関連ブログ記事・・・2025/1/8付「神戸布引ロープウェイの摩耶山への延伸、ついに動き出すか?」
上記ブログ記事の
>ちなみに、この第8回検討会では、六甲ケーブルへのアクセス手段および六甲・摩耶山上の移動手段としてのバスに関することも議論されていました。こちらについては、後日「路線バス」のカテゴリーで紹介する予定です。
の続きです。
「六甲山・摩耶山の交通のあり方検討会」の最終報告書には、六甲ケーブルへのアクセス手段および六甲・摩耶山上の移動手段としてのバスorモビリティに関して、以下のように記載されています。
1.六甲山・摩耶山の交通体系(第1段階/短期)目標年次:2025~2030年頃
(1) 市街地からケーブル駅へのアクセス向上
・ケーブル下駅までの路線バスのダイヤを見直すことで、ケーブルとの乗り継ぎ利便性を向上
・鉄道駅からケーブル駅までを快適に楽しみながら移動できるような車両を導入
(2) 山上における需要の動向にあわせた公共交通の再編
・六甲山牧場~記念碑台において、山上の活性化に伴う需要の増加にあわせて、六甲摩耶スカイシャトルバスの再編・増便等により、利便性を向上
・東西の回遊性を高めるため、六甲山上バス・六甲摩耶スカイシャトルバスのダイヤを連携させ、乗継利便性を向上
(3) 各エリアの特性に応じた新たなモビリティ等の導入
・六甲山牧場~掬星台には、需要にあわせて、グリーンスローモビリティなど、摩耶山の自然を感じながら乗って楽しい新たなモビリティを導入
2.六甲山・摩耶山の交通体系(第2段階/中長期)目標年次:2030~2035年頃
◎ 山上における需要の動向にあわせた公共交通の再編
・ハーブ園接続ルートの整備等による需要の増加にあわせ、更なる山上の東西の回遊性向上を促進するため、掬星台から六甲山上へと繋ぐ公共交通を再編
・運転手不足の深刻化により、需要の増加にあわせた増便への対応が難しい場合は、法規制や技術革新の動向を踏まえ、自動運転車両を導入
・交通結節点となる掬星台などにおいて、公共交通を利用しやすくするため、待合環境やバスの回転地などを整備
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1.の(2)と(3)は2022・23の両年に社会実験した内容であり、完全自動運転バス(ここは日本なので、米国の自動運転タクシー「ウェイモ」の如く全てのトラブルを利用者の自己責任に帰することは困難でしょう)よりも遥かに現実的ではありますが、それでも議事録を読むと懐疑的な内容が記載されています。
a. 六甲摩耶スカイシャトルの増便の困難性
両年とも、運行区間を通常の「六甲ケーブル山上駅~六甲山牧場~摩耶ケーブル山上駅」から「六甲ケーブル山上駅~六甲山牧場」に短縮することにより30分間隔から20分間隔への増便を実現できたものの、あくまで36協定ギリギリでの対応であり、これをずっと続けることはできない。さらに、六甲摩耶スカイシャトルバスの乗客数自体がコロナ前より大きく減少している<2018/4~12と2023/4~12を比較すると44.2%もの減少)。
b. 六甲山牧場~掬星台<摩耶ケーブル山上駅>間の移動手段
六甲摩耶スカイシャトルバスの六甲山牧場での折返しを恒常化するためには、路線バスの代わりとなる六甲山牧場~掬星台間の移動手段を確保せねばならないが、社会実験の結果からはグリーンスローモビリティ単体での事業採算性は、少し厳しいと考えており、まずはグリーンスローモビリティの事業採算性を高める(他の観光事業とのセット?)ことが先決である。
そして、「市街地からケーブル駅へのアクセス向上」に関しても実際には「言うが易し」だったりします。六甲ケーブル下駅発着の市バス16系統は昼間でも10分間隔未満の高頻度ダイヤですが、
https://www.city.kobe.lg.jp/life/access/transport/bus/jikoku/basjikoku/0160131010.html
これは山麓の鶴甲団地住民や神戸大学に通う学生の利用が多いことを踏まえてのもので、2024年の場合、最繁忙期(4/26~5/6の毎日および11/2~4・23・24)に「JR六甲道→阪急六甲→六甲ケーブル下」の急行便を走らせるにとどまっています。昨今のバスドライバー事情を考えると、両者の需要の完全分離は困難でしょう。