花のある生活

花はあまり出てきませんが。

「パブロフの犬」と「アメとムチ」

2019-02-15 | 心理学
今日は、心理学では有名な「パブロフの犬」を。


条件反射といえば、「パブロフの犬」というぐらい、有名な心理学用語。

ロシアの医学者イワン・パブロフの実験で、「ベルを鳴らしたら、犬にエサを与える」という行為を繰り返していると、あるときから「ベルを鳴らしただけで、犬はエサをもらえると思い、よだれを垂らすようになった」というところから、この名が付いた。


パブロフの犬


「古典的条件付け」とも呼ばれていて、動物に芸を仕込むときなどに使われる手法です。

人間の場合でも、「梅干しを見ると唾が出てくる」というのがありますよね。

これも、梅干しを見ただけで「酸っぱくなる」という条件反射によるもの。


しかし、梅干しを食べたことが無い人は、「梅干しは酸っぱい」という条件付けが無いので、この反応を起こしません


また、ストーカーの加害者や、窃盗症などの重度の依存症患者の治療には、この「古典的条件付け」が使われているそうです。



こちらも条件付けの一種で、いわゆる「アメとムチ」。

心理学用語では、「オペラント条件付け」

バラス・フレデリック・スキナーは、アメリカの心理学者で、行動分析学の創始者。


「オペラント行動」とは、ある環境に対して「自発的な行動」を取ること、また、行動を起こした結果に応じて「自発的行動の頻度」が変わることをいう。

「オペラント条件付け」では、「行動」そのものを、何らかの結果を得るために利用した「道具」と考えるところから、「道具的条件付け」とも言われます。

オペラント条件付け(道具的条件付け)


スキナー箱という実験装置を使い、レバーを押すとエサが出てくる仕掛けをした箱に、ネズミを入れます。

たまたま、レバーを押してエサが出てきたネズミが、それを繰り返すうち、レバーを押せばエサが出てくるということを経験する。

レバーを押せば、エサが出ることを覚えたネズミは、自発的にレバーを押すようになる


これが、ネズミによる「オペラント行動」です。

ネズミがレバーを押せばエサが出てくる事を覚えて、「自発的に」レバーを押すようになったのは、「オペラント行動」が強化されたから。


人間は、自分にとって好ましい反応か、嫌な反応かを選び、行動します。

1. 正の強化  良い経験をしたことで、行動が増える

2. 正の罰(弱化)  嫌な経験をしたことで、行動が減る

3. 負の強化  不快なことを取り除いたことで、行動が増える

4. 負の罰(弱化)  不快な思いをしたことで、行動が減る


例えば、お手伝いをしたら、ほめられた。(正の強化

さらに、やる気がアップ!(行動が増える↑


ボール遊びをしていたら、窓を割って怒られた。(正の罰

窓にあたらないように、気を付けて遊ぶことを覚える。(行動が減る↓


インフルエンザが流行していて、かかったら大変だ。(負の強化

手洗い、マスク、予防接種で、万全の対策をしたから、人の集まる場所に出ても大丈夫!(行動増える↑


スマホゲームをし過ぎて、目が悪くなった。(負の罰

1日中スマホを見続けないように、ゲームをする時間を決めて、目を酷使しないようにしよう。(行動が減る↓


良いことをすれば、「ほめられる」「安心だ」となり、悪いことをすれば、「怒られる」「調子が悪い」ということを、認識させることを「随伴性の認知」という。

しかし、あまりに「ムチ」の方が強すぎてしまうと、バランスが崩れて逆効果になり、どちらにも反応しない「無気力」な人間になってしまうのだそうです。


そこで、「アメとムチ」ではなく「アメとムシ」の方が合理的、という説も。(本当にわかる心理学 3章04「やる気を最大限引き出すアメの与え方とは?」参照)


要するに、相手が望ましい行動をしたときは、大げさなくらいに「ほめる」、嫌なことをされたときは非難もせず、単に「無視」する

例えば、「自尊心の低い人」だと、嫌なことをして「怒られた」としても、「自分を構ってくれた」と思ってしまい、「ムチ」のつもりが「アメ」になっている場合もあるからだとか。


それから、良いことをしたから、ほめる(アメ)の方も、ただ機械的に「ほめている」だけでは、相手の方も「ほめられて当たり前」になってしまうため、良い行動をしても、あえて「報酬を与えない」ときを作る(時々アメなし)、という方法。

これを「間欠強化」といいます。


まずは、良いことをしたら、「必ず」報酬を与えること(連続強化)で、望ましい行動を覚えさせる

「ほめられて当たり前」という状況になってくると、環境に「飽きて」しまうため、良い行動をしても、あえて「与えない」ときを作る

そうすると、良いことをしても、「必ず報酬がもらえるわけではない経験」をすることで、必死に報酬がもらえるよう、がんばるようになる。


おもちゃとかでも、ボタンを押して「5回に1回、違う音が出る」とか、不定期に違うものが出るのを喜びますよね。

パチンコなどのギャンブルでも、当たるときと、当たらないときがあるから、止められなくなってしまうんですよね。



それとは反対に、強化された「オペラント行動」に「罰」を与えた場合どうなるか。

スキナーは、動物の強化された「オペラント行動」に対して、電撃や殴打の罰を与えて実験しました。


これも実験の結果、「オペラント行動」の抑制は一時的なものでした。

罰を与え続けても、罰を与えていない群との「オペラント行動」の頻度の差は見られなかった、とのことです。


他にも、ソーンダイクの「ネコの問題箱」や、「ハトの迷信行動」などがあります。


心理学も、さまざまな研究がされているわね。








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