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横須賀総合医療センター心臓血管外科

お気軽にコメントいただければ、一般の方の質問にも心臓血管外科専門医が答えます。

「増悪」って言葉も使うべきではありません

2022-01-19 08:36:10 | 心臓病の治療
 増悪って言葉も、つかってはいけない、と学生時代に厳しく言われました。意味は漢字を見ただけで伝わりやすく理解しやすいとは思いますが、そうした言葉は本来日本語としては存在せず、「悪化」という言葉を使いなさい、と指導されました。
 「急性増悪」という言葉も頻繁に実際は使われていますが、「急性悪化」というと発音しにくく、「急性増悪」に対応する正しい日本語がないので現状になってしまっているのかもしれません。
 いずれにしろ、急性悪化ではなく、悪化という言葉だけでも充分意味も通じますし、その反対語は「徐々に悪化」でしょうか。鈍性増悪って言葉もないので、やはりカンファレンスでの症例呈示の際や学会発表、論文の記載に関しては、悪化という言葉を使用していたほうが無難と思います。
 通じればいいでしょ!って意見もあると思いますが、正しい言葉というのを知っておく必要はあると思います。

呼吸苦って使ってはいけない!?

2022-01-19 08:08:54 | 心臓病の治療
 学生の頃、呼吸苦っていう言葉はつかってはいけない、と教育されました。呼吸困難というのが正式用語だそうです。生活苦や借金苦はあるけど、呼吸苦って言葉はない。特に論文や症例報告を執筆するときにはこうした間違った言葉は使ってはいけません。
 呼吸苦っていうことばはナースの領域で作られた言葉という説もあるようですが、学会発表やカンファレンスでの症例呈示の際には使わないように普段から指導しています。
 医学用語のスラングのような言葉で一人歩きしている印象もありますが、あまりに頻繁に使われているので、充分意味も通じますが、正式な用語を医師としては知っていて使いこなす必要があります。逆に呼吸苦って言葉は普段使っていても呼吸困難という言葉を使うことがない医師も多くなってしまっている現実は残念ながら教育レベルの低下を表していることになり、ちょっと悲しい感じがします。
 最近になって正式に「呼吸苦」という言葉を使っても良い、といことになった、と言っている医師もいましたが、やはり正しい言葉というのは知識人の先頭に立つべき医師としては尊重したいものです。