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横須賀総合医療センター心臓血管外科

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MICS-AVR:右小開胸の大動脈弁置換術における皮膚切開位置・前方?側方?

2020-02-19 23:21:39 | 弁膜症
 MICS-AVR:右小開胸アプローチによる大動脈弁置換術は、横須賀市立うわまち病院においては右腋窩中線を中心にした約8cmの皮膚切開で実施しています。女性の場合は、乳房の下端の皺に合わせて皮膚切開をおくことで、術後は手術痕が目立たなくなり、術後の乳房変形が起きないように工夫しています。Stonehenge Techniqueでは、胸壁から大動脈弁までの距離が15cm以内であれば確実に、前腋窩線の皮膚切開でも通常の手術器具のみで手術可能で、縫合糸の結紮もKnot Pussureを使わずとも、術者の手で結紮できます。
 主にヨーロッパにおいては、右小開胸アプローチとは言っても、主に第2~3肋間で胸骨有縁を中心に前方の皮膚切開を行っており、前腋窩線の皮膚切開アプローチと同様に通常の手術器具のみで実施可能で、縫合糸の結紮もKnot Pussure不要です。しかし、こうした皮膚切開では術後の手術痕が目立つだけでなく女性の場合は乳房の変形をきたしてしまうマイナス点があります。今回、研究会でこの前方のアプローチで実施している施設の発表を聞き、乳房の変形などのことを質問しましたが、経験した患者さんが男性だけだったこともあり、そうした点までは気にしていないようでした。

 胸骨を切開しないことが最大のメリットであることを考えると、前方の皮膚切開でも十分意味のある手術術式と思いますが、できれば乳房の変形をきたさず、乳房下縁の皺に沿った皮膚切開でほとんど目立たない手術創とすることも重要と考えます。
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