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スティーブ・ギリガン博士 催眠ワークショップ 2007年11月8~11日

2007-11-19 16:25:35 | セミナー・ワークショップ
 大阪ホロンPbi主催のスティーブ・ギリガン博士の4日間のセミナー「ヒーローズ ジャーニー」に参加する。

 スティーブ・ギリガン氏は、ミルトン・エリクソンの弟子のひとりであった。エリクソンは日本では一般的にはあまり知られていないが、エリクソン催眠の創始者であり70年代に他界した世界的に有名な心理療法家であった。ギリガン博士は現在そのエリクソン催眠とエリクソンの類まれな心理療法のエッセンスをワークショップなどで世界中で伝えている。エリクソン自身は催眠の概念や心理療法そのもののあり方を大幅に変えた人とも言えるだろう。
(一応断っておくが、ここでの催眠はテレビの催眠ショーではないし、また目を閉じてリラックスして催眠に入るという古典的催眠とも異なる。それらはまた別モノか似て非なるもの。)

 さて、今回のギリガン氏のワークショップはそのエリクソン催眠を基本にした様々な催眠的なアプローチやその活用法を提示してくれた。催眠と言うとなにやら特別なものとか思われたりもするだろうが、実はとても自然なものなのである。その証拠に、すでに日常の中で我々は常に何らかの催眠(トランス状態)に入っているのであって、ただそれに気づいていないだけなのだ。例えば、周囲の音も聞こえなくなり、何かに集中している時はないだろうか?その時、時間の感覚はいつもとは異なっているはずだ。あるいは、何かに敏感になっていて、普段気づかないようなことに気づく時なども変性意識状態のもたらすもので、それも催眠のひとつである。催眠とはこのようにとても身近なもので、実は我々が何かの行為を行う時に、自然に何気なく使っている状態なのである。

 ところで、有名なエリクソンの話に馬の話がある。それは、エリクソンが若い頃、家のそばで迷子になった馬を見つけた時のストーリーだ。その馬がどこから来たかはわからなかった。しかし、エリクソンはその持ち主のところにその馬を戻す為に、その馬に跨って馬の行きたいようにさせる事にしたのだった。ただ唯一したことと言えば、馬が沼の中に入ったり道を外さないようにするだけだった。そしてその馬は元の飼い主のところに無事に帰ることが出来たのだった。それを迎えた馬主は、一体どうしてこの場所がわかったのか?と驚いたと言う。この話は実話だが同時に逸話でもある。話の中のエリクソン自身は我々の普段の意識、つまり顕在意識の象徴であり、馬は無意識そのものを表している。つまり、この話の背後にあるメタファーの意味は、無意識は(通常の意識以上に世界を)知っているということだ。その無意識を活用することで、我々は自分自身だけではなく、第三者にも驚くような変容を体験させることが出来るのである。それがあのエリクソンの行っていた心理療法のマジックそのものであったわけなのだ。

 結局、催眠とは、我々の意識を広げ、日常使っている意識の幅や領域を広げてくれるものとも言える。別の言葉で言えば、我々が普段認識している世界は、ひとつの限られた意識の中の白昼夢のようなものかもしれない。世界は我々自身が思っているよりも常に大きく、意識されていない無意識の方がはるかに大きいのである。しかしその無意識にアクセスするやり方を我々自身通常知らないか、忘れてしまっているので、限られた意識と言うひとつの箱の中で生きる習慣が身についてしまっている。しかしもし我々がその箱の外に出て、無意識を有効に活用して行く方法を思い出したり、知ることが出来たとしたらどうだろうか・・・。実は何らかの催眠の状態とはそのような状態なのである。従って、催眠を活用すれば、現実的な何かの問題に対処したり、あるいは、現状の枠を越えたより優れた能力を発揮したりする事ができる事になる。別の言い方をすれば、催眠的なトランスの状態を活用するという事は、より深い知恵に自らを任せて行くことであるとも言えるのである。
(バリ島はトランスの島とも言われるが、そうしたトランスの活用を日常の中で行っている島である。)

 最後に、ギリガンの言葉で印象的だったものをひとつ紹介しよう。
「何かをする時にそれが顕在意識(思考)の力だけでしようといるのであれば、それはやめた方が良い。意識と無意識の係わりの中で、五分五分ならぎりぎりセーフかもしれない・・・」

 尚、「ヒーローズ ジャーニー」とは、あるアメリカ・インディアンの部族の行う自己発見の旅のことである。