湘南気まぐれ写日記

「湘南に咲く花」や「風物」、そして「身近な小物たち」の写真を中心に気ままにつづった身辺雑記です。

『鳥博士通信』危険がいっぱいのイカルチドリ(斑鳩千鳥)の子育て

2005年06月26日 | 鳥尽し
「この写真はイシコロばかりで何も写っていないじゃないか」とお叱りを受けるかもしれません。

確かにイシコロばかりですが、画面中央の下のほうをじっと見ていただくと、矢印の先にピンポン玉程の小さな雛鳥が必死に走っている姿を発見していただけると思います。又、画面の左上の矢印の先には親鳥の姿がぼんやり見えております(右手円内が別に撮影した親鳥の姿です)。

この鳥は川の中~上流の川原で極く普通に見かけられる体長20cm程のチドリの仲間です。巣は砂地を浅く掘った簡単なもので、それだけに捕食者に発見される可能性が高く、この危険を避けるため様々な工夫が必要となります(卵は通常四個です)。

●まず、親子ともども完璧な保護色で、一旦イシコロの間に座り込まれたらまずは発見困難です。

●次に、雛は孵化と同時に巣を離れ、且つ又、親とも一定の距離を置いて行動します。

●親は離れた位置から絶えず雛を見守り、危険が迫ると鋭い声をあげて警告します。危険を察知した雛は素早く逃れ、イシコロの間に蹲ります。
 
●更に危険が雛に迫ると、親は大げさに翼をバタツカセテ「傷ついて飛べなくなった鳥」を熱演して敵の目を自分に引き付け、雛に逃げる機会を与えます(専門用語で擬傷行動と言います)。

川原に半日座り込んで親子の行動を見守っていると、彼等が実に多くの危険をかいくぐって辛うじて生き残っている様子がよくわかります。無力な小さい命が必死に駈回り又隠れる様子は、見ているだけでぐったり気疲れするほどです。