奥信濃に木島平というスキー場がある。高社山(1352m)の麓に位置するところで26日登山マラソンが開催された。4月、5月の茶会も終わると一段落するので、数年ぶりにエントリーだけはしていた。
9時スタート、12時半ゴールの3時間半、12.3キロのレース、高低差約700m、高社山頂上までは5キロ登りのみの行程に2時間の制限時間が課せられている。初めて参加する場所だけにイメージがわかないが、とに角スタートラインに。300人位の小さな集団でもあるが周りを見渡すと高校生、20,30,40代の男女が大半占めている。
スタート地点と高社山遠景
スタート地点からみる高社山はかなり遠くに見える。家人と健闘を交わしスキー場のリフト付近のスロープを走り始めたというか、実際は歩き始めたのだけど……。集団はみるみる遠ざかり一人旅なると思いきや、うしろに男女のペアが付いてきた。後はただただ頂上を目指すのみ、登るにつれ足元に一輪草が広がり、思わず茶花に使いたい!またかたくり、岩鏡など踏みつけてしまいそうなコース上に咲いていたり、辛夷に似たタムシバの花、それはいっとき心休まるシーンではあったが気持ちに余裕がなく気温もぐんぐんと上昇し30℃位の厳しい暑さ。
一輪草と岩鏡
ピークに制限時間内に辛うじて着いたところ、ここはまだ4.3キロ位だとか。残り8キロを1時間40分で降りなければならない。このレースはかなりアバウトで給水も2ヶ所のみ、最終ランナーとあって水もこれだけというコップ1杯しかない。太陽はギラギラ、後頭部はひりひり、膚には決して良くないことをしているのだと思いつつ後悔先に立たず、
かたくり タムシバの花
さて下山に入ると、三脚を据えたカメラマンがぶなの花(でしょうか?)を撮っていたり、ハイカーのグループとすれ違ったりしながらロープ、くさり場もあったりの急坂を下りながら高度を下げていく。
山中のコース
大会コース
ここでも慰められたのは、新緑の木々の合間に線刻の石仏たち、釈迦如来、地蔵菩薩、観音菩薩、大日如来、虚空蔵菩薩に出合い、高社山(たかやしろさん、こうしゃさんとも云う)が山岳信仰の山だと気付かされた。それぞれの石仏に無事完走できるように都合よく手を合せたりして。
頂上から
石仏に願掛けしたのに途中目印のリボンを見失い結局5分のロスタイム、それは前にも後にも誰もいない一人旅だったという訳で、こんなことは初めてでそろそろ体力の限界かなと感じた。でも三浦雄一郎さんが80才でエベレストを登頂したことが頭をよぎったりして残りの3キロを頑張る。
残りの1キロはスタートからの1キロと同じコースでリフト沿いのスロープを一直線に下ると、「最後のランナーがやってきました!」とアナウンスされてしまった。とにもかくにも練習もせずエントリーした後遺症はすぐ身体にでて歩けない破目に、今までこんなことがなかったので回復につとめ、4日後の茶の稽古には辛うじて座ることが出来たという結末の登山マラソンでありました。
(花は季節の花300より)