったが。
そうなんですよ、だから今から心の準備して
本当にイザとなったら何も出来なくなるだろうから
葬儀社も取り敢えず決めてあるんです。。。
結構な時間、ゴミ置場前での会話だった。
どの様な長い時間立ち話になったとしても、けして吠えないゆきが、
母親に向かい吠えた。。。嫌いなのだろうなぁ、と
朧げ乍ら。この母親に意地悪された事は無い
のだが。。。
脳腫瘍。。。詳しい検査をした結果であるのか、或いは
症状からの推測か等、定かでは無いも
随分経過が早い気がする。
娘は、モーちゃんをかなり可愛がって居た様だ。
小さな変化も見逃すとも思えない。
良性悪性問わず、脳腫瘍と診断され
一週間で亡くなる話を聞いた事が無い。
尤も聞いた事が無い、珍しい事が
即ち、起こらないという事ではない。。。
生体で有る以上何が起きても然り。。。か。。。
それ以前に。。。ヒトであれば何等の症状を
訴えられたのだろうか。
そう言えば都下に居た折の仲間、
GRのマロンも1、2回倒れ全身検査をしたが
異常は発見されず、
MRIかCTの予約を取るか否かの最中
急逝したのだった。。。
しかしマロンの場合、確かそれでも週単位
では無かった記憶が有る。
旅行等へ行かれない云々はさて置き
個人的には、新たに迎えて欲しい気がした。。。
まさか、モーちゃんの死でオカシナ家族と
話す事になろうとは思いもしなかった。