![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/07/74/b8c1447adcac7f85afd17cb638148186.jpg)
そのラムセス1世の墓の坑内へ降りて行く通路の両側には、まだ色彩の色濃く残る極彩色のヒエログリフが(象形文字)下から天井までぎっしりと描かれていた。まるで映画か漫画の世界で描かれる、知られざる古代文明の未知なる世界に触れていくような、肌にゾクッと来る不思議さだ。視覚を通してもそれらの象形文字が意識の奥深くに入り込んで来る。坑内に木霊する足音の響きの向こうの世界に持って行かれるような感覚だ。
スロープを下ると目の前に柩が安置してあるのが見えた。2メートル弱ほどの長方形の石棺である。その石棺の表面には死者を保護する有翼のイシス神のレリーフが確か描かれていた。
たぶん石棺の置かれているこの場所が、この地下空間の中心なのだろう。その眩暈がするような不思議さを何と表現すればよいのだろうか・・・。
静謐な空気の漂う聖なる空間・・・しかしそれだけではない。ここには確かに三次元とは違う世界が交錯し重なりあっている。今にもその世界に自分自身が溶け込んでいくかのような感触に包まれるのである。映画「スターゲート」のような、すっとトンネルを通り抜けると、そこは、冥界の入り口であるかのようなそんな感覚だ・・・。
写真:墓を守る有翼のイシス神。(ラムセス1世の石棺のものではないが、図柄は同じ)